482 / 513
黒豚令息の領地改革編
ライラのけーち
「ではふたつ目のケーキの採点に入ります!まずは芸術点!観客の皆様に抽選でお配りしたカードを、お好きな投票箱にお入れ下さい!」
配られたカードは全部で30枚。
ロダンに12枚、スウィーティオにはなんと17枚、そしてデイビッドには1枚だけ。
先程の点差は一気に引き離された。
「続いて、メルバシリーズの著者“メイプル”様より、作中に出て来たケーキとの答え合わせとなります!」
ステージに現れたのは小柄な三つ編みのメガネの女性。マダム・ネリーの姪に当たる人物で、メルバシリーズの執筆者メイプル氏だ。
「お集まりの皆様、こちらが来月発売予定のミセス・メルバの最新刊です。出題に使われたケーキは既に挿絵も掲載され、巻末に詳しいレシピを掲載しておりますわ。小説の中で作れたケーキはこちら…」
メイプル氏が広げた本が投影魔道具で引き伸ばされ、ステージの壁に映し出されると、会場からは驚きの声が上がった。
そこには切ったプラムを飾っただけの、クリームすら塗られていない素朴を通り越して無骨なケーキの挿絵が描かれていた。
「挿絵のケーキは丸型ですが…私、この方が気に入ったわ!どうしてこのケーキを思いついたのか教えてくださる?」
「花のケーキを作った時もそうだったけど、この時代は四季で手に入る素材を最大限活かして料理する事が多い。冒頭で庭のプラムの木が実ったとあったから、必ず使うだろうと思った。それに、砂糖と卵を決められた量分しっかり使ったって文章があって…たぶん普段は節約して少なめに入れてる材料を、相手のためにたっぷり使ったって意味なんだと思う。ケーキが膨らむか心配してるのも、何度も味見をしてるのも、作り慣れてない奴が良くやる行動だ。なんか、旅してた昔の知り合いが帰って来たみたいな話も聞いたし、そいつが作ってんじゃねぇか?」
「大正解!!そうなのよ!これは素朴で真面目で一途な1人の男性からメルバへ贈られるプロポーズのケーキ!手に入る材料も限られた中で精一杯作った心の籠ったケーキなのよ!よろしければこちらのケーキ、私の本に載せてもよろしいかしら?」
「こんな人気無くていいなら…」
「あら!見た目なんていいのよ!メルバの花のケーキを再現してくれた貴方のケーキなら間違いないわ?!まだ修正の効く段階で良かった!早速差し替えるわ!」
その一言で会場もざわついた。
作者が花のケーキの製作者を認めた。
それまで有耶無耶にしていたレシピの提供元をここで初めて明かしたのだ。
これで、例えデイビッドがアンドレに負けたとしても、他人の功績を横取りしたという疑惑は晴らされ、パティシエ(ではないが)の名誉まで傷つけられることはなくなった。
花のケーキの製作者をマダム・ネリーが大絶賛していた話は既に有名になっている。
どんなに貶されようと、その事実まではひっくり返せない。
アンドレは嫌そうにデイビッドを横目に睨みつけていた。
「さぁ!次はいよいよご試食頂きましょう!審査員の他に選ばれた方20名にも採点して頂きますので、当選された方は前へどうぞ!?」
司会者が現れるとサッと人が現れケーキがどんどん切り分けられていく。
「けーち!!」
「あ~…ライラ、あれはなぁ…」
「ライラのけーちぃぃ!!」
自分のケーキが取られたと思い、泣き叫ぶライラをなだめるため、デイビッドは審査の間に余った材料でライラに小さな焼き菓子を作った。
卵とバターを練って粉をふるい、残りのプラムジャムを混ぜて焼き上げられたケーキは、湯気が立つ内に切り分けられ、ライラの前にミルクと共に並べられた。
「あふ…あふ…んあー!おいしー!」
「頼むから大人しくしててくれよ…」
「もし…そのケーキ、よろしければ私にも一切れ頂けまいかね…?」
「え?」
声を掛けてきたのは美食家の文官長だった。
「ライラのけーち!!」
「まだあるからいいだろ?このおじさんにもどうぞしてあげなさい。」
「…あ゙い゙…どうじょ…」
「ありがとうお嬢ちゃん!代わりにこっちのケーキはいかがかな?」
「い゙や゙な゙い゙っ!!」
代わりにと差し出されたアンドレのケーキには見向きもせず、今度こそ自分のケーキを死守すべく、ライラはカウンターの下に潜り込んでケーキを食べ出した。
「お行儀悪いぞ?!」
「いやいや、ケーキを横取りしてしまった私が悪いのだ。美味しい物を取られると、本当に辛く時に心の傷になることもある…申し訳ない。」
