12/10^16のキセキ〜異世界で長生きすればいいだけ……だけど妹たちに手を出すなら容赦しない!〜(カクヨム版)

嘉神かろ

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第2章 千の時を共に

第13話 ブランの特訓

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2-13
 あの後〈飛行〉で川まで移動して強襲虎アサルトタイガーと、ついでに一角熊ホーンベアを〈解体〉しました。新しく買った図鑑と〈解体〉スキルのおかげでそれなりに上手くできたと思います。

 今はリムリアに帰ってきて、ギルドの買取カウンターに並んでいるところです。

「買取お願い」
「はい。――っ! 失礼しました。査定する間にメインカウンターへ行っていただいてもよろしいでしょうか。サブマスターが探しておられたので」
「リオラさんが? 何かしら? わかったわ。それじゃあ宜しくね」

 何の用なんでしょう? ひとまずメインカウンター、リオラさんのいつもいるところに行きましょう。



「あ、アルジェさん」
「こんにちは、リオラさん。私を探してたってきいたんだけど」
「はい、お待たせしました。昇格試験の結果が出ました」
「あぁそう言えば。忘れてたわ」
「忘れないでくださいよ」

 苦笑いされてしまいました。

「本当は翌日には合否が出てたんですが、アルジェさんはBランクの条件も満たしていましたので、その手続きをしていたんです」
「とりあえずCは合格のようね。それで、Bランクの手続き? Bランクに上がる時も試験があるんじゃなかった?」
「合格は当たり前ですよ。何言ってるんですか。でないとパーティランクCにしませんし」

 呆れつついうリオラさんです。いや、私も確信はしてましたけどね?

「Bランクの手続きですが、試験をこちらの作法に関する講習だけで済むよう申請してたんです。そもそもある程度の礼儀をわきまえておけばいいんです。アルジェさんはもともと高度な教育を受けておられたようですし、敬語を使える事も登録初日でわかってます。それをわざわざ貴族の方に協力をお願いして試験をするのは面倒ですから」
「最後ぶっちゃけたわね」

 こんどは私が呆れる番でした。要は自分たちが色々面倒だった部分も大きいということ。
 まあ私も楽なのでいいですが。

「それで、その講習はいつあるの?」
「今からでも大丈夫です。講習といっても十分ほどで終わるので」
 
 うーん。人も多いし、査定にはまだ時間がかかるでしょう。やってしまいますか。

「それじゃあお願いするわ」
「わかりました。第三小会議室でお待ちください」




 本当に十分で終わりましたね。
 ちなみにやってきたのはテオでした。相変わらずニコニコして油断のならない人でしたよ。

 テオに言われた通り、またリオラさんのところへ向かいます。人の数も減っているのですぐ私の番です。

「お疲れ様でした。それではギルドカードをお願いします。……え?」
「? どうかした?」
「どうかはしましたけど、ひとまず昇格手続きは完了しました。こちらをお返ししておきます」

 ということで赤いギルドカードを受け取りました。これで個人ならAランクまでの依頼を受けられます。パーティランクはまだ据え置きとのこと。

「それで、〈鑑定〉させていただいても?」
「い、いいけどなんでそんないい笑顔なのよ」
「討伐記録を拝見した結果です。失礼します」

 虎のことらしいです。

「……はぁ。成長早すぎません?
なんで前回までなかった〈刀術〉や〈体術〉がそのレベルなんですか……」
「これは、前のが戻っただけよ」

 前世の事ぼかしてを言いましたが、リオラさんならこれで十分です。

「……なるほど。今度詳しくお聞きしても?」
「ええ、構わないわ」
「ありがとうございます。これでアルジェさんはAランク昇格条件の一つを達成したことになりますが、まだ貢献度が足りないので昇格はしません。まあすぐ溜まりそうですが」

 そういって苦笑いするリオラさん。今日は苦笑いしてばかりですね。私のせいか。

「そう言えば、今更なんですけどブランちゃんは……?」

 リオラさん、本人がいないとブランにはちゃん付けするんですよね。

「ブランなら宿でダウンしてるわ。昨日やり過ぎちゃって……」
「何してるんですか(じとー)」
「……加減を間違えたわ(ついっ)」

 分が悪いです。ここは話を変えましょう。

「そ、そう言えば! リオラさんに聞いた店、良かったわ。ブランも気に入ったみたいだし」
「そうですか。それはよかったです! その結果やり過ぎたのだとしても、今は話を逸らされておきますね」
「あ、ありがとう」

 くっ! 墓穴を掘ってしまいました。
 ここは戦略的撤退です!

「そ、それじゃあ私は帰るわね!」
「ええブランちゃんが心配ですしね。もう次はダメですよ?」
「え、ええ! もちろん!」

 く、手強い……。
 ともかく今は……! 脱っ!

