上 下
16 / 27

2

しおりを挟む
隣国のフローネ国では、上級術者のみに与えられる黒のローブに、白のローブ。


それを着ている事と金の縁取り模様は、高級品である事もそうだが魔力が練り込んである。

織物として隣国が誇る生地は、そうそう紛い物では不可だ。

「それは、他の二人にもプレゼントを挙げるつもりですか?」

「どう言う意味や?」

カイトの声のトーンが低くなる。

「いえ、キューピッドとプレゼントの言葉からナタリー嬢の関係していることでしょう。
そこから推測ですが、自分以外に後二人います
言わばライバルですから、どんなプレゼントかと気になったまでです」


ヒバナは、カイトの瞳をじっと見つめる。

ヒバナとカイトの視線が交わり

一触即発!かと思うくらい肌がピリッとしてお互い無言で睨んでいるような雰囲気から
空気がすぐに柔らかくなる。


「そうかぁ!プレゼントは平等にせんといかんなぁ!」

へらっと笑うカイト。

「で・も!ボクは一人にしかやらんって決めとるんよ」

「!」

「さて、どうする?」とカイトから揺さぶりをかけられていた。

そんなのはとうに答えは出ている

「イヤ、それなら要りません自分で勝ち取ります」

ヒバナはカイトにそう答えた。
自分で勝ち取るのみだ、そう握り拳を作るヒバナ

何故なら自分の実力で勝ってこそ意味がある。

好きな女と共に並ぶ未来があるのなら。
それだけは譲れない想い。

「なら、頑張って♪」

ポンっとヒバナの肩を叩いて手をひらひらさせながらセイラと共に姿を消す。

セイラもペコリと頭を下げて、カイトと一緒に消えた。





⭐︎






「ねぇ、カイト何であんなこと言ったん?」

カイトと二人きりになったセイラは
口調がもっと崩れていた。
カイトの口調が移って喋る事は二人きりだけの時だけ

ギルドマスターヒバナと別れた後
カイトの少し後ろを歩いていたセイラはカイトの隣に追い付く。

「言うたやん?ボク、キューピッドって♪」

セイラは、またボカっとカイトの頭を殴る。

痛ててとカイトがわざと泣き真似したらセイラは優しく駆け寄るが、何度か繰り返すと飽きたのかカイトは真剣な顔して

「ホントにキューピッドやってやろーと思っただけ」

そのカイトの表情にドキっとなるセイラ。

「嘘やないんよ、ナタリーちゃんを助けたかった」

(他の人から聞いてみれば、同情と思うかも知れないが....)と
心の中で呟いた。



カイトの心情を誰も知る由もない。

しおりを挟む

処理中です...