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本編
31.天使狩り
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クマさんも白天教会から迷惑を被っているらしい。穏やかな性格なのではっきりとは言葉にしないものの、その気持ちが口ぶりに表れてしまっていた。
「白天教会はどうやら、自分達に従わない治療師を駆逐しようとしているらしいのです。服従か死か。そのような傲慢な二択を押し付け、実際に何名かの犠牲者も出ているようです。回復魔術の使い手は、逆に攻撃魔術を苦手とすることがほとんどで、できるのはせいぜい防御魔術で抵抗する程度。ですが当然、攻め手がなければいつか守りを破られてしまうので、時間の問題に過ぎません」
戦いの本質は、相手を打ち負かすことだからな。仮に負けることはなくても勝つことができないんじゃ、勝負がつくことはない。そして時間切れがないなら、負けたようなもんだ。
「私の所に来たのも、そのような選択を迫るためでした。一度は断りましたが、剣呑な雰囲気を感じて建前は保留としておき、難を逃れたのです。ただ、さっきまでいた監視者は急にどこかに行ってしまい、今は久しぶりに自由になっています。何かあったのでしょうか?」
「それは多分、俺と関係がありますね。実はあいつらに捕まってた所から脱出するときに、ちょっとやり合いまして。あいつらのボスっぽいメズって奴は逃してしまったんですけど、片腕のゴズって奴はぶっ飛ばしてやりました。なんで、俺のことを探すのに手を集めてるんじゃないですかね?」
それが裏目に出て、俺はここに辿り着くことができたわけだけど。でももしかしたらそのうち戻ってくるかもな。長居はできなさそうだ。
「なんと、あのゴズを? B級ライセンスの腕を持つとのことでしたが、あなたはそれ以上の腕前なの? すごいのねぇ」
ま、あんなデカイだけのノロマは相手にならんかったけどね。あいつより強いメンバーはいるのだろうか。
「あいつくらいのなら何人いようが大丈夫です。なんか結構迷惑な奴らっぽいし、この際片付けてやりましょう。俺もちょっかい出されて怒ってますし」
そう言うと、クマさんはまず驚きに目を見開き、それから少し目を伏せて、残念そうにかぶりを振った。
「その心意気はとても頼もしいのですが、難しいでしょう。というのは、これまで長い間それなりに大人しかった彼らが急にこのような動きに出たのは、何か切り札を手に入れたからのようなんです。正体は分かりませんが、彼らはそれを『天使様』と呼んでいました。まさか、本物の天使が現れたとは思えませんが……」
お、ゴズより頼りになるやつがいるのね。あの程度で威張られたら逆に困るってなもんだけど。
「やってみなきゃ分かりませんよ。大丈夫、こう見えて俺も結構なもんですから。そんで一つお願いなんですけど、しっかり護衛しますんで、街にいる俺のもう一人の仲間にも回復魔術を頼めませんかね?」
「それはもちろん構いませんが……やはり街に出るのは危険なように思えます。ごめんなさい、あなたの腕を疑うわけではなくて、ただやっぱり難しいのではと……」
そりゃそんな急に信じられないよね。さてどうしたもんか……
と、そのとき。表の方からでっかい唸り声だか吠え声だかが聞こえてきた。モンスターか?
「いけない! もう戻ってきたようです、早く逃げねば! あの子を連れて行きましょう!」
気配を探ってみると、敵は二体のようだ。慌てるクマさんに、俺は目を見据えて言い聞かせる。
「そんなに慌てなくても大丈夫です。幸い敵は少ないみたいなんで、ちょちょっと片付けてきます。落ち着いてから出ましょう。とりあえず、準備だけしといてください」
呆気にとられるクマさんを置いて、俺は表に出た。魔剣はないけど、なんとかなるでしょ。
そうして現れたのは、どデカイ牛と、これまたどデカイ羊のペアだった。どっちも羽が生えていて、全体的に白っぽい。
あれ? これってもしかして、白天教会がなんか手を加えてるってことか? 森の中で出会ったモンスターも、こいつらのご同類ってことなのかも。
道理で、こんな森に不釣り合いな感じの風体なわけだ。
「オラよ、どっからでもかかってこい。こっちは丸腰だ、チャンスだぞ」
人差し指をチョンチョンやってブルースリーばりの挑発をかまし、向こうの動きを待つ。
二体いるからな、こっちから行って一体の相手をする間に、もう一体がアビ達の方に行ったら困るのだ。
果たして、まずは牛の方が突っ込んできた。四本生えた角で串刺しにしようという狙いのようだ。
俺は正面からその突撃を受け止め、掴んだ角を軸にぐいっと横に回転させる。
【イヌイは 天地受け を使った】
思いっきり捻られて首の骨が折れたらしく、牛はズシンと沈んでそのまま動かなくなる。まずは一匹。
続いて、鹿の方はツノを振り上げた。何をするのかと思いきや、左右の角の間にバリバリ放電する球体が生まれた。
なぜ鹿が雷属性? あ、天の裁き的な?
