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第3話 無属性
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俺がこの世界に転生してから二年がっ経った。
この二年間、アスラに、この世界の歴史や常識、文字の書き取りから貴族の礼法、そして家族のことまですべて教えてもらった。
この世界は『アテリオン』と呼ばれている。
そして、何と! この世界には魔法が存在したのだ。
アスラが外が暗くなった時に、手の上に光の玉を浮かべている時があり、それは何かと聞いたら魔法だと教えてくれた。
その時に、魔法も教えて欲しいと頼んだが、私では教えられないと言って断られてしまった。アスラ曰く、人にはそれぞれ魔法の属性があり、その属性以外の魔法は行使できないようだ。
基本属性は全部で六つ。
火、水、風、土、光、闇
それぞれ、熟練度を上げていくと属性が進化することはあるが、新しい属性に後天的に目覚めることはないらしい。
大半の人は属性を一つしか持たないが、必ずしもそうではなく、二つ持っている者も、三つ持っている者もいる。流石に数は少ないが、全属性を使える者も存在を確認されている。
アスラは光属性しか使えないらしく、また、俺の属性はまだ分かっていないため、魔法を教えることができないということだ。
魔法の属性を知るのは教会に行けばいいらしい。
というわけで、俺は今、教会にいます。
父に属性の適性を知りたいと言ったらアスラとこの街の教会に行って来なさいと言われた。
てっきり王都の教会じゃないとできないと思ってたが、この街にある教会で十分だったようだ。
それならもっと早いうちにやればよかったじゃないかと思うだろうが、魔法の属性がしっかりと定着するには少し時間がかかるようだ。
普通は五歳で属性が出現し、一、二年で定着するということで、余裕を持って二年待ったというわけだ。
アスラとともに教会に入ると、この教会の神父と思われる人が迎えてくれた。
「これはこれは、アスラ様、オルト様。お久しぶりでございます。と言ってもオルト様は覚えてはおらんでしょうが。」
こちらから初めましてと挨拶しようとしたら久しぶりだと言われてしまった。
どこかであったのだろうか?
「神父様とは以前、オルト様が生まれた時に、健やかに育つようにお祈りしてもらっています。」
「なるほど。生まれた時なら覚えてないや。改めまして、お久しぶりです。神父様。その節はどうもありがとうございました。おかげさまで特に病なく育つことができました。」
「ご丁寧にありがとうございます。して、本日はどのようなご用件で?」
「はい。ここで僕の属性を知りたいと思い、参りました。」
「属性の検査ですね。わかりました。では、こちらへどうぞ。」
神父様についていき、教会の中央まで行くと、目の前には、六つの像が並んでいた。
「では、こちらで片膝をつき、両手を合わせて、目を瞑ってください。」
言われた通りにすると、身体が不意に軽くなった。
驚いて目を開けようとするが、開かず、また身体も動かすことができなかった。
そんな時、澄んだような綺麗な、そして、子供のような無邪気な声がした。
『君には特別な力を与えよう。この力で最強になるか、最弱になるかは君次第だ。精々考えるが良い。』
その声に対し何か言おうとした時、身体もが元に戻ったことを感じた。
今の声はなんだったんだ?
