【完結】混沌の闇は子育てに奮闘する!~普通の子どもはそんなに強くはならないと思う~

かのん

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第六話

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 混沌の闇は、つい先日までは部屋の中で四肢をばたつかせているだけであった赤子が、部屋の中でお座りをするようになったのを見て、心の中に湧き上がる感情に驚いていた。

「すごいな!すごいぞ!この間まで背中がぐにゃぐにゃだったくせにな!お前、すごいな!」

 赤子は混沌の闇に褒められているという事が分かるのか、きゃっきゃと楽しそうに声を上げている。そして、そればかりか、返事をするようにも声を上げるようになっていた。

「あー!あー!」

 赤子を育て始めてから五か月ほどが経ち、赤子はやっと人でお座りが出来るようになったのである。

 それを初めて見た瞬間、混沌の闇は、心の中に湧き上がる感情につられて部屋の中で踊った。

 あの時の自分は思い返せばなんであのような行動をとったのだろうと首を傾げるのだが、混沌の闇はそれでもなお、赤子が一つできるようになることが増えると、その度に踊りたくなるのであった。

「お前はすごいな!人間だが、人間とは思えないほどのすごさだ!」

 今まで人間などに関心など抱いたことのなかった混沌の闇ではあったが、こうも赤子の成長が素晴らしいと人間と言う生き物を見返さなければならないと思えてくる。

 そしてここ最近気になることが混沌の闇にはあった。

 赤子の親は、大抵、名前というもので子を呼んでいるのである。

 これまでずっとお前と呼んでいた混沌の闇ではあったが、外に出た際に赤子の事をお前と呼んでいる姿に人から変な目で見られることがあり、少しばかり気になっていた。

「ふっ、、、お前も一人でお座りが出来るようになったからもう一人前だ。名前という物をつけてやろう。」

 混沌の闇は、今まで名前という物を気にしたこともなかったし、考えた事もなかったのだが、赤子を育て始めてから気になるようになった。

 町で人間の名前を調べたところによると、名前とは、意味を考えてつけるのだと言う。

 だからこそ、混沌の闇は一生懸命に考えて、考え抜いて赤子の名前を決めた。

「聞いて驚け。お前の名は、ワイアットだ。意味は、小さき戦士よ。お前は生まれながらにして生という物に抗う戦士だった。強くなれよ。」

 それを聞いていたワイアットは恭しげに頷いた。

「だぁ!」

 最近では混沌の闇の事を”だぁ”と呼ぶようになり、ずりばいをしようとして、一生懸命に混沌の闇に視線を向ける。

「我がお前の事を強き戦士となるように鍛えてやるからな!」

「だぁ!」

 元気いっぱいに返事をするワイアットではあったが、人の子を混沌の闇がどこまで強くしようと思っているのかを知る者は、定かではなかった。

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