世界一優しい死神さん

杜鵑花

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余命5日①

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 翌朝、俺は起床し、リビングに下りた。
リビングに下りると昨日と同じように死神が朝食を作って待っていた。

「おはよう。もう死神が朝食を作ってくれるのが当たり前になって来たような気がする……まだ2日目なのに……」

「おはよ~まだ2日目なのにね~でもどんどん頼ってよ!なんたって私は世界一優しい死神と呼ばれていたんだからね。」

「へ~何人ぐらいに呼ばれていたんだ?」

「え~と確か……10年ぐらい前の彼と……あれ?1人?」

「1人にしか呼ばれてないじゃないか。」

「いや……でも呼ばれてたんだもん!」

死神は頬を膨らませていった。

「まぁ一旦この話は置いといて朝食を食べるか!」

「そうだね。食べよう!」

今日は死神も一緒に食べるらしい。
前に俺が言ったことを覚えていたのだろうか?

「自分で言うのも何だけど美味しいね。これなら貴方が早く食べちゃうのも納得できるよ。」

「だろ?まぁ俺が食べるのが早いのは昔からよく言われるんだけどな……ごちそうさまでした。」

「やっぱり早いね。でももう驚かなくなっちゃった。慣れって恐ろしいね。」

「じゃあ俺が準備も恐ろしく速いのももう慣れたかのか?」

俺は既に学校に行く準備をすましていた。

「いや……それはまだビックリするよ……でもまだ学校に行くのはちょっと待って!今日は私も行くから!」

その瞬間、俺は固まった。

「私の姿は貴方にしか見えないからいいでしょ?
今日業務がなくて暇なんだよ~」

「それならいいのか…?」

「そうと決まれば早速出発!」

俺と死神は家を出た。

「今日はできるだけ誰とも会わずに行きたいな。」

そういった直後、俺に声をかけてくる人物がいた。

「あっ皐月さん!おはようございます。一緒に学校に行きましょう!」

俺は爆速でフラグ回収をしてしまった。

「おお志野じゃないか。
おはよう。じゃあ一緒に行くか。」

俺は志野からの誘いを断れずにそのまま2人と1柱で登校することになってしまった。

「今更だけど貴方の名前は皐月なんだね~10年ぐらい前の彼と同じ名前でビックリした!偶然だよね。」

死神が話しかけてきた。
正直今は返せないので話しかけないで欲しい。

「そういえば皐月さん。昨日渡した御札見ました?」

「まだ見てないよ。でもいつかは見ようと思っているよ。確か……自分の机の上においたっけ?」

「そうですか……ところでさっきから皐月さんの隣からただならぬ気配がするんですが気の所為ですか?」

やはり霊能力者なだけあって死神の存在にも気付くらしい。

「やばいよ!私の存在に気づき出してる!うまく誤魔化して!」

死神が慌てて言った。

「気の所為じゃないか?俺は何も感じないぞ?」

「気の所為ですか……まぁ幽霊だったらこんな時間にいるわけ無いですよね。」

その後、特に問題なく俺達は学校に着くのだった。
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