魔法世界の物語

夜の桜

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第十九話 魔導空船

「こりゃあ……」

逸平が資料を読み解き、唖然とする。

資料には、魔導空船 レヴィアタンについて書かれていた。


魔導空船 レヴィアタン

魔界の古代遺物アーティファクトであり、この世界の特殊魔法物である。

なぜ、この世界に存在するのか?
不明

いつから存在するのか?
不明

ただし、このレヴィアタンはまだ

大きさは全長100メートル

魔導砲台を装備

を航行する空船

動かすには魔素を集めて、それを動力変換していた装置、魔素集積装置を直す必要がある。

代用で魔石が使えるか試し、成功。

修理と同時進行で魔力素材を収集……。


とレヴィアタンについての作業行程などが書き記されており、魔導空船レヴィアタンは兵器であることも記されていた。

「数年前からこれを直してたんか……」

(そもそも、ここの場所自体が隠されてたんも関係ありそうやな)

『あ...繋がったかも』

リンカの声が通信機から小さく響く。

「おう!繋がっとるで!」

地かに入ってから通信が途絶えていたが、通信が繋がった事に安堵するリンカに逸平が明るく答える。

『逸平さん、何か分かりましたか?』

さゆりの問い掛けに逸平が魔導空船レヴィアタンについて伝える。

「他のメンバーにも共有したいところやが……」

さゆりから現在の通信状況を聞き、それが難しいと判断する。

『逸平さんはそのまま拠点調査して、朔真さんたちと合流したら情報共有お願いします!そして、レヴィアタン魔導空船の確保を頼みます!』

「了解や!」

さゆりの指示に応え、逸平は資料を鞄にしまいその部屋をあとにした。



「これは船か?」

朔真が洞窟を抜けた先には巨大な地底湖があり、その地底湖には巨大な船が浮いていた。

その大きさに朔真は唖然とする。

どの様にして、こんな場所にこんな船があるのか?

元々存在していた?

ここで製造した?

朔真の頭に様々な疑問が浮かぶ。

「間もなくですね」

人の声に朔真が我に返り、身を隠す。

(マルスか…)

マルスと付き従う二人の男女がレヴィアタンに触り、笑みを浮かべている。

「やっとここを出れますね」

女が嬉しそうに言う。

「三年は長かったすねぇー」

男も女に同意する。

「そうですね…これで私達は更に目的に近づけます」

(目的……)

マルスの言葉に朔真は思考する。

(そもそも、【裁きの使徒】は何が目的なんだ?)

リンカとカーラを利用した召喚魔法による異界召喚、魔物の改造、そして、この船である。

(三年かけて、この船を動かすということはこの船を使って何かをする……何を?)