「そんな、神の像が一つも光らないなんて・・・」
神父の驚いた声に目を開けると、目を閉じる前と同じ風景が見えていた。
「えっと・・・。何か問題が?」
「はっ! オルト様、その・・・大変言いにくいのですが・・・、あなたに、属性は出現しませんでした。」
さっきの声が言っていた内容から察するに何か不便なことがあるのだろうと思っていたが、
まさか属性が出現しないとは・・・。
流石にそこまで予測できなかった。 ちょっと・・・いや、かなりショックだ。
「それってもう魔法を使うことができないのですか?」
「わかりませんが、少なくとも、六つの属性魔法を行使することはできません・・・。」
詰んだ。俺の魔法を使う夢が潰えた。
「しかし、あなたには年相応の魔力が存在します。なんらかの形で、魔法を行使できるのかもしれません。ですが、無属性など前例がないのでこれ以上は私でも分かりかねます。」
魔力はあるのか。でも、使えなきゃな意味ないしなぁ
今日はもう帰ろう。明日今後のことを考えよう。
俺は、アスラに帰ろうと言った後、二人で教会を後にした。
この二年間、アスラに、この世界の歴史や常識、文字の書き取りから貴族の礼法、そして家族のことまですべて教えてもらった。
この世界は『アテリオン』と呼ばれている。
そして、何と! この世界には魔法が存在したのだ。
アスラが外が暗くなった時に、手の上に光の玉を浮かべている時があり、それは何かと聞いたら魔法だと教えてくれた。
その時に、魔法も教えて欲しいと頼んだが、私では教えられないと言って断られてしまった。アスラ曰く、人にはそれぞれ魔法の属性があり、その属性以外の魔法は行使できないようだ。
基本属性は全部で六つ。
火、水、風、土、光、闇
それぞれ、熟練度を上げていくと属性が進化することはあるが、新しい属性に後天的に目覚めることはないらしい。
大半の人は属性を一つしか持たないが、必ずしもそうではなく、二つ持っている者も、三つ持っている者もいる。流石に数は少ないが、全属性を使える者も存在を確認されている。
アスラは光属性しか使えないらしく、また、俺の属性はまだ分かっていないため、魔法を教えることができないということだ。
魔法の属性を知るのは教会に行けばいいらしい。
というわけで、俺は今、教会にいます。
父に属性の適性を知りたいと言ったらアスラとこの街の教会に行って来なさいと言われた。
てっきり王都の教会じゃないとできないと思ってたが、この街にある教会で十分だったようだ。
それならもっと早いうちにやればよかったじゃないかと思うだろうが、魔法の属性がしっかりと定着するには少し時間がかかるようだ。
普通は五歳で属性が出現し、一、二年で定着するということで、余裕を持って二年待ったというわけだ。
アスラとともに教会に入ると、この教会の神父と思われる人が迎えてくれた。
「これはこれは、アスラ様、オルト様。お久しぶりでございます。と言ってもオルト様は覚えてはおらんでしょうが。」
こちらから初めましてと挨拶しようとしたら久しぶりだと言われてしまった。
どこかであったのだろうか?
「神父様とは以前、オルト様が生まれた時に、健やかに育つようにお祈りしてもらっています。」
「なるほど。生まれた時なら覚えてないや。改めまして、お久しぶりです。神父様。その節はどうもありがとうございました。おかげさまで特に病なく育つことができました。」
「ご丁寧にありがとうございます。して、本日はどのようなご用件で?」
「はい。ここで僕の属性を知りたいと思い、参りました。」
「属性の検査ですね。わかりました。では、こちらへどうぞ。」
神父様についていき、教会の中央まで行くと、目の前には、六つの像が並んでいた。
「では、こちらで片膝をつき、両手を合わせて、目を瞑ってください。」
言われた通りにすると、身体が不意に軽くなった。
驚いて目を開けようとするが、開かず、また身体も動かすことができなかった。
そんな時、澄んだような綺麗な、そして、子供のような無邪気な声がした。
『君には特別な力を与えよう。この力で最強になるか、最弱になるかは君次第だ。精々考えるが良い。』
その声に対し何か言おうとした時、身体もが元に戻ったことを感じた。
今の声はなんだったんだ?
「そんな、神の像が一つも光らないなんて・・・」
神父の驚いた声に目を開けると、目を閉じる前と同じ風景が見えていた。
「えっと・・・。何か問題が?」
「はっ! オルト様、その・・・大変言いにくいのですが・・・、あなたに、属性は出現しませんでした。」
さっきの声が言っていた内容から察するに何か不便なことがあるのだろうと思っていたが、
まさか属性が出現しないとは・・・。
流石にそこまで予測できなかった。 ちょっと・・・いや、かなりショックだ。
「それってもう魔法を使うことができないのですか?」
「わかりませんが、少なくとも、六つの属性魔法を行使することはできません・・・。」
詰んだ。俺の魔法を使う夢が潰えた。
「しかし、あなたには年相応の魔力が存在します。なんらかの形で、魔法を行使できるのかもしれません。ですが、無属性など前例がないのでこれ以上は私でも分かりかねます。」
魔力はあるのか。でも、使えなきゃな意味ないしなぁ
今日はもう帰ろう。明日今後のことを考えよう。
俺は、アスラに帰ろうと言った後、二人で教会を後にした。
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