【完結】ちびっ子元聖女は自分は成人していると声を大にして言いたい

かのん

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四十五話 最終話

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 ココレットの庭は今日も賑わっている。

 新たに新種の薬草なども生えだすものだから、魔術師達は大喜びで、小躍りしながら研究に精を出しているのである。

 そしてローワンは元気を取り戻すと、ココレットと毎日のように庭で会うようになり、そして今日は大きな花束を持って現れた。

 魔術師達は空気を読んで、早々にゲートを通ってその場から退散していく。


「あら、ローワン様、どうしたのですか?」

 不思議そうにココレットが小首をかしげると、ローワンはその場に膝をつく。

 いつもとは違う雰囲気に、ココレットは息を呑む。

「ココレット。」

「は、はい!」

 ドキドキとココレットが心臓を高鳴らせていると、ローワンはゆっくりと口を開いた。

「私は君を、愛している。だから結婚してほしい」

 はっきりと言われた言葉に、ココレットはぱぁぁぁっと輝かせて頷こうとしたのだが、ふと、一瞬心が冷静になっていく。

 ココレットは呼吸を整えると、やはり一度ちゃんと確かめておこうと、決心する。

「ローワン様は、幼女趣味では」

「ない」

「では、聖女の力を欲して?」

「違う」

 ローワンの真っ直ぐな瞳を、ココレットは疑うようにじっと見つめ、そしてぷっと噴き出した。

「ごめんなさい。つい、確認したくなっちゃって」

 くすくすと笑うココレットに、ローワンは小さくため息をつくと言った。

「私は返事を待っているのだけれど、私の愛しい人は、返事をくれないのかな?」

 ココレットはその不貞腐れるような表情に、また笑うと、優雅に一礼していった。

「喜んでお受けいたします。私も、ローワン様が大好きです!」

 そしてローワンの胸の中へとココレットは飛びこんだ。

 その瞬間、ココレットの庭にたくさんの妖精達が飛び交い、溢れ、そして光の柱を作る。

「あ」

「うわぁ……」

 妖精達はココレットを祝福しようと踊り歌い、大はしゃぎである。

 その様子にヴィシアンドルが慌てて訪れた。

「何をやっているのですか!」

 シシリーは涙を流しながらハンカチで鼻水を拭きとっている。

「ようございましたぁぁぁ」

 ローワンは妖精やら精霊やらが入り乱れるその様子を見ながら、大きくため息をついた。

「後処理が大変そうだ」

 その通りである。

 ローワンはその後、このココレットの庭については不可思議な力により、精霊の庭となった場所であり、王家によって保護地区と定めるとした。

 そしてココレットの家にはその保護地区を守る役割を任せることとなったのだ。

「ココレット、頼むから聖女だと君がばれないようにしてくれないか」

「え? うん。そのつもりなんだけれど」

 ローワンの妻となったココレットではあったが、優しさから聖女だという事実を隠しきれない。なので国中でココレットは聖女様という噂が広がっている。

 国のパワーバランスを調整するローワンは大変である。

 ローワンの力によって聖女にはある程度自由が認められるようになり、昔のように監禁紛いな事はしなくなった。そのことを喜んだ精霊達が、王国に聖女をよく誕生させるようになったことを知る者はいない。

「ココレット様。遊びに来ましたよ」

 ヴィシアンドルがよくココレットの元を訪れるものだから、忙しいローワンとしては気が気ではない。

「また来たのか」

「はい。ここはとても空気がいいもので」

「ココレットは私のものなのだが?」

「はい。ですから、私はココレット様のお友達です」

 そこへドラゴニアからダシャも内密でたまにやってくるものだからローワンはさらに気が気ではない。

 ドラゴニアにはかなり慰謝料としてふっかけたものの、それでも国交が盛んになり、今では友好国としてやりとりする仲となっている。

 なんだかんだとにらみ合うローワンとヴィシアンドルであるが、ココレットは気づかない。

「今日はぽかぽかいい天気ですねぇ」

 ココレットの庭は今日も、賑やかである。


★★★★

 最後まで読んで下さりありがとうございました。
 最終話目前と言う所で、少し忙しくて間があいてしまいもうしわけなかったです。
 ここまで読んで下さった皆様に感謝を申し上げます。

『婚約破棄され続けたループ令嬢は今世は諦めることにした』がミーティアノベルス様から来年度電子書籍化予定となりました。

『魔法使いアルル』はアルファポリス様にて、来年度書籍化予定となっています。

 もしよろしければ、今後とも作者 かのん をよろしくお願いいたします。
 
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みんなの感想(50件)

ミドリ
2022.11.11 ミドリ

おもしろかったです。
みんなでわいわいと楽しくお話が終わった後も続いていく様子が良いですね。
ありがとうございました。

解除
マナ
2021.09.29 マナ

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マナ
2021.09.29 マナ

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