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十九話 おまけ ロドリコ侯爵家のその後
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「まぁ!見て見て!レバノン公爵夫妻よ。はぁー。戦場の悪魔と呼ばれていた公爵が、奥様のルチアーナ様だけは溺愛しているって本当だったのねぇ。」
「本当にね。見てよ。ルチアーナ様の近くに行く男性達皆に、公爵様ったらあんな恐ろしい視線を向けているわよ。ふふふ。本当に溺愛されているのね。」
「ねぇ。うらやましいわね。あんなに男らしい人に溺愛されるなんて。」
舞踏会で、令嬢らはそんなことを噂しながら会話は続く。
「でも本当に、美男美女ねぇ。ルチアーナ様も本当に美しいわぁ。一時は人形のようだって言われていたけれど、微笑む姿は本当に妖精のようねぇ。」
「ええ。なんでもねぇ・・・ほら、元のご実家で虐げられていたそうよ。」
「あぁ。私も聞いたことがあるわ。あれでしょう?ロドリコ侯爵家の・・・」
「そうそう。本当に酷い話よねぇ・・・でも、そんなロドリコ侯爵家から救い出したのが公爵様らしいわ。」
「なるほどね、そして、ルチアーナ様は笑顔を取り戻したと・・はぁ・・・物語のようねぇ。」
「えぇ本当に!」
女性たちの噂は最近ではその話題でもちきりである。
そして、最終的に、会場にいるナタリアとロアンへとチラリと視線を皆が向ける。
「でも、本当にルチアーナ様良かったわよ。なんでも・・性悪の妹が元婚約者を奪ったとか・・・」
「あぁ、そうそう。それに、どうやらロドリコ侯爵は密輸にも手を出したとか・・・」
「聞いたわ。それで、今、捜査が進められているのでしょう?・・・それなのに、舞踏会なんかに顔を出していてもいいのかしら?」
「私だったら、恥ずかしくて来れないわ。」
「ロアン様もお気の毒ね。でもまぁ、自業自得よねぇ。」
「そうよ。婚約者がいたのに、その妹に手を出すとか最低よねぇ。」
噂話はどんどんと広がり、こそこそと話し声は広がる。
ナタリアとロアンは会場の中でそんな視線を感じて、顔色を悪くしながら、そうそうに舞踏会を後にすることとなった。
侯爵家の屋敷についた二人だが、籍は入れたものの、結婚式を盛大にすることなど出来なかった。王家より現在侯爵家には密輸の疑いがかけられ捜査が行われており、それどころではなかった。
ロドリコ侯爵は酒におぼれ、ミラン夫人は実家へと社交界の噂話に耐えかねて帰ってしまった。
ナタリアは声を荒げてロアンと口喧嘩が増えていった。
「もう!もう!あなたと婚約なんかするんじゃなかった!」
「それはこっちのセリフだ!こんなことなら、ルチアーナと結婚していればよかった。あぁ!どうしてこんな女に引っ掛かってしまったんだ!」
「何ですって!」
「別室で寝る!じゃあな!」
毎日のように二人は喧嘩し、そして、まだ新婚だと言うのに、部屋もほとんど別室で過ごしている。
ナタリアは唇を噛むと、部屋の隅に置いてある人形を手に取り、その人形を殴りつけた。
「くそ!くそ!くそ!どれもこれも、ルチアーナのせいよ!」
高価で美しかった人形はぼろぼろになり、ナタリアは散々殴りつけるとそれをゴミ箱の中へと放り捨てた。
「あぁ!これ、あの女からの贈り物だったわね!もうボロボロだからいらないわ!」
ナタリアはそう言うと、満足したようにベッドの中へとはいった。
その日の晩・・・ナタリアは、突然体の痛みを感じて目を覚ました。
「何・・体が・・・痛い・・・・」
それなのにもかかわらず、体が動かない。
「誰か、誰か!痛い!痛いわ!誰か来て!」
その時、自分の体の上に何かが乗っている事にナタリアは気づいた。
「な・・・何?」
目が光る。
「え?」
そこには・・・ボロボロの人形がいた。
王宮の舞踏会で、噂がまた流れる。
「そう言えば、ロドリコ侯爵家はどうなったの?」
「あぁ、結局密輸がばれて、取り潰しになったらしいよ。」
「そうなの。じゃあナタリア様とロアン様は?」
「それがね、ナタリア様は突然体が痛みだすっていう奇病にかかったらしいの・・・ロアン様は結局ご実家に帰ってその後は分からないわ。」
「へぇ~・・・」
「しかもね、ナタリア様、毎晩体の痛みを訴えながら声を上げるらしいわ。『人形が!人形が私を呪っている!』ってねぇ。」
「きゃあ怖い!」
噂話は流れ、そしていずれ忘れられていく。
公爵家で備品のチェックをしながら片づけを行っていたジャンは、そんな噂を聞いて、以前ジークが冗談で買った人形やらお面やらのことを思い出して苦笑を浮かべた。
「まさか・・・ね。」
おしまい
★★★★
さぁ!ちょっとぞわりとする終わり方となりましたが、結局、自分の行いは自分に帰って来るということですよね。うん。人形。大切にしようと思います。(笑)