と、言いつつも文官長は分けられたケーキをしっかり食べた。
そして目頭を抑えうつむいてしまった。
「どうされました?!」
「…君だな?!城でポワレを作った臨時のコックは!」
「臨時の…?あ、あん時か!そういや作ったな。デッカイ魚任されて。」
「ポワレだけではない…あの1週間は、私の28年の城勤めの中で最高に素晴らしい時間だった!スープにフリカッセ、鴨のロースト、ミートパイ…そして午後に出されるケーキと焼き菓子!未だに忘れられず記憶に残っている!間違いない、この味だ!あれは同じコックが作ったものだと聞かされて、ずっと探していたのだ!君は何故城のコックにならなかった!?」
「…コックじゃないから…?」
「何故コックではないのだ!?その腕があれば美食の頂点を目指すことも不可能ではないぞ?!」
「そこまで求めてないので…」
「勿体ない!ああ実に勿体ない!!せめて城の晩餐会にシェフとして呼ぶ事は可能だろうか!?」
「え…と…時間が合えば…?」
「では次の会合の晩餐にはお呼びしたい!是非とも!!」
ズイズイ押してくる文官長を止めたのはアリスティアだった。
「ラムゼイ様、その様に詰め寄ってはいけませんよ?ここはケーキの審査をする会場ですもの。そのお話はまた後日いたしましょう?」
「申し訳ございません姫殿下…つい、取り乱しました…」
「でもそのお話は私も大賛成ですので、お兄様に相談しておきましょう。」
「できたら止めて欲しい…」
そうこうしている内に審査が終わり、気がつくとケーキの山が消えていた。
大きなウェディングケーキは審査対象外の観客にも配られ、会場はケーキを手に、幸せそうな人々で溢れている。
審査員8名と抽選で選ばれた20名、合わせて28の点数が次々と振り分けられていく。
結果はスウィーティオに9点、ロダンに12点、デイビッドに7点となかなか厳しい戦いになって来た。
「それでは最終問題!各チーム最も得意なケーキの採点に入ります!!」
アンドレが自信満々に運んで来たのは、砂糖でできた薔薇で飾られた真っ赤なグラサージュケーキ。
ロダンチームからは断面の美しいアントルメのチョコレートのケーキが出されて来た。
「美しいボクが作る最高に美しいケーキ!どうだい?この艷やかな深紅の輝きは!まるで宝石の様だと思わないかい?」
(芸術祭で作ったヤツか…)
「私達はこちら!持てる限りの技術を詰め込んで作ったショコラトルテです!」
(一昨日作ったら即消えたなぁ…)
対するデイビッドの作ったケーキは、これまたシンプルなイチゴを飾っただけのデコレーション。
カトルカールで余った卵白も使ってふわふわに仕上げた3段重ねのスポンジに、生クリームを全体に塗ったイチゴのケーキ。
「一番お得意なケーキがこちらですか?」
「いいや?俺の得意はリクエストだ。」
「リクエスト?!」
「俺は元々ケーキなんて焼くような人間じゃないからな。誰かに頼まれでもしないと、必要がなけりゃ作らない。だから、いつもは要望があった時に相手に合わせて作るんだ。これは俺の婚約者が今一番食べたいケーキだ。」
デイビッドが一番得意なケーキ、それは誰かが食べたいと言ったケーキ。
それがヴィオラ相手になった時、本領を発揮する。
ヴィオラに最高に美味しい一切れを食べてもらいたい一心で、これまで数え切れないケーキを作ってきたのだ。
デイビッドが料理に懸ける気持ちには、それ以上のものは無い。
決して口に出さないが、愛する者のために、大切な家族を喜ばせるために、誰かのために腕をふるう、それがデイビッドの料理の原点だ。
「という訳で、悪いが先に切らせてもらうぞ?」
「え?!もう?」
「リクエストだからな。一番食べて欲しい相手に一番先に渡したい。駄目か?」
審査員席を向くと皆がニコニコしながら首を横に振っている。
「そう言う理由なら仕方がないわ。その代わり私達の分はしっかり残しておいてね?」
「もちろんです。」
マダムから許可も出たので、大きなケーキに惜しげもなくナイフを入れ、ヴィオラとライラの前に切り分けると、直ぐにフォークが伸びてきた。
「かんちゃを!!」
「そうね!この糧に感謝を…」
「ままのけーち!おいしーー!!」
「ん~~ふわふわしっとり、甘過ぎないスポンジに濃厚なクリーム…なのに全然しつこくなくて甘酸っぱいイチゴが良く合う~!幸せぇ~!」
「おかわり!」
「食うのが早い!!」
その光景を後ろに、やっと審査員達の元にケーキが切り分けられて来る。