◆◇◆
「ふぅ、ただいま。ブラン」
「姉様おかえり」
「動けるようにはなったのね」
「うん、痛いけど、なんとか」

  うぅ……ブラン、ごめんなさい。

「今日は部屋で夕食を食べましょうか。今もってくるわね」
「うん。姉様ありがと」

 とりあえず今夜はブランのお世話をしましょうね。
 …………あ、虎と熊の報酬。

(※すぐ受け取りに行きました)

◆◇◆
 それから数週間、依頼はうけず復活したブランに〈刀術〉の稽古をつけ、戦闘訓練をしました。
 途中から模擬戦もしていたので他のスキルも伸びています。
 そんなブランの今のステータスはこちら。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〈ステータス〉
名前:ブラン・グラシア/F
種族:狼人族(黒狼種)
年齢:12歳
スキル:
《身体スキル》
瞬発力強化lv1(new)   嗅覚強化lv2   聴力強化lv2   連携lv3   隠密lv1   身体強化“気”lv4(3up)   体術lv5(1up)   刀術lv5(new)   気配察知lv2(new)   危機察知lv4(new)   限界突破lv1(new)
《魔法スキル》
結界魔法lv4(1up)   魔力操作lv2(new)

称号:神狼の加護   護り手   地獄を超えし者(new)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

   
 上から見ていきましょう。

 〈瞬発力強化〉は0.5秒以上乗っていると爆発する柱を何本も立て、その上で私の魔法を避け続けるという訓練をしていたら覚えました。

 〈身体強化“気”〉は訓練中絶対切らさないようにさせていたのでこれくらい上がるでしょう(“気”は体力を消費するのでめちゃくちゃ疲れる事をアルジェは知らない)

 〈体術〉と〈刀術〉は上がって当然なのでスルー。

 〈気配察知〉は隠れんぼの成果です。
 私が全力で〈隠密〉を発動してかくれ、遠隔起動で魔法をランダムに発動するのを避けつつ探させました。
 訓練中私が覚えた〈並列思考〉と、昇格試験の時覚えた〈演算領域拡張〉の習得を狙った訓練も兼ねています。そろそろ前者はいけそうですが……。

 〈結界魔法〉と〈魔力操作〉は毎晩寝る前に訓練していました。
 私が視ながらの訓練です。

 どうです?
 なかなかよく仕上がったでしょう!
 ――え? とばしてるやつ? 何のことですか?

 …………はぁ。わかりました。説明します。

 まず〈危機察知〉ですが、模擬戦で本気で死ぬかと思ったと言われたのでその結果でしょう。
 私がまだ持ってないのも頷けますが……。

 それから〈限界突破〉。これはよくあるやつですね。勇者とかが覚えるやつ。
 なんでも昨日、ひとまずの訓練終了を告げた後に覚えていたそうです。
〈鑑定〉した結果は、読んで字のごとく、何度も限界を超えることで覚える自己強化スキルでした。
 この時私は【鬼師匠】なる称号を頂いていたのはそういうことですね。

『またやり過ぎていたようです。まだ中級のつもりだったんですが……』

 そう呟いた時のブランの引きつった顔が忘れられません……。なみだ。


◆◇◆
 久しぶりのギルドです。
 実は内心、リオラさんに怒られないかと恐々としていたり。

「お、おはよう。リオラさん」
「ええ、おはようございます(ニコニコ)」

 メインカウンターへ行くと、そこにいたのは私たちを見てもの凄くいい笑顔になるリオラさんでした。

「久しぶり、ね」
「ええ、久しぶりです(ニコニコ)」

 なにやら異様なオーラが見える気がします。いえ、実際見えますね。〈魔力視〉で。

「えっとね、Bランク以上の冒険者とギルド職員の推薦があれば、EやFランクでもCランク昇格試験を受けられるって聞いたんだけど……」
「ええ、受けられますね(ニコニコ)」

 こ、怖いです。

「ブランを推薦したいなーって、思って、ね」
「ええ、私からも推薦しましょう(ニコニコ)」

 早く、逃げたい……。

「それで、」

(ビクッ!!!)

「私、言いましたよね?(ニコニコ)」

 般若がみえます! リオラさんの後ろに般若が!! え? 実は『鬼神の系譜』?

「もう、次はダメだって(ニコニコ)」
「え、ええ、覚えているわ(冷汗)」
「じゃあなんですか? この成長は。この称号は(ニコニコ)」
「えーと……(ダラダラ)」

 目を合わせられないーーー! 合わせたくないー!

「アルジェさんっ!!」
「ご、ごめんなさーーい!」


◆◇◆
 この日を境にリオラさんはどんな狂人さえ恐れさせる“最恐の受付嬢”として、リムリアの冒険者たちの畏怖を一身に浴びるようになりましたとさ。


「「誰が「“最恐の受付嬢”ですか」「狂人よ」!!!!」」








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ステータス>
名前:アルジュエロ・グラシア  /F
種族:吸血族(人族)
年齢:18
スキル:
《身体スキル》
鑑定眼   言語適正   (魔力視)   (神聖属性適性)→光属性適性   縮地   吸血lv6   高速再生lv7   大剣lv6   刀術lv8  体術lv7   淫乱lv7   威圧lv4   魅了lv4   隠密lv4   解体lv2   舞踏lv2   見切りlv4   気配察知lv4   演算領域拡張lv5   高速演算lv2   並列思考lv2(new)
《魔法スキル》
ストレージ   創翼lv6   飛行lv5   魔力操作lv9   火魔導lv5   水魔導lv6   土魔導lv5   風魔導lv6   光魔導lv5   闇魔導lv5   神聖魔法lv4(2up)   隠蔽lv MAX   身体強化“魔”lv4   魔力察知lv2   物質錬成lv5   付与lv4

称号:(転生者)   吸血族の真祖   (12/10^16の奇跡)     強き魂   (魔性の女)   (副王の加護)   寂しい人   うっかり屋   戦闘狂   鬼師匠

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