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最終章 リーダーは誰?
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本部に顔を出した。
「お疲れ様です。フリヒラ女がトラブルを起こしたそうで・・・」
「しかし、もう会うことはないのかもしれません。」
「そうですね、この数日、他の世界との共鳴が激しくなっていたのですが、今日昼ごろからだいぶ落ち着いてきました。もうこのようなことは起きないと思います。」
しばらく会話は途切れた。
「彼女は私のことをリーダーと言っていました。」
「その点についてはあの女の言うことは正しいのです。」
「私がリーダー?」
「そうです。あなたがこの世界のリーダーです。どこでそのことがあの女の耳に入ったのかはわかりません。でも事実です。」
「私があの女の股間を切断したような言い方を・・・」
「その点は誤解というか、事実関係が混乱していたように思います。あの女のリーダーはあの女の世界のリーダーです。そのリーダーがどのような人物かはわかりませんが、あなた、つまりこの世界のリーダーとは違います。」
「彼女は、自分の世界とこちらの世界との区別がつかずに、私のことをリーダーと誤解した・・・」
「恐らく、あの女に見えている世界、つまりあの女の世界に、あなたが紛れ込むように見えていたのだと思います。そして、司令官や基地はあの女の世界の統治組織と認識していて、向こうのリーダーが現れる、そこにあなたの姿が混在して同一人物と見えたのではないでしょうか。」
「同じような行動をしていたということですか。服装が違うだけで。」
「リーダーの役割はこの想念の世界では、誰の想念であっても全く共通なのです。」
この日から、運転手も本部の受付も誰もが私のことをリーダーと呼び始めた。町の食料品店でも、ブティックでも、背景であるはずの人たちも私と会話をするのときには生気を取り戻し現実感をもって話をしたが、彼女たちも私をリーダーといった。そして会話を終えると再び背景に戻り彼女たちが交わしている会話は理解不能となった。
翌日、司令官との約束どおりに地下街の管理室に行った。
この日の司令官は、管理人として勤務しているようだ。軍服ではなくセーラー服、それに椅子にくだけた格好で腰掛け、向かいの椅子に足を投げ出している。基地の司令官とは別人のような態度だ。
「これはリーダー、こんな恰好をしていて申し訳ありませんでした。」
「いえ、ちょっと早かったでしょうか。でも基地での雰囲気とずいぶん違いますね。」
「まあ、ここでは緊張状態にはありません。気が楽といえばそのとおりですね。それはそうとリーダーに合わせたいという方ですが、今日は天気がいいので地上の公園にいるはずです。私が同行しないほうがいいと思いますので、お一人で行かれたらどうでしょう。」
司令官の指示にしたがって、私は地上に出た。天気がいいこともあり大勢の市民が公園の広場で散策していた。しかし、大勢の市民は基本的には背景だ。老人も子供も中にはいるが大半は美しい若い女性だ。型どおりのにこやかな表情を浮かべているが、現実感に乏しい光景だ。彼女たちが交わしている会話は、全く意味がわからない。
その中に、一カ所だけクッキリと周囲から浮き出た現実感のある光景がぽつんと見てとれた。セピア色のモノクロ写真のなかにカラーの部分があって、それが浮き出ているように見える。そこだけが実在の光景なのだ。そばに近づくと、車いすに腰掛けた老人とその介護をしているらしい純白のナース服姿の若い女性だった。
そもそもこの世界に老人は少ない。最初の宿舎生活では、老人たちが宿舎で傍若無人な態度で仕切っていたが、それも宿舎のあるべき姿が老人という小道具を配することにより成り立っていたはずだ。あとは、年配の女性といえば、宿舎の厚化粧、中年の運転手や受付、せいぜい司令官程度だ。それが、老女が現実の姿としてありありと見えているのだ。
「お疲れ様です。フリヒラ女がトラブルを起こしたそうで・・・」
「しかし、もう会うことはないのかもしれません。」
「そうですね、この数日、他の世界との共鳴が激しくなっていたのですが、今日昼ごろからだいぶ落ち着いてきました。もうこのようなことは起きないと思います。」
しばらく会話は途切れた。
「彼女は私のことをリーダーと言っていました。」
「その点についてはあの女の言うことは正しいのです。」
「私がリーダー?」
「そうです。あなたがこの世界のリーダーです。どこでそのことがあの女の耳に入ったのかはわかりません。でも事実です。」
「私があの女の股間を切断したような言い方を・・・」
「その点は誤解というか、事実関係が混乱していたように思います。あの女のリーダーはあの女の世界のリーダーです。そのリーダーがどのような人物かはわかりませんが、あなた、つまりこの世界のリーダーとは違います。」
「彼女は、自分の世界とこちらの世界との区別がつかずに、私のことをリーダーと誤解した・・・」
「恐らく、あの女に見えている世界、つまりあの女の世界に、あなたが紛れ込むように見えていたのだと思います。そして、司令官や基地はあの女の世界の統治組織と認識していて、向こうのリーダーが現れる、そこにあなたの姿が混在して同一人物と見えたのではないでしょうか。」
「同じような行動をしていたということですか。服装が違うだけで。」
「リーダーの役割はこの想念の世界では、誰の想念であっても全く共通なのです。」
この日から、運転手も本部の受付も誰もが私のことをリーダーと呼び始めた。町の食料品店でも、ブティックでも、背景であるはずの人たちも私と会話をするのときには生気を取り戻し現実感をもって話をしたが、彼女たちも私をリーダーといった。そして会話を終えると再び背景に戻り彼女たちが交わしている会話は理解不能となった。
翌日、司令官との約束どおりに地下街の管理室に行った。
この日の司令官は、管理人として勤務しているようだ。軍服ではなくセーラー服、それに椅子にくだけた格好で腰掛け、向かいの椅子に足を投げ出している。基地の司令官とは別人のような態度だ。
「これはリーダー、こんな恰好をしていて申し訳ありませんでした。」
「いえ、ちょっと早かったでしょうか。でも基地での雰囲気とずいぶん違いますね。」
「まあ、ここでは緊張状態にはありません。気が楽といえばそのとおりですね。それはそうとリーダーに合わせたいという方ですが、今日は天気がいいので地上の公園にいるはずです。私が同行しないほうがいいと思いますので、お一人で行かれたらどうでしょう。」
司令官の指示にしたがって、私は地上に出た。天気がいいこともあり大勢の市民が公園の広場で散策していた。しかし、大勢の市民は基本的には背景だ。老人も子供も中にはいるが大半は美しい若い女性だ。型どおりのにこやかな表情を浮かべているが、現実感に乏しい光景だ。彼女たちが交わしている会話は、全く意味がわからない。
その中に、一カ所だけクッキリと周囲から浮き出た現実感のある光景がぽつんと見てとれた。セピア色のモノクロ写真のなかにカラーの部分があって、それが浮き出ているように見える。そこだけが実在の光景なのだ。そばに近づくと、車いすに腰掛けた老人とその介護をしているらしい純白のナース服姿の若い女性だった。
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