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第六話 買い物へ行こう
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竜が聖なる山に住み着いたと言う情報はすぐに王とに伝わっていた。そして、先ほど森の方へと降り立ったという情報を元に探したが、竜は姿形が見当たらず誤報だったとされた。
そんな中であった可憐な少女を見ると、心臓が高鳴るのは何故なのか。
「そう、、よね、、こんなの売れないわよね。」
キャロルの言葉にシーは首を横に振ると言った。
「お、私が買い取る。」
「本当に?いいの?」
驚いてそう言うと、シーは頷き、そしてカバンの中からジャラリと何かの入った袋を差し出してきた。
「なぁに?」
思わずキャロルが受け取ってそう言うと、シーは言った。
「多分、足りないと思うけど、今は手持ちがこれしかない。」
キャロルが袋の中を覗き込むと、そこには大量の金貨が入っており、キャロルは驚いてそれをシーへと押し返した。
「シー!こんなにもらえないわ。」
この時、キャロルはきっとシーもあまり買い物などした事のないお金持ちの娘なのだと思った。考えてみれば身なりがかなりきれいだし、こんなにお金を持っているのだからそうなのだろう。
だからきっとお金の価値が分かっていないのだとキャロルは思った。なので、優しく諭すように言った。
「シー?こんなに大金を突然出しちゃだめよ。悪い人に襲われてしまうわ。それにね、この果物や木の実はそんなに高い物じゃないと思うの。」
シーは死んだ魚のような目で思わずキャロルを見た。
今自分が子どものような扱いを受けた事にショックを受けたのである。
それと同時に、キャロルにその言葉を返したい。
「キャロル。その果物や木の実は希少価値の高いものだ。言っておくが、私の方が年上だし、私はそうした果物や木の実にも詳しいから分かる。」
そう返すと、キャロルは顔を真っ赤にすると恥ずかしそうにうつむいた。
その顔を見た瞬間、シーは胸がドキリと高鳴り、自分自身の感情に驚いた。
撫でたい?触れたい?何だこの感情は。
キャロルは上目使いでシーを見つめると言った。
「ごめんなさい。シーの方が良く分かっているし物知りなのね。」
褒められた事に、心が喜ぶのは何故か。
「いや、、、とにかく、靴と服から揃えていこう。手伝う。」
心臓がうるさいくらいに鳴り、キャロルを可愛いと思う自分にシーは動揺しながらも荷物を一度自分の宿においてから買い物を始めた。
ブーツ型の靴に、ワンピースを買うとキャロルは着替え、嬉しそうにクルリとまわって見せた。
シーは心臓を抑え、自分の感情に戸惑いながらも次の買い物へと進む。
歯ブラシやくしなど日用品も買い、キャロルは満足そうにしておりシーはほっとした。
「他には?」
キャロルは辺りを見回し、そしてそっとシーに尋ねた。
「あの、りんご飴は売っている?」
「りんご飴?」
キャロルの願いを叶えてやりたいと言う思いを抱くがこればかりは難しかった。
「お祭りじゃないからな。りんご飴が好きなのか?」
その言葉に、キャロルは少し悲しげに首を横に振った。
「昔両親と食べておいしかったから、いいのよ。ありがとう。」
シーはその言葉に考えると、顔を上げて言った。
「10日後に祭りがある。その時なら出ると思う。一緒に行くか?」
「本当に?!」
予想以上の食いつきに驚きながらもシーは頷いた。
するとキャロルはとても嬉しそうにくるりと回って言った。
「ふふ。ありがとうシー!」
笑うキャロルが可愛くて、シーは顔を真っ赤に染めた。
「いや、いい。家まで送る。」
その言葉にキャロルは首を横に振った。
「ここまででいいわ。それじゃあシー!約束よ!」
「ああ。分かった。」
元の出会った場所で別れた二人は、それぞれが大きく息を吐いた。
そして、同じ事を思った。
『10日後が楽しみだ。』
そんな中であった可憐な少女を見ると、心臓が高鳴るのは何故なのか。
「そう、、よね、、こんなの売れないわよね。」
キャロルの言葉にシーは首を横に振ると言った。
「お、私が買い取る。」
「本当に?いいの?」
驚いてそう言うと、シーは頷き、そしてカバンの中からジャラリと何かの入った袋を差し出してきた。
「なぁに?」
思わずキャロルが受け取ってそう言うと、シーは言った。
「多分、足りないと思うけど、今は手持ちがこれしかない。」
キャロルが袋の中を覗き込むと、そこには大量の金貨が入っており、キャロルは驚いてそれをシーへと押し返した。
「シー!こんなにもらえないわ。」
この時、キャロルはきっとシーもあまり買い物などした事のないお金持ちの娘なのだと思った。考えてみれば身なりがかなりきれいだし、こんなにお金を持っているのだからそうなのだろう。
だからきっとお金の価値が分かっていないのだとキャロルは思った。なので、優しく諭すように言った。
「シー?こんなに大金を突然出しちゃだめよ。悪い人に襲われてしまうわ。それにね、この果物や木の実はそんなに高い物じゃないと思うの。」
シーは死んだ魚のような目で思わずキャロルを見た。
今自分が子どものような扱いを受けた事にショックを受けたのである。
それと同時に、キャロルにその言葉を返したい。
「キャロル。その果物や木の実は希少価値の高いものだ。言っておくが、私の方が年上だし、私はそうした果物や木の実にも詳しいから分かる。」
そう返すと、キャロルは顔を真っ赤にすると恥ずかしそうにうつむいた。
その顔を見た瞬間、シーは胸がドキリと高鳴り、自分自身の感情に驚いた。
撫でたい?触れたい?何だこの感情は。
キャロルは上目使いでシーを見つめると言った。
「ごめんなさい。シーの方が良く分かっているし物知りなのね。」
褒められた事に、心が喜ぶのは何故か。
「いや、、、とにかく、靴と服から揃えていこう。手伝う。」
心臓がうるさいくらいに鳴り、キャロルを可愛いと思う自分にシーは動揺しながらも荷物を一度自分の宿においてから買い物を始めた。
ブーツ型の靴に、ワンピースを買うとキャロルは着替え、嬉しそうにクルリとまわって見せた。
シーは心臓を抑え、自分の感情に戸惑いながらも次の買い物へと進む。
歯ブラシやくしなど日用品も買い、キャロルは満足そうにしておりシーはほっとした。
「他には?」
キャロルは辺りを見回し、そしてそっとシーに尋ねた。
「あの、りんご飴は売っている?」
「りんご飴?」
キャロルの願いを叶えてやりたいと言う思いを抱くがこればかりは難しかった。
「お祭りじゃないからな。りんご飴が好きなのか?」
その言葉に、キャロルは少し悲しげに首を横に振った。
「昔両親と食べておいしかったから、いいのよ。ありがとう。」
シーはその言葉に考えると、顔を上げて言った。
「10日後に祭りがある。その時なら出ると思う。一緒に行くか?」
「本当に?!」
予想以上の食いつきに驚きながらもシーは頷いた。
するとキャロルはとても嬉しそうにくるりと回って言った。
「ふふ。ありがとうシー!」
笑うキャロルが可愛くて、シーは顔を真っ赤に染めた。
「いや、いい。家まで送る。」
その言葉にキャロルは首を横に振った。
「ここまででいいわ。それじゃあシー!約束よ!」
「ああ。分かった。」
元の出会った場所で別れた二人は、それぞれが大きく息を吐いた。
そして、同じ事を思った。
『10日後が楽しみだ。』
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