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十一話 男の逆恨み
しおりを挟む「父上!母上!話を聞いて下さい!」
リックは父親に引きずられながら必死に両親に声を掛けるが、二人とも怒りの形相でリックを見下ろすと、屋敷の地下牢へとリックを放り込み、ガチャリと格子に鍵をかけた。
「お前は・・・お前は!自分が何をしたのか分かっているのか!」
「このままでは、うちは悪くいけば没落・・・あぁぁぁもう、これからどうなるのか・・・」
リックは自分を怒鳴りつける事などなかった両親の怒りに燃える表情に声を上げた。
「す、全てあの女が悪いんです!俺は悪くない!」
「お前は馬鹿か!あぁぁっ・・・くそ・・・お前の教育をどこで間違えたのか。」
「あぁぁぁ・・そうですよ。はぁぁぁ・・・・それに私・・貴方が妊娠しないのはラナ嬢のせいだと言うから・・酷い事ばかり言ってしまったし・・・あぁっぁぁこれからうちは・・どうなるのでしょうか・・・」
母親が項垂れるように父親に寄りかかり、それを父親は支えながら大きくため息をついた。
「とにかく、弁護士を通して話をするしかない。お前はそこで反省していろ!」
「父上!母上!ちょ、ちょっと待ってください!ミリアーナは!?ミリアーナはどこです!?」
「お前は黙っていろ!ミリアーナ嬢は別室にいる!男爵家とも話をせねばならんだろう・・・あぁっ!!!」
両親が足早にその場から立ち去っていくのを見送ったリックは、床を殴りつけると、牢の中で暴れ回った。
ズボンは未だに濡れたままで気持ちが悪く、頭の中は焼け付くような痛みが走る。
「あの女のせいだ・・あの女のせいだ!それに、そもそもは父上が俺とミリアーナの結婚を許してくれなかったせいでもある!俺のせいじゃない!皆が悪い!くそくそくそ!」
簡易ベッドの枕を破り、床を蹴って地団太を踏み、ベッドの上でのたうちまわったリックは、獣のような雄叫びを上げると怒りに燃えながら唇を噛んだ。
「くそくそくそ!絶対に、許さない。絶対にあの女を・・許さない!!!!」
逆恨みもいい所である。だがリックは悪いのは全てラナであると自分の中で思い込むと、ぎりぎりと奥歯をかみしめながら強く拳を握りしめた。
「愛しいミリアーナを取り戻すためには・・・あの女をどうにかするしかない・・・」
頭の狂い始めたリックは、静かに頭の中で考え始める。
それは冷静であればしない行動。だが、すでにリックの感情は怒りに支配されていた。
「絶対に・・・絶対に俺は・・・このままでは終わらないぞ・・・」
ぐらぐらと煮えたぎるような瞳が、ラナを狙っていた。
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