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七話 ご家族へのご挨拶
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淡い菫色のドレスのスカートの裾には、可愛らしい蝶が刺繍されている。胸元に飾られている花の飾りは淡い色合いで揃えられ、それを着たココレットはまるで花の妖精のようであった。
クルリとまわればスカートはふわりと広がり、ヒールのある淡い桃色の靴をカツカツと鳴らして鏡の前でココレットはポーズを取った。
ココレットの両親はそんなココレットの姿をハンカチを片手に潤んだ瞳で見つめている。
「良かったよ。ココレット。きっと第二王子殿下ならばココレットを幸せにしてくれる。」
「えぇそうね。婚約が破棄された時は絶望したけれど、今になってみれば、ココレットは殿下と運命の赤い糸でつながっていたのねきっと。」
まるですぐにでもお嫁に行くような雰囲気に、ココレットは苦笑を浮かべて両親の手をぎゅっと握り、にこっと可愛らしく笑って言った。
「お父様、お母様、私頑張ってきますね。」
父親と母親にぎゅっと抱きしめられ、ココレットはその温かさに心まで幸せな気持ちに包まれる。両親の後ろに控えていたシシリーはすでに大号泣をしており、肩を大きく上下させている。
「お嬢様ぁ。ようございました。本当にようございましたぁ。シシリーは、シシリーは・・うっ・・・」
「シシリー大丈夫!?」
「嬉しくて心臓が止まりかけましたぁぁぁぁ。」
「止まらなくて何よりよ!」
そんな二人のやり取りに両親は笑い、ココレットもそれにつられてまた笑みを浮かべた。
「大丈夫。ココレットは自慢の娘だ。きっと幸せになれるさ。」
「ココレットらしくね。いってらっしゃい。」
「はい。行ってまいります。シシリー。そんなに泣くと脱水になるわよ。ちゃんと屋敷に入ってから水分を取るのよ?」
「はいぃぃ。お嬢様、お、お気をつけてぇ。」
「夕方までには帰るから、そんなに今生の別れみたいにしないでちょうだいよ。」
二人から離れ、手を振って王宮から迎えに来てくれた馬車へと乗る。貧乏男爵家の馬車とは違い、馬車の中にはふかふかの座席と、クッションが置かれている。
馬車の小窓から見送る両親とシシリーにもう一度手を振ったところで、馬車が動き始めた。
馬の蹄の音が軽快に聞こえる。
ココレットは先ほどの両親とシシリーの姿を思い出して苦笑を浮かべた。今日はただ挨拶に行くだけだと言うのに、大げさすぎる別れであった。
けれど、それが嫌な訳ではない。
自分の事を心配してくれたり、大切に思ってくれたりしているのだと伝わってココレットの胸は温かくなる。だからこそ、今度のこの婚約は破棄にならないように、ローワンとの関係が良好なものとなるように頑張っていかなければならないと、ココレットは意気込んだ。
王宮につき、馬車が開くと、ローワンが出迎えてくれた。それだけでココレットの胸は高鳴る。
「本日はお招きいただきありがとうございます。」
「いや、私も楽しみにしていたんだ。うん。とても可愛らしいね。良く似合っているよ。」
ドレス姿を褒められ、ココレットは頬を赤らめた。頭の中でしていた妄想通り、ローワンは何とも婚約者らしい言葉で褒めてくれて嬉しくなる。
「ありがとうございます。素敵なドレスや小物も、プレゼントは初めてだったので、とても嬉しかったです。」
その言葉に、ローワンは一瞬動きを止め、そして頷くと言った。
「そうか。・・初めてだったのか。うん。・・そうか。うん。」
「殿下?」
「あ、あぁ。いや大丈夫。では行こうか。」
プレゼントとして持ってきた匂い袋は、王宮の執事へと手渡しておく。婚約者からのプレゼントでもしっかりと問題がないかチェックが必要であり、後程返してもらえる手筈となっている。
ローワンにエスコートされて王宮内を歩いていく。舞踏会に来た時には、たくさんの人の姿があったが、今はそれほど人は多くなく、騎士や、侍女の姿がちらほらと見えるだけである。
王宮はいつ見ても立派なもので、白を基調にした作りになっている。通路には精霊をモチーフにした彫刻が並んでおり、土台の部分には、精霊を象徴する魔法石が埋め込まれている。
ローワンに案内され、扉の目の前に立ったココレットは、自分の心臓の音が大きく聞こえ、自分の脈がいつもよりも早くなっている事に気付く。
-大丈夫よ。ちゃんと私だって挨拶できるわ。頑張るのよココレット!
