1 / 9
プロローグ
しおりを挟む
澄み切った青い空には二つの太陽が燦々と輝いていた。その空の下では、一面に緑が広がり、所々で爆炎やら竜巻やらが巻き起こっていた。
「リョウ!そっちに四匹行ったから処理頼む。」
『了解。ユイの方はどうだ?』
『私はもう片付くから、終わったら教えて』
「了解!とっとと終わらせますか」
トオルは、目の前から迫ってくる巨大な魔物の頭に、右手に持った一本の剣を投げたと同時に魔物の頭上へ移動し、音を出して飛んでくる剣を魔物の頭越しに難なくキャッチする。
この行動にかかった時間はわずか一秒。次々に襲いかかる魔物をある時は剣で、ある時は素手で、ある時は魔法で、全て一撃で屠っていく。
魔物との戦い、いや、魔物の殲滅が終わり、彼方此方で死体の山ができていた。
「これで全部かな。こっちは終わったぞ」
『こっちも終わってる』
『お疲れ~。あっちの丘でご飯食べよう?』
「わかった」
徹は、魔物の死体をアイテムボックスに全てしまった後、浄化魔法で身体を綺麗にして丘に向かった。
みんなで集まり、ユイが持ってきた弁当を準備し終わったとき、森に空から光が舞い降りたかと思うと、森の中で強く光った。
やがて光が治ると森の中から一つの人影が現れた。
「やあ君達、また派手にやったみたいだね」
「お、エルミラ!遅かったな!」
「エルちゃんおかえり~」
「あのさ、みんな忘れてるかもだけどさ、僕一応神様だからね? 何が言いたいかわかるよね? ね?」
「そんな怒るなって、ほらユイの作ったご飯やるから、な?」
「ユイちゃんのご飯⁈ 仕方ないな。今回は許してあげるよ」
(((ちょろい)))
「こっちにもだいぶ慣れてきたなぁ~」
ユイの弁当を食べて、すっかり機嫌を直したエルミラと共に雑談をしていると、トオルが思い出したように呟いた。
「そうだな。この世界に産まれた時は、どうすればいいのか分かんなくてだいぶ焦ったけどな」
リョウが昔を思い出すように笑った。
「まさかこっちの世界に三人とも転生するとはね。知った時は驚いたよ。二人とも死んだと思ってたら、ずっと隣に居たんだもん。」
ユイの笑っていた顔が、より一層笑顔になった。
「僕も驚いたよ。本来、転生者は一つの世界から一人が原則、僕が決めた理だからね。それが三人も、しかも、同年代に産まれたときた。もう原則がなんだか分かんなくなっちゃったよ」
おそらく、かなり問題視すべきところをサラッと笑い話にしてしまう神様に三人は苦笑いしかできなかった。
四人はそれからしばらくの間、昔話を続けていた。
「リョウ!そっちに四匹行ったから処理頼む。」
『了解。ユイの方はどうだ?』
『私はもう片付くから、終わったら教えて』
「了解!とっとと終わらせますか」
トオルは、目の前から迫ってくる巨大な魔物の頭に、右手に持った一本の剣を投げたと同時に魔物の頭上へ移動し、音を出して飛んでくる剣を魔物の頭越しに難なくキャッチする。
この行動にかかった時間はわずか一秒。次々に襲いかかる魔物をある時は剣で、ある時は素手で、ある時は魔法で、全て一撃で屠っていく。
魔物との戦い、いや、魔物の殲滅が終わり、彼方此方で死体の山ができていた。
「これで全部かな。こっちは終わったぞ」
『こっちも終わってる』
『お疲れ~。あっちの丘でご飯食べよう?』
「わかった」
徹は、魔物の死体をアイテムボックスに全てしまった後、浄化魔法で身体を綺麗にして丘に向かった。
みんなで集まり、ユイが持ってきた弁当を準備し終わったとき、森に空から光が舞い降りたかと思うと、森の中で強く光った。
やがて光が治ると森の中から一つの人影が現れた。
「やあ君達、また派手にやったみたいだね」
「お、エルミラ!遅かったな!」
「エルちゃんおかえり~」
「あのさ、みんな忘れてるかもだけどさ、僕一応神様だからね? 何が言いたいかわかるよね? ね?」
「そんな怒るなって、ほらユイの作ったご飯やるから、な?」
「ユイちゃんのご飯⁈ 仕方ないな。今回は許してあげるよ」
(((ちょろい)))
「こっちにもだいぶ慣れてきたなぁ~」
ユイの弁当を食べて、すっかり機嫌を直したエルミラと共に雑談をしていると、トオルが思い出したように呟いた。
「そうだな。この世界に産まれた時は、どうすればいいのか分かんなくてだいぶ焦ったけどな」
リョウが昔を思い出すように笑った。
「まさかこっちの世界に三人とも転生するとはね。知った時は驚いたよ。二人とも死んだと思ってたら、ずっと隣に居たんだもん。」
ユイの笑っていた顔が、より一層笑顔になった。
「僕も驚いたよ。本来、転生者は一つの世界から一人が原則、僕が決めた理だからね。それが三人も、しかも、同年代に産まれたときた。もう原則がなんだか分かんなくなっちゃったよ」
おそらく、かなり問題視すべきところをサラッと笑い話にしてしまう神様に三人は苦笑いしかできなかった。
四人はそれからしばらくの間、昔話を続けていた。
0
あなたにおすすめの小説
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる