深い森の彼方に

とも茶

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第四章 放逐刑

4-1

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数週間が過ぎ、朝、管理事務所にリーダーが来ていた。
「最近通報がこないな。欲情することがなくなったか。」
「そんなことないです。若い女性のあんな恰好を見ていて興奮しないわけありません。つらいです。実は生理ナプキンを使うようにしたんで・・・」
「なんだやっぱりそうか。ちゃんと新しいのを買って使ってるんだろうな。」
「無理です、毎日使うだけ生理用品を買う余裕なんてありません。」
「トイレで拾った使い古しのナプキンを使ってるのか。お前のあそこは切り落としたばかりだ。女のオリモノに含まれる雑菌が傷口から侵入すると大変なことになるぞ。」
「でも、しょうがないです・・・  ですから、欲情しないように、あんな粘液が出てこないように、玉も取ってほしいんです。お願いします。」
「そうはいかない。お前はまだわからないだろうが、これはここで決めた大方針なのだ。あきらめろ。慣れれば女の股間など珍しくなくなる。」
「そんな無理です。女性に欲情しなくなるなんて絶対に無理です。それなら、帰してください。私が来た元の世界に戻してください。私はほんとうは、女になりたいなんて思っていないんです。元の世界なら、こんな女性の明け透けなところ見なくてすみます。お願いします。」
徹底的に殴られるものと覚悟した。しかし、リーダーは殴らなかった。
「そんな身体になって、向こうの世界じゃ片輪だぞ。それにそんな格好で。」
「いいんです。どうせ私は変質者ですから。変態と罵られてもいいんです。」
「そもそも、お前の心の奥底を読み取ってここにつれてきたんだ。既にここではお前の考えているような状況ではない。」
「いいです。どんなになってもいいんです。帰して下さい。」
「そんなに言うんなら知らんぞ。好きにしろ。」
リーダーがどのように命令したのかよくわからないが、すぐに二人の兵士が駆けつけリーダーの後ろに直立不動で指示を待った。リーダーは私に立ち威厳のある声で宣言した。
「この者は我々の住むこの世界にはふさわしくない人間だった。変態で異常者だ。この国で暮らしていくにはふさわしくない変質者だということがわかった。直ちに放逐刑に処すことにする。連れて行け。」
兵士は私の前に立ちはだかった。
「大丈夫です。自分で歩きますから。」
「寝ぼけたことをいうな。お前は掟に背く重罪人だ。だから放逐刑に処したのだ。重罪人に我が国の領土内で自由な行動は一切許さない。早く連れて行け」
後手に手錠をかけられ、腰縄を巻かれた。兵士に促され、私は歩き出した。
管理事務所の管理人の女性はリーダーにささやいた。
「いいんですかい、リーダー。放り出してしまって。」
「いいさ、どうせすぐに戻ってくるさ。」

私は、二人の女兵士たちとともに城郭までやってきた。重々しい入り口の扉が開かれると手錠と腰縄が外され、いきなり外に蹴落とされた。すぐに背後の扉は閉じられた。立ち上がって前を見ると、数十メートル先には鬱蒼とした深い森が広がっていた。
深い森の奥に通じる獣道はすぐ分った。遥か彼方まで続いているが、この道が元の世界に続いているはずだ。一刻も早く元の世界に戻りたかった。脂ぎった男たちと同じように暮していかなくてはならないのはつらかったが、あの女だらけの世界よりははるかにましだと思った。走るようなスピードで獣道を歩いた。しかし、行けども行けども獣道は続いた。前を見ても振り返っても遥か彼方まで続く獣道は森の闇の中に溶け込んでいた。どうしても深い森は抜けることができなかった。時折倒木に躓き、つる草に足を取られ転んだ。昨日の晩きれいに洗濯し寝押しまでして小ぎれいにしていたブラウスやスカートは泥だらけになった。枝に引っかかりかぎ裂きもできた。湿った泥にまみれスカートのヒダは取れかかった。髪はボサボサだった。せっかくの化粧は鏡もないのでどうなっているのかも分らなかった。

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