自分を鼓舞するココレットは扉が開き、ローワンにエスコートされて中に入る。部屋の中には国王と王妃が揃ってソファに腰掛けている。
ココレットは出来るだけ美しく見えるようにカテーシーを行い、挨拶を述べる。
「本日はお招きありがとうございます。男爵家より参りましたココレット・ステフでございます。これから第二王子殿下の婚約者としてよろしくお願いいたしっ・・まふ。」
カチンコチンに緊張しているココレットは最後に舌を噛み、瞳を潤ませる。そんなココレットを励ますように、ローワンがそっと背中に手を当て、ココレットににっこりと笑みを浮かべる。
「大丈夫だよ。私の両親はたしかに一筋縄ではいかない人だけれど、君のような可愛い人をいじめるような大人ではないからね。」
ココレットはローワンの口にした”可愛い人”という言葉に反応し、顔を一気に赤らめる。そんなココレットの姿に国王と王妃は苦笑を浮かべた。
「そうだとも。さぁ、ココレット嬢。お坐りなさい。息子の婚約者となる娘さんとは仲良くなりたいんだ。」
「そうそう。ココレット、お義母様のお膝に来てもいいのよ?」
「セレステ。それはダメだろう。それではお前が独り占めすることになる。」
「あらアーサー。焼きもち?ふふふ。でも今日は我慢するわ。その代り、たくさんお話ししましょうね。」
アーサー国王とセレステ王妃の柔らかな雰囲気に、ココレットもどうにか緊張を緩めると、ローワンに促されてソファへと腰掛けた。
ふかふかのソファのすわり心地と手触りがあまりにもいいものだから、ココレットはさすが王宮。全てが一流の物なのだなと、男爵家との違いを思い知った。もっと比べようがあっただろうに、あまりに狭いココレットの視野である。
しばらくの間会話をした後に、二人は国王と王妃と別れ、第一王子であるレオナルドの元へと移動することとなった。
「兄は起きている時間の方が短いから・・・恐らくはまだ寝ていると思う。」
「はい。」
部屋を軽くノックすると、中から侍女が扉を開けた。
レオナルドの部屋は窓を開けて風が通され、部屋の中には美しい花が飾られていた。ベッドの中で眠るレオナルドの顔色は青ざめており、唇は紫になっており血色が悪い。
ココレットとローワンはベッドの横にある椅子に腰かけた。
すーすーという小さな寝息が聞こえた。
「兄上。今度私の婚約者となったココレットだよ。寝ている時にごめんね。」
ローワンがそう声をかけると、ゆっくりとレオナルドが瞳を開いた。ローワンは父親に似ているが、レオナルドは母親似なのだろう。美しい顔立ちをしている。
「あぁ・・もうそんな時間か・・・寝てしまっていた。すまないね。ココレット嬢、よろしくね。」
薄らとほほ笑みを浮かべるレオナルドに、ココレットは頭を下げて言った。
「男爵家から参りましたココレット・ステフです。よろしくお願いいたします。」
「あぁ。ふふふ。本当に可愛らしいご令嬢だね。まるで花の妖精のようだ。ローワン。婚約者が決まって良かったね。」
「うん・・・兄上、今日の調子はどう?」
ローワンはレオナルドを心配し、体調を気遣う。その姿をココレットは見つめながら、部屋の中に広がる香りの違和感に、鼻をスンスンと鳴らした。少し犬のようである。
-この香り、何かしら?
