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初の胎動

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話が前後してしまうが、私が胎動を感じたのは妊娠五ヶ月頃。

初めはガスが溜まっているのかと思うほどの感覚で、腸内でポコポコとしていた。

次第にそれが胎動だと気づき、初の我が子の小さな蹴りに感動を感じる。



「ポコッ」



小さな体で、小さな力で精一杯の我が子の胎動を感じた時は、嬉しくて涙が溢れた。

こんな私のところにきてくれてありがとうと、感謝の気持ちで一杯になった。

それから、我が子にキックゲームを教えてあげた。

お腹を「キック」と掛け声をかけながらツンツンすると、そこを目掛けてキックしてくれるという遊びだ。

我が子はよく動き回る子で、キックをした後プクッと体をお腹に突き上げてくる遊びを覚えた。

膨らんだお腹に「よしよし、いい子だね」と撫でてあげるとスッとさがり、またキックをした。


それを何回か繰り返したり、朝起きてお腹に手を当て「おはよう」と声をかけると必ず動いて反応してくれる。

臨月になった今では、キック遊びは頭が固定され出来なくなったが、朝の挨拶は決まって動いてくれる。

なんとも愛おしく、お腹の中に入る間から育児は始まっているのだということを実感している。

妊娠7ヶ月頃、毎日のように話しかけコミュニケーションをとっていると、産まれてしまったらもう胎動を感じられなくなるのかと寂しくなり、涙を流す日もあった。

もう二度と出来なくなる寂しさに押し潰されそうになっていた。

だが時がたち、臨月になると胎動が苦しくなってくる。

蹴る力もかなり強くなり、「痛い!」と健診中に叫んでしまうほどだ。

今では早くこの狭いお腹の中から、広い世界へ出してあげたい気持ちの方が強くなっていて、あの頃の私はどこへいったのやらと。

今でも寂しい気持ちはあるが、早く会いたいという気持ちの方が強いということにしておこう。

話は変わり、胎教が良いとされている妊娠五ヶ月頃に私が読み聞かせていた絵本を紹介しよう。


①おなかの赤ちゃんとお話ししようよ




②いのちをありがとう



③みんなであなたをまっていた



これらは胎教によいと評判の絵本で①②に関しては、涙なしでは読めないくらい感動する内容になっている。

毎度泣いてしまう私は、我が子に「絵本読んであげるね」と声をかけると胎動がぴたりと止まってしまうため、

「ママ泣くから読まなくていいよ」


と言われているみたいだ。

是非とも一度目を通していただきたい、そんな素敵な絵本である。


胎動あるあるだが、一定の感覚でピクッピクッと動くのはひゃっくりと言われる。

我が子は1日に3~5回ひゃっくりをしていた。

いまだに分からない胎動があり、左を下に横向きになって寝ていると、トントントントントンとリズミカルに計5回壁を殴るような動作をしてくることがある。

まるでそれはボクシングをしているかのような、ワンツーワンツー。

ブルブルと体を震わせる動作はおしっこをしているといわれるが、このリズミカルな胎動時はどんな動きをしていたのか、未だに謎である。
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