6 / 16
第六話
しおりを挟む
混沌の闇は、つい先日までは部屋の中で四肢をばたつかせているだけであった赤子が、部屋の中でお座りをするようになったのを見て、心の中に湧き上がる感情に驚いていた。
「すごいな!すごいぞ!この間まで背中がぐにゃぐにゃだったくせにな!お前、すごいな!」
赤子は混沌の闇に褒められているという事が分かるのか、きゃっきゃと楽しそうに声を上げている。そして、そればかりか、返事をするようにも声を上げるようになっていた。
「あー!あー!」
赤子を育て始めてから五か月ほどが経ち、赤子はやっと人でお座りが出来るようになったのである。
それを初めて見た瞬間、混沌の闇は、心の中に湧き上がる感情につられて部屋の中で踊った。
あの時の自分は思い返せばなんであのような行動をとったのだろうと首を傾げるのだが、混沌の闇はそれでもなお、赤子が一つできるようになることが増えると、その度に踊りたくなるのであった。
「お前はすごいな!人間だが、人間とは思えないほどのすごさだ!」
今まで人間などに関心など抱いたことのなかった混沌の闇ではあったが、こうも赤子の成長が素晴らしいと人間と言う生き物を見返さなければならないと思えてくる。
そしてここ最近気になることが混沌の闇にはあった。
赤子の親は、大抵、名前というもので子を呼んでいるのである。
これまでずっとお前と呼んでいた混沌の闇ではあったが、外に出た際に赤子の事をお前と呼んでいる姿に人から変な目で見られることがあり、少しばかり気になっていた。
「ふっ、、、お前も一人でお座りが出来るようになったからもう一人前だ。名前という物をつけてやろう。」
混沌の闇は、今まで名前という物を気にしたこともなかったし、考えた事もなかったのだが、赤子を育て始めてから気になるようになった。
町で人間の名前を調べたところによると、名前とは、意味を考えてつけるのだと言う。
だからこそ、混沌の闇は一生懸命に考えて、考え抜いて赤子の名前を決めた。
「聞いて驚け。お前の名は、ワイアットだ。意味は、小さき戦士よ。お前は生まれながらにして生という物に抗う戦士だった。強くなれよ。」
それを聞いていたワイアットは恭しげに頷いた。
「だぁ!」
最近では混沌の闇の事を”だぁ”と呼ぶようになり、ずりばいをしようとして、一生懸命に混沌の闇に視線を向ける。
「我がお前の事を強き戦士となるように鍛えてやるからな!」
「だぁ!」
元気いっぱいに返事をするワイアットではあったが、人の子を混沌の闇がどこまで強くしようと思っているのかを知る者は、定かではなかった。
「すごいな!すごいぞ!この間まで背中がぐにゃぐにゃだったくせにな!お前、すごいな!」
赤子は混沌の闇に褒められているという事が分かるのか、きゃっきゃと楽しそうに声を上げている。そして、そればかりか、返事をするようにも声を上げるようになっていた。
「あー!あー!」
赤子を育て始めてから五か月ほどが経ち、赤子はやっと人でお座りが出来るようになったのである。
それを初めて見た瞬間、混沌の闇は、心の中に湧き上がる感情につられて部屋の中で踊った。
あの時の自分は思い返せばなんであのような行動をとったのだろうと首を傾げるのだが、混沌の闇はそれでもなお、赤子が一つできるようになることが増えると、その度に踊りたくなるのであった。
「お前はすごいな!人間だが、人間とは思えないほどのすごさだ!」
今まで人間などに関心など抱いたことのなかった混沌の闇ではあったが、こうも赤子の成長が素晴らしいと人間と言う生き物を見返さなければならないと思えてくる。
そしてここ最近気になることが混沌の闇にはあった。
赤子の親は、大抵、名前というもので子を呼んでいるのである。
これまでずっとお前と呼んでいた混沌の闇ではあったが、外に出た際に赤子の事をお前と呼んでいる姿に人から変な目で見られることがあり、少しばかり気になっていた。
「ふっ、、、お前も一人でお座りが出来るようになったからもう一人前だ。名前という物をつけてやろう。」
混沌の闇は、今まで名前という物を気にしたこともなかったし、考えた事もなかったのだが、赤子を育て始めてから気になるようになった。
町で人間の名前を調べたところによると、名前とは、意味を考えてつけるのだと言う。
だからこそ、混沌の闇は一生懸命に考えて、考え抜いて赤子の名前を決めた。
「聞いて驚け。お前の名は、ワイアットだ。意味は、小さき戦士よ。お前は生まれながらにして生という物に抗う戦士だった。強くなれよ。」
それを聞いていたワイアットは恭しげに頷いた。
「だぁ!」
最近では混沌の闇の事を”だぁ”と呼ぶようになり、ずりばいをしようとして、一生懸命に混沌の闇に視線を向ける。
「我がお前の事を強き戦士となるように鍛えてやるからな!」
「だぁ!」
元気いっぱいに返事をするワイアットではあったが、人の子を混沌の闇がどこまで強くしようと思っているのかを知る者は、定かではなかった。
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる