名探偵は気付かない

黒澤伊織

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プロローグ

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「これは、殺人事件です」

 名探偵は一語一語と噛み締めながら、ゆっくりと口を開いた。


 吹雪に阻まれた山奥の山荘、白いドレスを着た女性の遺体、そして集まった容疑者たち。

 条件は整った。いよいよ、待ちわびた瞬間である。


「もうおわかりでしょうが、犯人はこの中にいます」


 堂々とした彼の台詞に、そこに居合わせた人々は顔を見合わせた。
 
 そして、申し合わせたかのように首を回し――を着た男を見つめた。。。
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