最後までお付き合いありがとうございました。
またどこかでお会いできたら幸いです。
作者 かのん
Twitterアカウント かのん @QLu4NtugNyQDKYd
「本当にね。見てよ。ルチアーナ様の近くに行く男性達皆に、公爵様ったらあんな恐ろしい視線を向けているわよ。ふふふ。本当に溺愛されているのね。」
「ねぇ。うらやましいわね。あんなに男らしい人に溺愛されるなんて。」
舞踏会で、令嬢らはそんなことを噂しながら会話は続く。
「でも本当に、美男美女ねぇ。ルチアーナ様も本当に美しいわぁ。一時は人形のようだって言われていたけれど、微笑む姿は本当に妖精のようねぇ。」
「ええ。なんでもねぇ・・・ほら、元のご実家で虐げられていたそうよ。」
「あぁ。私も聞いたことがあるわ。あれでしょう?ロドリコ侯爵家の・・・」
「そうそう。本当に酷い話よねぇ・・・でも、そんなロドリコ侯爵家から救い出したのが公爵様らしいわ。」
「なるほどね、そして、ルチアーナ様は笑顔を取り戻したと・・はぁ・・・物語のようねぇ。」
「えぇ本当に!」
女性たちの噂は最近ではその話題でもちきりである。
そして、最終的に、会場にいるナタリアとロアンへとチラリと視線を皆が向ける。
「でも、本当にルチアーナ様良かったわよ。なんでも・・性悪の妹が元婚約者を奪ったとか・・・」
「あぁ、そうそう。それに、どうやらロドリコ侯爵は密輸にも手を出したとか・・・」
「聞いたわ。それで、今、捜査が進められているのでしょう?・・・それなのに、舞踏会なんかに顔を出していてもいいのかしら?」
「私だったら、恥ずかしくて来れないわ。」
「ロアン様もお気の毒ね。でもまぁ、自業自得よねぇ。」
「そうよ。婚約者がいたのに、その妹に手を出すとか最低よねぇ。」
噂話はどんどんと広がり、こそこそと話し声は広がる。
ナタリアとロアンは会場の中でそんな視線を感じて、顔色を悪くしながら、そうそうに舞踏会を後にすることとなった。
侯爵家の屋敷についた二人だが、籍は入れたものの、結婚式を盛大にすることなど出来なかった。王家より現在侯爵家には密輸の疑いがかけられ捜査が行われており、それどころではなかった。
ロドリコ侯爵は酒におぼれ、ミラン夫人は実家へと社交界の噂話に耐えかねて帰ってしまった。
ナタリアは声を荒げてロアンと口喧嘩が増えていった。
「もう!もう!あなたと婚約なんかするんじゃなかった!」
「それはこっちのセリフだ!こんなことなら、ルチアーナと結婚していればよかった。あぁ!どうしてこんな女に引っ掛かってしまったんだ!」
「何ですって!」
「別室で寝る!じゃあな!」
毎日のように二人は喧嘩し、そして、まだ新婚だと言うのに、部屋もほとんど別室で過ごしている。
ナタリアは唇を噛むと、部屋の隅に置いてある人形を手に取り、その人形を殴りつけた。
「くそ!くそ!くそ!どれもこれも、ルチアーナのせいよ!」
高価で美しかった人形はぼろぼろになり、ナタリアは散々殴りつけるとそれをゴミ箱の中へと放り捨てた。
「あぁ!これ、あの女からの贈り物だったわね!もうボロボロだからいらないわ!」
ナタリアはそう言うと、満足したようにベッドの中へとはいった。
その日の晩・・・ナタリアは、突然体の痛みを感じて目を覚ました。
「何・・体が・・・痛い・・・・」
それなのにもかかわらず、体が動かない。
「誰か、誰か!痛い!痛いわ!誰か来て!」
その時、自分の体の上に何かが乗っている事にナタリアは気づいた。
「な・・・何?」
目が光る。
「え?」
そこには・・・ボロボロの人形がいた。
王宮の舞踏会で、噂がまた流れる。
「そう言えば、ロドリコ侯爵家はどうなったの?」
「あぁ、結局密輸がばれて、取り潰しになったらしいよ。」
「そうなの。じゃあナタリア様とロアン様は?」
「それがね、ナタリア様は突然体が痛みだすっていう奇病にかかったらしいの・・・ロアン様は結局ご実家に帰ってその後は分からないわ。」
「へぇ~・・・」
「しかもね、ナタリア様、毎晩体の痛みを訴えながら声を上げるらしいわ。『人形が!人形が私を呪っている!』ってねぇ。」
「きゃあ怖い!」
噂話は流れ、そしていずれ忘れられていく。
公爵家で備品のチェックをしながら片づけを行っていたジャンは、そんな噂を聞いて、以前ジークが冗談で買った人形やらお面やらのことを思い出して苦笑を浮かべた。
「まさか・・・ね。」
おしまい
★★★★
さぁ!ちょっとぞわりとする終わり方となりましたが、結局、自分の行いは自分に帰って来るということですよね。うん。人形。大切にしようと思います。(笑)
最後までお付き合いありがとうございました。
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