「しかし、ここに【シンフォニア】が現れたのは想定外でした」

マルスが苛ついたように言う。

「スパイ……はないわね」

「なら、隠密に長けたやつがいるってことっすね」

女と男の言葉にマルスが

「加賀見 逸平が得意としていますが、それを見越して痕跡は残さなかったんですけどね……加賀見 逸平でないとすると……熊鬼ベアオーガを倒した彼かもしれませんね」

朔真のことを思い浮かべ、推察する。

「念のため、出発を早めましょう…二人とも頼みましたよ」

「その為に俺たちを連れてきたんすか」

「他にないでしょ」

マルスの言葉に返した男に女が呆れる。

そして、マルスたち三人は船の中へ入っていった。

「なんとかして、誰かに連絡したいところだな…」

朔真はマルスたちが去ったのを見て、小さく呟く。

通信連絡が地かに入ってから途絶えているため、今の状況を仲間に連絡できない上に仲間の状況も不明。

三人相手では、さすがに倒しきるのは難しい。

「となると……」

朔真は気配を消しつつ、静かに船の中へ入っていった。



「“風刃ふうじん”!」

「“水刃すいじん”」

美羽の風の刃とレイシュンの水の刃がぶつかり合い、水飛沫が舞う。

「むぅ…」

「……粘るわね」

お互いの魔法が先程ので3度目の相殺。

風と水の違いはあれど、戦況は拮抗していた。

「そろそろ終わらせて、マルス様の元へ行かせてもらうわ……“雨の弾丸スコールバレッド”」

無数の水滴が高速の弾丸となり、美羽に降り注ぐ。

「終わらないよ!“風守かざもり”!」

美羽は自身の周囲に吹き纏う風の結界を展開し、“雨の弾丸スコールバレッド”を凌ぐ。

しかし、致命傷は避けたものの、全てを凌ぎきれずにいくつもの銃創を負う。

「今度…は……こっちの番!“風珠かざだま”!」

風の玉がいくつもの美羽の周りに創られ、それがあらゆる角度からレイシュンへ飛弾する。

「弾幕としては、薄いわよ!“雨の弾丸スコールバレッド”」

レイシュンは再度、“雨の弾丸スコールバレッド”を放ち美羽の“風珠かざだま”を撃ち落とす。

「まだまだ!“風」

「いえ、終わりよ」

美羽が更に攻撃を仕掛けようとしたところを、“風珠かざだま”を撃ち落とした“雨の弾丸スコールバレッド”が降り注ぎ続けながら、美羽に一気に近づき、降り注いだ。

「きゃあ!!」

美羽は防ぐことも避けることもできず、小さく悲鳴を上げ、腕で頭を被った。

そして、“雨の弾丸スコールバレッド”を直撃した……はずだった。

「ギリギリセーフやな!」

美羽の後方から現れた銀髪の男、加賀見 逸平が安堵したように言った。

「逸平さん!」

美羽の上に水滴の弾丸が宙に浮いている。

「合流できて何よりや!」

逸平が美羽を自分の方に引き寄せ、水滴に向けていた右手を降ろす。

水滴の弾丸は全て、静かに雨のように地面に落ちた。

「貴方は…加賀見 逸平」

レイシュンの言葉に、逸平が少し驚いた顔をする。

「なんや?わいの事知っとるんか?」

「この界隈では有名よ…希少魔法の重力魔法の使い手、魔法犯罪特捜部の元エースの男、通り名《銀の狼シルバーウルフ》」

「昔の話や…今は【シンフォニア】のギルドメンバー、優しい関西弁のお兄さん、加賀見 逸平や!あと通り名は勝手に周りが言うてただけやからな!」

レイシュンの内容に逸平がおちゃらけたように返す。

逸平が美羽の横に立つ。

「まだ動けるんか?」

美羽の様子を確認し、訊く。

「まだ動けるよ!」

美羽はそう言って、レイシュンに向かい構える。

「さあて……二対一やけど、どうする?」

逸平がニヤっとして、レイシュンに問う。

「……さすがに《銀の狼シルバーウルフ》がいて、二対一は引かせてもらうわ」

レイシュンはそう答えるやいなや、視界を奪う霧を発生させて、逃げた。

「逃がして良かったの?」

レイシュンが逃げたのを見て、美羽が逸平に言う。

「美羽も怪我しとるしの…それにここに厄介なものがあることが判明したからの」

そう言って、逸平は美羽に今の状況を説明した。


「巨大な古代遺物アーティファクトがここに……」

美羽が逸平の説明を聞いて、唖然とする。

「ここも元々は、遺跡やったところを拠点にしたようや」


逸平が資料を読んだところによれば、ここは廃村の住人が代々隠し、守り続けてきた古代遺跡であり、昔からレヴィアタンも安置されていたらしい。

この廃村では、レヴィアタンが古代遺物アーティファクトの兵器であると受け継がれており、レヴィアタンそれにより、世界に混乱が起こされることが無いように守り人として、存在していた。

しかし、時代が進めば、人の考え方も変わっていく。

徐々に古代遺跡、魔導空船レヴィアタンを詳しく知る者もいなくなり、村から出た村人の

「俺の生まれた村って、遺跡を守るとか古臭いしきたりがあってよ~……」

酒場でのこの小さな一言から、この場所を【裁きの使徒】が見つけ、ほぼ人がいない村の人を殺し、廃村でカモフラージュし、拠点としたのが、今の現状であった。
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