それはおこがましいってもんだぜ。そういう正義は我にあり的なのはムカつく。思いっきり蹴散らしてやるぞ。
「白天教会はどうやら、自分達に従わない治療師を駆逐しようとしているらしいのです。服従か死か。そのような傲慢な二択を押し付け、実際に何名かの犠牲者も出ているようです。回復魔術の使い手は、逆に攻撃魔術を苦手とすることがほとんどで、できるのはせいぜい防御魔術で抵抗する程度。ですが当然、攻め手がなければいつか守りを破られてしまうので、時間の問題に過ぎません」
戦いの本質は、相手を打ち負かすことだからな。仮に負けることはなくても勝つことができないんじゃ、勝負がつくことはない。そして時間切れがないなら、負けたようなもんだ。
「私の所に来たのも、そのような選択を迫るためでした。一度は断りましたが、剣呑な雰囲気を感じて建前は保留としておき、難を逃れたのです。ただ、さっきまでいた監視者は急にどこかに行ってしまい、今は久しぶりに自由になっています。何かあったのでしょうか?」
「それは多分、俺と関係がありますね。実はあいつらに捕まってた所から脱出するときに、ちょっとやり合いまして。あいつらのボスっぽいメズって奴は逃してしまったんですけど、片腕のゴズって奴はぶっ飛ばしてやりました。なんで、俺のことを探すのに手を集めてるんじゃないですかね?」
それが裏目に出て、俺はここに辿り着くことができたわけだけど。でももしかしたらそのうち戻ってくるかもな。長居はできなさそうだ。
「なんと、あのゴズを? B級ライセンスの腕を持つとのことでしたが、あなたはそれ以上の腕前なの? すごいのねぇ」
ま、あんなデカイだけのノロマは相手にならんかったけどね。あいつより強いメンバーはいるのだろうか。
「あいつくらいのなら何人いようが大丈夫です。なんか結構迷惑な奴らっぽいし、この際片付けてやりましょう。俺もちょっかい出されて怒ってますし」
そう言うと、クマさんはまず驚きに目を見開き、それから少し目を伏せて、残念そうにかぶりを振った。
「その心意気はとても頼もしいのですが、難しいでしょう。というのは、これまで長い間それなりに大人しかった彼らが急にこのような動きに出たのは、何か切り札を手に入れたからのようなんです。正体は分かりませんが、彼らはそれを『天使様』と呼んでいました。まさか、本物の天使が現れたとは思えませんが……」
お、ゴズより頼りになるやつがいるのね。あの程度で威張られたら逆に困るってなもんだけど。
「やってみなきゃ分かりませんよ。大丈夫、こう見えて俺も結構なもんですから。そんで一つお願いなんですけど、しっかり護衛しますんで、街にいる俺のもう一人の仲間にも回復魔術を頼めませんかね?」
「それはもちろん構いませんが……やはり街に出るのは危険なように思えます。ごめんなさい、あなたの腕を疑うわけではなくて、ただやっぱり難しいのではと……」
そりゃそんな急に信じられないよね。さてどうしたもんか……
と、そのとき。表の方からでっかい唸り声だか吠え声だかが聞こえてきた。モンスターか?
「いけない! もう戻ってきたようです、早く逃げねば! あの子を連れて行きましょう!」
気配を探ってみると、敵は二体のようだ。慌てるクマさんに、俺は目を見据えて言い聞かせる。
「そんなに慌てなくても大丈夫です。幸い敵は少ないみたいなんで、ちょちょっと片付けてきます。落ち着いてから出ましょう。とりあえず、準備だけしといてください」
呆気にとられるクマさんを置いて、俺は表に出た。魔剣はないけど、なんとかなるでしょ。
そうして現れたのは、どデカイ牛と、これまたどデカイ羊のペアだった。どっちも羽が生えていて、全体的に白っぽい。
あれ? これってもしかして、白天教会がなんか手を加えてるってことか? 森の中で出会ったモンスターも、こいつらのご同類ってことなのかも。
道理で、こんな森に不釣り合いな感じの風体なわけだ。
「オラよ、どっからでもかかってこい。こっちは丸腰だ、チャンスだぞ」
人差し指をチョンチョンやってブルースリーばりの挑発をかまし、向こうの動きを待つ。
二体いるからな、こっちから行って一体の相手をする間に、もう一体がアビ達の方に行ったら困るのだ。
果たして、まずは牛の方が突っ込んできた。四本生えた角で串刺しにしようという狙いのようだ。
俺は正面からその突撃を受け止め、掴んだ角を軸にぐいっと横に回転させる。
【イヌイは 天地受け を使った】
思いっきり捻られて首の骨が折れたらしく、牛はズシンと沈んでそのまま動かなくなる。まずは一匹。
続いて、鹿の方はツノを振り上げた。何をするのかと思いきや、左右の角の間にバリバリ放電する球体が生まれた。
なぜ鹿が雷属性? あ、天の裁き的な?
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