どこかで嗅いだことのある、少し鼻にツンと来るような刺激。一般人には分からないであろうわずかなものであるが、ココレットはそれが気になって仕方がない。
その時、花瓶に挿してある1輪の花に気が付いた。
ガタリと、音を立ててココレットは立ち上がった。
「ココレット?」
ココレットは慌てた様子で突然ベッドに乗りあがるとレオナルドの顔を両手で包み、レオナルドの瞳をじっと覗き込んだ。
ローワンは突然のココレットの行動に声を荒げた。
「ココレット!?突然どうしたんだ!?」
レオナルドの青い瞳の色は濁っており、瞳孔が横に微かに揺れているのを見てココレットの疑問は確信へと変わる。
-毒だわ。・・まさか、何故あの花がこの国にあるの?
ココレットは動揺し、体をわずかに震わせた。
クルリとまわればスカートはふわりと広がり、ヒールのある淡い桃色の靴をカツカツと鳴らして鏡の前でココレットはポーズを取った。
ココレットの両親はそんなココレットの姿をハンカチを片手に潤んだ瞳で見つめている。
「良かったよ。ココレット。きっと第二王子殿下ならばココレットを幸せにしてくれる。」
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「お嬢様ぁ。ようございました。本当にようございましたぁ。シシリーは、シシリーは・・うっ・・・」
「シシリー大丈夫!?」
「嬉しくて心臓が止まりかけましたぁぁぁぁ。」
「止まらなくて何よりよ!」
そんな二人のやり取りに両親は笑い、ココレットもそれにつられてまた笑みを浮かべた。
「大丈夫。ココレットは自慢の娘だ。きっと幸せになれるさ。」
「ココレットらしくね。いってらっしゃい。」
「はい。行ってまいります。シシリー。そんなに泣くと脱水になるわよ。ちゃんと屋敷に入ってから水分を取るのよ?」
「はいぃぃ。お嬢様、お、お気をつけてぇ。」
「夕方までには帰るから、そんなに今生の別れみたいにしないでちょうだいよ。」
二人から離れ、手を振って王宮から迎えに来てくれた馬車へと乗る。貧乏男爵家の馬車とは違い、馬車の中にはふかふかの座席と、クッションが置かれている。
馬車の小窓から見送る両親とシシリーにもう一度手を振ったところで、馬車が動き始めた。
馬の蹄の音が軽快に聞こえる。
ココレットは先ほどの両親とシシリーの姿を思い出して苦笑を浮かべた。今日はただ挨拶に行くだけだと言うのに、大げさすぎる別れであった。
けれど、それが嫌な訳ではない。
自分の事を心配してくれたり、大切に思ってくれたりしているのだと伝わってココレットの胸は温かくなる。だからこそ、今度のこの婚約は破棄にならないように、ローワンとの関係が良好なものとなるように頑張っていかなければならないと、ココレットは意気込んだ。
王宮につき、馬車が開くと、ローワンが出迎えてくれた。それだけでココレットの胸は高鳴る。
「本日はお招きいただきありがとうございます。」
「いや、私も楽しみにしていたんだ。うん。とても可愛らしいね。良く似合っているよ。」
ドレス姿を褒められ、ココレットは頬を赤らめた。頭の中でしていた妄想通り、ローワンは何とも婚約者らしい言葉で褒めてくれて嬉しくなる。
「ありがとうございます。素敵なドレスや小物も、プレゼントは初めてだったので、とても嬉しかったです。」
その言葉に、ローワンは一瞬動きを止め、そして頷くと言った。
「そうか。・・初めてだったのか。うん。・・そうか。うん。」
「殿下?」
「あ、あぁ。いや大丈夫。では行こうか。」
プレゼントとして持ってきた匂い袋は、王宮の執事へと手渡しておく。婚約者からのプレゼントでもしっかりと問題がないかチェックが必要であり、後程返してもらえる手筈となっている。
ローワンにエスコートされて王宮内を歩いていく。舞踏会に来た時には、たくさんの人の姿があったが、今はそれほど人は多くなく、騎士や、侍女の姿がちらほらと見えるだけである。
王宮はいつ見ても立派なもので、白を基調にした作りになっている。通路には精霊をモチーフにした彫刻が並んでおり、土台の部分には、精霊を象徴する魔法石が埋め込まれている。
ローワンに案内され、扉の目の前に立ったココレットは、自分の心臓の音が大きく聞こえ、自分の脈がいつもよりも早くなっている事に気付く。
-大丈夫よ。ちゃんと私だって挨拶できるわ。頑張るのよココレット!
