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星楽

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巣立ちか反逆か

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「今日はもう遅いから、部屋に戻りなさい。上には私が話を付けておきます」
予想外な出来事の連続に、一同は訳も分からずただうろたえるばかりだ。
「おい、マリーはどうなるんだ!」
ルカが詰め寄る。
「言ったでしょう?私が話を付けるって…」
「そんな事言って結局は殺すんだろ?俺らが何度も同じ言い訳を信じる馬鹿に見えるか⁉︎」
アイリスは心なしか悲しそうにも見えた。
「私は、あなた達の敵じゃない。今はそれだけ知っていてほしい」

「なるべく早く、寮に戻るようにね」
そう言ってアイリスは傷だらけのマリーを背負って——既にいくつかの傷は癒え始めていたが——足早に部屋を出て行った。

「え、え?どういう事?分かってないのはあたしだけ?」
マゼンタだけではない。
誰もが混乱していた。マリーの暴走、彼女を殺そうとしていた紫の眼の女、そしてアイリスの意味深な言葉…
「…とりあえず部屋に帰ろう、話はそれからだ」
アジャニーが言う。

 ひとまず、一行はアイオライトの部屋に集まった。
「…このままだとマリーは殺される、その前になんとかしなきゃいけない」
シアンの話は続く。
「相手の隙をついてマリーを連れ戻したら…」
「…連れ戻したら?その後はどうするんだよ?暴走した奴が殺されるってんなら、大人たちがマリーを追ってくる可能性だってある。もしそうなったとして、俺たちに逃げるあてなんてあるかよ?」
「おい、ルカ…」
度重なる事件で気が立っているルカが、刺々しい言い方で核心をついた。
元々身寄りのない子供たちがここで働いているのだ。勝手に研究所を出るということは、帰る場所を自ら手放す事を意味する。
逃げるあてなど、どこにも無かった。
「でも、とにかくマリーを助ける事が先…じゃないかな。考えてたら終わらないし、時間が経つほど危ないよ…」
ティナの言う通りかもしれない。
後のことは、その時考えればいい。
「マリーの救助と、職員の気をそらすのに人を分けよう…次こそ邪魔が入らないように」
シアンは話を戻した。
「マリーの事はアイオライトに任せる。彼女の扱いは二人の方が分かってるはずだ」
「…分かったよ、ガーネットこそ頼んだぞ」
「こっちはあたしたちに任しといてよ!」
「作戦は明日の朝開始することにして、今は準備に専念しよう」

「そういえば、シアンとティナはどうしてマリーが隔離されてることを知ってたんだ?」
ふと、アジャニーが呟いた。
最初にマリーのことを教えてくれたのは二人だった。
読心能力を持つシアンなら、知る機会も多そうだが…ティナもその透視能力で同じように視たのだろうか?

ティナはすぐには答えなかった。
「もしかして…まだ言えない事があるの?」
マゼンタが慎重に問いかける。
「……ティナ、もういいんじゃないか。
ここまできたら、隠す理由は無い」
優しく、それでいて何かを諦めたようにシアンが言った。
「うん…いずれ言わなきゃいけない事だったから、信じてもらえるか分からないけど話しておかなくちゃ。
がどうやってここに来たか………」


つづく
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