グラサージュケーキの中はラズベリーのムースとホワイトチョコレートのジェノワーズ。
ショコラトルテはチョコレートとアーモンドのビスキュイとクリームとパイが層になっている。
審査員はそれぞれ持ち手の点数を1から10まで好きに付けられるそうだ。
デイビッド達を他所に、会場は緊張に包まれ、遂に最終採点が始まった。
配られたカードは全部で30枚。
ロダンに12枚、スウィーティオにはなんと17枚、そしてデイビッドには1枚だけ。
先程の点差は一気に引き離された。
「続いて、メルバシリーズの著者“メイプル”様より、作中に出て来たケーキとの答え合わせとなります!」
ステージに現れたのは小柄な三つ編みのメガネの女性。マダム・ネリーの姪に当たる人物で、メルバシリーズの執筆者メイプル氏だ。
「お集まりの皆様、こちらが来月発売予定のミセス・メルバの最新刊です。出題に使われたケーキは既に挿絵も掲載され、巻末に詳しいレシピを掲載しておりますわ。小説の中で作れたケーキはこちら…」
メイプル氏が広げた本が投影魔道具で引き伸ばされ、ステージの壁に映し出されると、会場からは驚きの声が上がった。
そこには切ったプラムを飾っただけの、クリームすら塗られていない素朴を通り越して無骨なケーキの挿絵が描かれていた。
「挿絵のケーキは丸型ですが…私、この方が気に入ったわ!どうしてこのケーキを思いついたのか教えてくださる?」
「花のケーキを作った時もそうだったけど、この時代は四季で手に入る素材を最大限活かして料理する事が多い。冒頭で庭のプラムの木が実ったとあったから、必ず使うだろうと思った。それに、砂糖と卵を決められた量分しっかり使ったって文章があって…たぶん普段は節約して少なめに入れてる材料を、相手のためにたっぷり使ったって意味なんだと思う。ケーキが膨らむか心配してるのも、何度も味見をしてるのも、作り慣れてない奴が良くやる行動だ。なんか、旅してた昔の知り合いが帰って来たみたいな話も聞いたし、そいつが作ってんじゃねぇか?」
「大正解!!そうなのよ!これは素朴で真面目で一途な1人の男性からメルバへ贈られるプロポーズのケーキ!手に入る材料も限られた中で精一杯作った心の籠ったケーキなのよ!よろしければこちらのケーキ、私の本に載せてもよろしいかしら?」
「こんな人気無くていいなら…」
「あら!見た目なんていいのよ!メルバの花のケーキを再現してくれた貴方のケーキなら間違いないわ?!まだ修正の効く段階で良かった!早速差し替えるわ!」
その一言で会場もざわついた。
作者が花のケーキの製作者を認めた。
それまで有耶無耶にしていたレシピの提供元をここで初めて明かしたのだ。
これで、例えデイビッドがアンドレに負けたとしても、他人の功績を横取りしたという疑惑は晴らされ、パティシエ(ではないが)の名誉まで傷つけられることはなくなった。
花のケーキの製作者をマダム・ネリーが大絶賛していた話は既に有名になっている。
どんなに貶されようと、その事実まではひっくり返せない。
アンドレは嫌そうにデイビッドを横目に睨みつけていた。
「さぁ!次はいよいよご試食頂きましょう!審査員の他に選ばれた方20名にも採点して頂きますので、当選された方は前へどうぞ!?」
司会者が現れるとサッと人が現れケーキがどんどん切り分けられていく。
「けーち!!」
「あ~…ライラ、あれはなぁ…」
「ライラのけーちぃぃ!!」
自分のケーキが取られたと思い、泣き叫ぶライラをなだめるため、デイビッドは審査の間に余った材料でライラに小さな焼き菓子を作った。
卵とバターを練って粉をふるい、残りのプラムジャムを混ぜて焼き上げられたケーキは、湯気が立つ内に切り分けられ、ライラの前にミルクと共に並べられた。
「あふ…あふ…んあー!おいしー!」
「頼むから大人しくしててくれよ…」
「もし…そのケーキ、よろしければ私にも一切れ頂けまいかね…?」
「え?」
声を掛けてきたのは美食家の文官長だった。
「ライラのけーち!!」
「まだあるからいいだろ?このおじさんにもどうぞしてあげなさい。」
「…あ゙い゙…どうじょ…」
「ありがとうお嬢ちゃん!代わりにこっちのケーキはいかがかな?」
「い゙や゙な゙い゙っ!!」
代わりにと差し出されたアンドレのケーキには見向きもせず、今度こそ自分のケーキを死守すべく、ライラはカウンターの下に潜り込んでケーキを食べ出した。
「お行儀悪いぞ?!」