自分を鼓舞するココレットは扉が開き、ローワンにエスコートされて中に入る。部屋の中には国王と王妃が揃ってソファに腰掛けている。
ココレットは出来るだけ美しく見えるようにカテーシーを行い、挨拶を述べる。
「本日はお招きありがとうございます。男爵家より参りましたココレット・ステフでございます。これから第二王子殿下の婚約者としてよろしくお願いいたしっ・・まふ。」
カチンコチンに緊張しているココレットは最後に舌を噛み、瞳を潤ませる。そんなココレットを励ますように、ローワンがそっと背中に手を当て、ココレットににっこりと笑みを浮かべる。
「大丈夫だよ。私の両親はたしかに一筋縄ではいかない人だけれど、君のような可愛い人をいじめるような大人ではないからね。」
ココレットはローワンの口にした”可愛い人”という言葉に反応し、顔を一気に赤らめる。そんなココレットの姿に国王と王妃は苦笑を浮かべた。
「そうだとも。さぁ、ココレット嬢。お坐りなさい。息子の婚約者となる娘さんとは仲良くなりたいんだ。」
「そうそう。ココレット、お義母様のお膝に来てもいいのよ?」
「セレステ。それはダメだろう。それではお前が独り占めすることになる。」
「あらアーサー。焼きもち?ふふふ。でも今日は我慢するわ。その代り、たくさんお話ししましょうね。」
アーサー国王とセレステ王妃の柔らかな雰囲気に、ココレットもどうにか緊張を緩めると、ローワンに促されてソファへと腰掛けた。
ふかふかのソファのすわり心地と手触りがあまりにもいいものだから、ココレットはさすが王宮。全てが一流の物なのだなと、男爵家との違いを思い知った。もっと比べようがあっただろうに、あまりに狭いココレットの視野である。
しばらくの間会話をした後に、二人は国王と王妃と別れ、第一王子であるレオナルドの元へと移動することとなった。
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「はい。」
部屋を軽くノックすると、中から侍女が扉を開けた。
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「あぁ。ふふふ。本当に可愛らしいご令嬢だね。まるで花の妖精のようだ。ローワン。婚約者が決まって良かったね。」
「うん・・・兄上、今日の調子はどう?」
ローワンはレオナルドを心配し、体調を気遣う。その姿をココレットは見つめながら、部屋の中に広がる香りの違和感に、鼻をスンスンと鳴らした。少し犬のようである。
-この香り、何かしら?
どこかで嗅いだことのある、少し鼻にツンと来るような刺激。一般人には分からないであろうわずかなものであるが、ココレットはそれが気になって仕方がない。
その時、花瓶に挿してある1輪の花に気が付いた。
ガタリと、音を立ててココレットは立ち上がった。
「ココレット?」
ココレットは慌てた様子で突然ベッドに乗りあがるとレオナルドの顔を両手で包み、レオナルドの瞳をじっと覗き込んだ。
ローワンは突然のココレットの行動に声を荒げた。
「ココレット!?突然どうしたんだ!?」
レオナルドの青い瞳の色は濁っており、瞳孔が横に微かに揺れているのを見てココレットの疑問は確信へと変わる。
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