【本編完結】妹に婚約者を奪われた私は、戦場の悪魔と呼ばれる辺境伯へと嫁ぎます。

かのん

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アンシェスター家の双子 舞踏会に参加する 三話

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「あ、あの、助けてくれてありがとう」

「ありがとうございます」

 ロナウドとヘレンはぱんぱんと服についた埃を払うと、二人に向き直った。

「いいのよ。それよりも、子どもがこんなところに保護者もなく来たらだめよ?」

「そうだよ。自分で倒せるならいいけど、悪い大人はたくさんいるんだからね」

 アンシェスター家の領地では、子どもは保護者となるものが同伴するか、実力がない限りは、子どもだけでふらつくことはない。その理由として、何があるかは分からないからである。

 まぁそれは国境のアンシェスター家の領地ならではのルールではあったのだが、ロナウドとヘレンはそれを常識として育っている。

 しかし、同じ年頃である少年と少女はその言葉になんともいえない表情を浮かべた。

「えっと、とりあえず、気を付ける。俺はピーター」

「私はネルフィーネ」

「よろしくね、ピーター。ネルフィーネ」

「私はヘレン。こっちはロナウドよ」

 ピーターはヘレンとロナウドの顔を交互に見て尋ねた。

「もしかして双子?」

 その言葉にヘレンとロナウドはうなずく。そしてピーターとネルフィーネを二人も交互に見て言った。

「もしかしてそっちも? そっくりね」

「本当だぁ。僕達以外に初めて双子に出会ったよ」

 四人はけらけらと笑いあうと、露店でお菓子を買い、場所を移動して噴水の広場の前まで来てベンチへと腰掛けた。

「え!? アンシェスター家の双子なのか!?」

 ピーターの言葉にヘレンとロナウドはうなずくと、ロナウドは首を傾げた。

「僕達のこと知ってるの?」

「いや、アンシェスター家の双子っていったら、あの絶世の美女だっていうミラ夫人の子どもだろう!? あー確かに、綺麗な顔をしてるもんなぁ」

「えー。僕達有名人なのかぁ? 綺麗な顔……僕は男だから嬉しくないなぁ」

「あら、私は嬉しいわ」

 ネルフィーネは瞳を輝かせながら言った。

「でも、二人ともとっても強いのね。私、びっくりしちゃった。それに、軽々と持ち上げられるなんて……まるで王子様みたいだったわ!」

「俺は恥ずかしかったぞ! まぁ、助けてもらっておいて、不満は言えないけどさー」

 四人は笑いあう。

 ピーターはクッキーを口の中に放り込むと言った。

「まぁでも、じゃあ次に会うとしたら舞踏会だな」

「ふふっそうねぇ!」

 楽しげなネルフィーネはそう言うと、指をぱちんと鳴らした。

 その瞬間、どこからともなく数人の男達が現れ、ネルフィーネとピーターの後ろについた。

「改めましてだけどさ、俺は隣国ペルジャンの王子ピーター・オラン・ペルジャン」

「私は王女ネルフィーネ・オラン・ペルジャン」

 二人は楽しそうに笑うと、言った。

「保護者と言うか、一応護衛はいたんだぞ?」

「ふふ。でも、内緒で城下町を遊んでいたから、騒ぎを起こすわけにもいかなくって、助かったわ」

 ペルジャンと言えば、隣国の大国であり、今回の貴賓として呼ばれている立場である。

 ヘレンとロナウドも、ペルジャンの貴賓との関係は今後大切だからとミラに教えてもらっていた。そして同じ双子の王子と王女がいるから仲良くなれるといいわねとも言われていたのだ。

「わぁお」

「どうしましょう。え、これお母様に怒られるかしら」

 ロナウドとヘレンが驚いていると、ピーターとネルフィーネは笑い声を上げた。

「ふふっ! お友達になれて嬉しいわ! また舞踏会でもよろしくね」

「ははっ! 本当に、あ、でも舞踏会では俺もネルフィーネも猫をかぶっているから、よろしくな」

 その後もしばらくなんだかんだ楽しくおしゃべりをした双子は、初めての双子友達に、内心興奮していたのであった。

 ただ、家に帰ってからミラに怒られるのではないかと、玄関の扉を開けるのに時間がかかった二人であった。
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感想 141

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みんなの感想(141件)

lily
2022.07.22 lily

続きが読みたいです!!!!!

解除
絵か
2022.01.25 絵か

続きの読みたいです。
更新お待ちしてます。

解除
るる
2021.10.12 るる

とても面白くて引き込まれます!作者様の他の作品も大好きです。こちらの続きも楽しみにしております。お身体に気をつけて、ゆっくり更新されて下さい。楽しみに待っております。

解除

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