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本編
20.浜辺にて
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次の朝。昨日は予想外に盛り上がってしまったので、残る船旅に備えて今日こそはゆっくり過ごそうかと思っていたのだが……
「イヌイよ。この島に隠されているという、伝説の秘宝のことを知っておるか?」
朝飯の時、ズーニーがそんなことを言ってきた。
その辺で取ってきたパイナップルみたいな果物にかぶりつきながら喋るので、口の周りから果汁がダラダラ垂れていて、なんか、なーんか胸がモヤモヤする。
こいつ、案外と残念なやつなのかも。ちょっと可愛いとこあるじゃん。
「私も聞いたことがあります。今はこんな秘境の島ですが、ユーエスエイ領となる遥か以前の古代には、独自の文明が発達していたそうです。その文明を支えていた魔宝が、まだこの島のどこかに残されているんだとか」
「うーん、あたしが生身だった頃は、ここはもうユーエスエイ領ってことになってたわね。その国があったのって相当昔の話みたい」
アビからは新しい情報、マナからはある意味古い情報が出てきた。ザックリまとめると、なんか古い宝があるっぽいのね。
「じゃあ、それを取りに行く? でも早く本土に行って怪獣問題をどうにかしないといけないんじゃないの?」
アビにこう尋ねると、微妙な表情になった。
「それが、そのアーティファクトというのも、今回の怪獣問題に役立つかもしれないのです。とはいえどこにあるか分からないのでは、時間がかかりすぎますしね」
「その在り処を知っているといったら、どうだ?」
皆がズーニーを振り返った。そうか、それでこの話を振ってきたのか。
ズーニーはいつもの自信満々の笑みを浮かべながら、じっと俺の目を見つめて話す。
「我輩が知らぬことなどこの世にない。件のアーティファクトーーその名を『栄光の腕環』というのだが、北の浜辺にある洞窟の奥に祀られているであろう」
おお、具体的な場所を知っているのか。お宝の名前もありがたみがあるな、期待できそうだ。
アビに目をやると、向こうもこっちを見て口を開く。
「栄光の腕環は、その名の通り、身に付けた者に栄光をもたらすと言われています。もっとも、それがどのような効果の結果であるのかの詳細は不明なのですが」
「ほうほう。でも、それが怪獣問題にどう役立つの?」
俺の質問に、アビはグッと言葉に力を込めて答える。
「伝説によれば、腕環に込められている力は特に怪獣退治に強い効果を発揮するのだそうです。今の私達にピッタリの効果ですね」
なるほど、ゲーム的にいえば特定種族への特攻効果ってやつかな。でもそういうのってたいてい武器に付く能力で、今回は腕環ってのがいまいちピンとこないけど。
「うーん、この前手に入れたコクコン?ってやつだけでオッケーなのか、まだ分からんのでしょ? じゃあ栄光の腕環ってのも探しとくか?」
元々、この島には旅の疲れを癒す骨休みのつもりで寄ったのだった。しかし、本来の目的である怪獣問題解決に使えるかもしれないものがあるというなら、予定を変更するのもやぶさかではない。
「ええ、みなさんさえ良ければ、ぜひ」
アビの答えに、俺含め他の三名は頷いて同意する。
となれば早速、これからその洞窟とやらへ向かうことに。必要な道具はぼちぼち揃ってるしね。
***
島の北の浜に向かって歩くこと数時間。ちょうど端っこあたりに、ズーニーが言った通りに洞窟があった。
「ここである。行くぞ」
ずっと案内してくれていたズーニーが、ここでも先頭を切って洞窟の中に入っていく。
そういえば、彼女と最初に会った時にとんでもないプレッシャーをかけられたけど、実際の腕前は確認していないんだった。
「なあ、先頭任せていいのか? 一応俺も男だし、代わるか?」
そう提案すると、ズーニーは振り返ることもなく笑って答える。
「ふはは、この我輩を相手に一体何を言う。お主でなければ即刻縊り殺しておるところだぞ……あれを見よ、丁度いい。我が実力、よく目に焼き付けるがよい」
洞窟の奥から現れたのは、カニ型のモンスターだった。大きさは俺と同じくらいで、青い甲羅に黄色い鋏と、なんかキモヤバそうな見た目だ。
「極楽蟹よ! 気を付けて、甲羅の硬さは鉄をも凌ぐとも言われています!」
俺の後ろでアビが弓を構えながら警告する。鉄より硬いって、矢なんか通るのか?
「ん? ズーニー?」
しかし、ズーニーはごくごく無造作に蟹モンスターに近づいていく。
アビが危険だっつってんでしょ! そんな水着みたいな防具しかないのに、なんでそんな無防備に近づくねん!
ギー!と耳障りな鳴き声を発しながら、でっかい鋏が素早く振るわれる。
やべ、サポートも間に合わない! そう思った瞬間。防御姿勢もとらないズーニーに鋏が完璧にぶち当たり、バラバラに砕け散る。
……鋏の方が。
はい? 何が起こりましたか? どなたかお分かりになります?
