薄氷が割れる

しまっコ

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目を覚ました時、マリカの身体はあの時と同じく高熱で弱っていた。 
「マリカ」 
薄暗い天蓋の中、レオンハルトの瞳は昏く無感情に見えた。 
「思い出したのか」 
問いかける声は静かなのに、有無を言わさぬ響きがあった。 
マリカの瞳から涙が零れ落ちる。 
思い出したくなどなかった。
レオンハルトがローレンスを殺したなんて、そんな記憶思い出したくなかった。 
レオンハルトはマリカを騙して妻にしたのだ。 
本当だったらマリカはローレンスと結婚して、故国ネーベルの王妃になっていたはずなのに――。 
ひどい人――そう罵ることができたら、まだ救われたかもしれない。
けれど、この2年あまりの鮮明な記憶がそれを許してくれない。
今のマリカは心の底からレオンハルトを愛してしまっている。 
「おまえが誰を想っていても、手放してやることはできない」 
レオンハルトは昏い瞳のままマリカの頬に触れた。掛け布団が捲られ、大きな体がマリカの上に覆いかぶさってくる。
小ぶりな胸を痛いほど揉みしだかれ、肉厚な舌で息もできないほど激しく口腔内を蹂躙される。
蜜壺に指が入れられ乱暴にかきまぜられた後、大きな雄芯で貫かれた。 
「いた、い……」 
痛みに喘ぐマリカを骨がきしむほどの力でレオンハルトが抱きしめる。 
マリカの顔をレオンハルトの涙が濡らした。 
マリカを騙して純潔を奪ったレオンハルト。 
今だってマリカを犯し痛みを与えているひどい人。 
それなのに、マリカはレオンハルトの涙を止めたいと願ってしまう。
悲しまないでほしい。苦しまないでほしい。幸せでいてほしい。 
マリカの瞳からも大粒の涙が溢れ出た。 
「貴方を愛しているの」 
囁くように伝えると、レオンハルトの瞳が驚愕に見開かれた。 
「あなたは、ローリー兄様を殺した……ひどい人なのに……貴方を愛することをやめられない……きっと私は、地獄に落ちてしまうわ」 
すすり泣きながら言ったことばを、レオンハルトの耳はしっかり聞き取ったらしい。 
「ならばともに地獄に落ちるまで。俺のマリカ」 
拘束が緩み、唇で涙を拭きとられる。
 しばらくそうして抱き合って、マリカの涙がとまる頃、マリカを貫く楔がゆるゆると動き始めた。 
マリカの瞳から再び涙が溢れ出した。
レオンハルトはマリカを見下ろし動きを止めた。 
「すまない。痛むのか?」 
「……大丈夫。ちゃんと可愛がって? 私だけを可愛がってくれるって言ったでしょう?」 
「マリカ…… !」 
マリカはレオンハルトにしがみついた。
雄芯で貫かれた蜜壺は徐々にその圧迫感になじみ始めている。
レオンハルトの手で女にされたマリカは、無理やり貫かれたときですらレオンハルトの雄芯を愛する身体に作り替えられてしまっていた。
優しい許嫁ローレンスのことを思い出した今でも、マリカの蜜壺はレオンハルトの雄芯を包み込み子種を注いでほしいと泣いている。 
もう元に戻ることなどできるはずがない。
心も体もマリカはレオンハルトのものなのだ。 
雄芯がゆっくり引き抜かれ、空虚になった蜜壺がレオンハルトを求めてシクシクと蠢く。
抜けるギリギリのところでレオンハルトの先端がマリカの蜜口をかきまぜた。
「あっ、あっ……」 
マリカの蜜壺は雄芯を求めたくさんの蜜を溢れさせた。 
「マリカ。俺のマリカ。愛している。絶対におまえを手放さない」 
「はい、レオンハルトさま」 
レオンハルトの律動に身を任せ、マリカは涙を零し続けた。 

薄氷は割れてしまった。

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