一方のズーニーは全く痛がるそぶりも見せず、平然と歩いていって間合いに入り、そのまま前蹴りで鉄より硬いはずの甲羅をぶち抜く。
早い。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。
蟹はクリティカルヒットした蹴りの勢いそのままに奥の壁まで吹っ飛んでいって、衝撃で全身が砕け散った。おえ。
「こんな雑魚相手に実力も何もないが……分かるか? 我輩の強さが」
アビもマナも唖然としていて、理解が追いついていない。そりゃそうよね。
ま、今は頼もしい仲間ができたんだと、素直に喜ぼうかな。
「イヌイよ。この島に隠されているという、伝説の秘宝のことを知っておるか?」
朝飯の時、ズーニーがそんなことを言ってきた。
その辺で取ってきたパイナップルみたいな果物にかぶりつきながら喋るので、口の周りから果汁がダラダラ垂れていて、なんか、なーんか胸がモヤモヤする。
こいつ、案外と残念なやつなのかも。ちょっと可愛いとこあるじゃん。
「私も聞いたことがあります。今はこんな秘境の島ですが、ユーエスエイ領となる遥か以前の古代には、独自の文明が発達していたそうです。その文明を支えていた魔宝が、まだこの島のどこかに残されているんだとか」
「うーん、あたしが生身だった頃は、ここはもうユーエスエイ領ってことになってたわね。その国があったのって相当昔の話みたい」
アビからは新しい情報、マナからはある意味古い情報が出てきた。ザックリまとめると、なんか古い宝があるっぽいのね。
「じゃあ、それを取りに行く? でも早く本土に行って怪獣問題をどうにかしないといけないんじゃないの?」
アビにこう尋ねると、微妙な表情になった。
「それが、そのアーティファクトというのも、今回の怪獣問題に役立つかもしれないのです。とはいえどこにあるか分からないのでは、時間がかかりすぎますしね」
「その在り処を知っているといったら、どうだ?」
皆がズーニーを振り返った。そうか、それでこの話を振ってきたのか。
ズーニーはいつもの自信満々の笑みを浮かべながら、じっと俺の目を見つめて話す。
「我輩が知らぬことなどこの世にない。件のアーティファクトーーその名を『栄光の腕環』というのだが、北の浜辺にある洞窟の奥に祀られているであろう」
おお、具体的な場所を知っているのか。お宝の名前もありがたみがあるな、期待できそうだ。
アビに目をやると、向こうもこっちを見て口を開く。
「栄光の腕環は、その名の通り、身に付けた者に栄光をもたらすと言われています。もっとも、それがどのような効果の結果であるのかの詳細は不明なのですが」
「ほうほう。でも、それが怪獣問題にどう役立つの?」
俺の質問に、アビはグッと言葉に力を込めて答える。
「伝説によれば、腕環に込められている力は特に怪獣退治に強い効果を発揮するのだそうです。今の私達にピッタリの効果ですね」
なるほど、ゲーム的にいえば特定種族への特攻効果ってやつかな。でもそういうのってたいてい武器に付く能力で、今回は腕環ってのがいまいちピンとこないけど。
「うーん、この前手に入れたコクコン?ってやつだけでオッケーなのか、まだ分からんのでしょ? じゃあ栄光の腕環ってのも探しとくか?」
元々、この島には旅の疲れを癒す骨休みのつもりで寄ったのだった。しかし、本来の目的である怪獣問題解決に使えるかもしれないものがあるというなら、予定を変更するのもやぶさかではない。
「ええ、みなさんさえ良ければ、ぜひ」
アビの答えに、俺含め他の三名は頷いて同意する。
となれば早速、これからその洞窟とやらへ向かうことに。必要な道具はぼちぼち揃ってるしね。
***
島の北の浜に向かって歩くこと数時間。ちょうど端っこあたりに、ズーニーが言った通りに洞窟があった。
「ここである。行くぞ」
ずっと案内してくれていたズーニーが、ここでも先頭を切って洞窟の中に入っていく。
そういえば、彼女と最初に会った時にとんでもないプレッシャーをかけられたけど、実際の腕前は確認していないんだった。
「なあ、先頭任せていいのか? 一応俺も男だし、代わるか?」
そう提案すると、ズーニーは振り返ることもなく笑って答える。
「ふはは、この我輩を相手に一体何を言う。お主でなければ即刻縊り殺しておるところだぞ……あれを見よ、丁度いい。我が実力、よく目に焼き付けるがよい」
洞窟の奥から現れたのは、カニ型のモンスターだった。大きさは俺と同じくらいで、青い甲羅に黄色い鋏と、なんかキモヤバそうな見た目だ。
「極楽蟹よ! 気を付けて、甲羅の硬さは鉄をも凌ぐとも言われています!」
俺の後ろでアビが弓を構えながら警告する。鉄より硬いって、矢なんか通るのか?
「ん? ズーニー?」
しかし、ズーニーはごくごく無造作に蟹モンスターに近づいていく。
アビが危険だっつってんでしょ! そんな水着みたいな防具しかないのに、なんでそんな無防備に近づくねん!
ギー!と耳障りな鳴き声を発しながら、でっかい鋏が素早く振るわれる。
やべ、サポートも間に合わない! そう思った瞬間。防御姿勢もとらないズーニーに鋏が完璧にぶち当たり、バラバラに砕け散る。
……鋏の方が。
はい? 何が起こりましたか? どなたかお分かりになります?
一方のズーニーは全く痛がるそぶりも見せず、平然と歩いていって間合いに入り、そのまま前蹴りで鉄より硬いはずの甲羅をぶち抜く。
早い。俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。
蟹はクリティカルヒットした蹴りの勢いそのままに奥の壁まで吹っ飛んでいって、衝撃で全身が砕け散った。おえ。
「こんな雑魚相手に実力も何もないが……分かるか? 我輩の強さが」
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