「いやいや、ケーキを横取りしてしまった私が悪いのだ。美味しい物を取られると、本当に辛く時に心の傷になることもある…申し訳ない。」
と、言いつつも文官長は分けられたケーキをしっかり食べた。
そして目頭を抑えうつむいてしまった。
「どうされました?!」
「…君だな?!城でポワレを作った臨時のコックは!」
「臨時の…?あ、あん時か!そういや作ったな。デッカイ魚任されて。」
「ポワレだけではない…あの1週間は、私の28年の城勤めの中で最高に素晴らしい時間だった!スープにフリカッセ、鴨のロースト、ミートパイ…そして午後に出されるケーキと焼き菓子!未だに忘れられず記憶に残っている!間違いない、この味だ!あれは同じコックが作ったものだと聞かされて、ずっと探していたのだ!君は何故城のコックにならなかった!?」
「…コックじゃないから…?」
「何故コックではないのだ!?その腕があれば美食の頂点を目指すことも不可能ではないぞ?!」
「そこまで求めてないので…」
「勿体ない!ああ実に勿体ない!!せめて城の晩餐会にシェフとして呼ぶ事は可能だろうか!?」
「え…と…時間が合えば…?」
「では次の会合の晩餐にはお呼びしたい!是非とも!!」
ズイズイ押してくる文官長を止めたのはアリスティアだった。
「ラムゼイ様、その様に詰め寄ってはいけませんよ?ここはケーキの審査をする会場ですもの。そのお話はまた後日いたしましょう?」
「申し訳ございません姫殿下…つい、取り乱しました…」
「でもそのお話は私も大賛成ですので、お兄様に相談しておきましょう。」
「できたら止めて欲しい…」
そうこうしている内に審査が終わり、気がつくとケーキの山が消えていた。
大きなウェディングケーキは審査対象外の観客にも配られ、会場はケーキを手に、幸せそうな人々で溢れている。
審査員8名と抽選で選ばれた20名、合わせて28の点数が次々と振り分けられていく。
結果はスウィーティオに9点、ロダンに12点、デイビッドに7点となかなか厳しい戦いになって来た。
「それでは最終問題!各チーム最も得意なケーキの採点に入ります!!」
アンドレが自信満々に運んで来たのは、砂糖でできた薔薇で飾られた真っ赤なグラサージュケーキ。
ロダンチームからは断面の美しいアントルメのチョコレートのケーキが出されて来た。
「美しいボクが作る最高に美しいケーキ!どうだい?この艷やかな深紅の輝きは!まるで宝石の様だと思わないかい?」
(芸術祭で作ったヤツか…)
「私達はこちら!持てる限りの技術を詰め込んで作ったショコラトルテです!」
(一昨日作ったら即消えたなぁ…)
対するデイビッドの作ったケーキは、これまたシンプルなイチゴを飾っただけのデコレーション。
カトルカールで余った卵白も使ってふわふわに仕上げた3段重ねのスポンジに、生クリームを全体に塗ったイチゴのケーキ。
「一番お得意なケーキがこちらですか?」
「いいや?俺の得意はリクエストだ。」
「リクエスト?!」
「俺は元々ケーキなんて焼くような人間じゃないからな。誰かに頼まれでもしないと、必要がなけりゃ作らない。だから、いつもは要望があった時に相手に合わせて作るんだ。これは俺の婚約者が今一番食べたいケーキだ。」
デイビッドが一番得意なケーキ、それは誰かが食べたいと言ったケーキ。
それがヴィオラ相手になった時、本領を発揮する。
ヴィオラに最高に美味しい一切れを食べてもらいたい一心で、これまで数え切れないケーキを作ってきたのだ。
デイビッドが料理に懸ける気持ちには、それ以上のものは無い。
決して口に出さないが、愛する者のために、大切な家族を喜ばせるために、誰かのために腕をふるう、それがデイビッドの料理の原点だ。
「という訳で、悪いが先に切らせてもらうぞ?」
「え?!もう?」
「リクエストだからな。一番食べて欲しい相手に一番先に渡したい。駄目か?」
審査員席を向くと皆がニコニコしながら首を横に振っている。
「そう言う理由なら仕方がないわ。その代わり私達の分はしっかり残しておいてね?」
「もちろんです。」
マダムから許可も出たので、大きなケーキに惜しげもなくナイフを入れ、ヴィオラとライラの前に切り分けると、直ぐにフォークが伸びてきた。
「かんちゃを!!」
「そうね!この糧に感謝を…」
「ままのけーち!おいしーー!!」
「ん~~ふわふわしっとり、甘過ぎないスポンジに濃厚なクリーム…なのに全然しつこくなくて甘酸っぱいイチゴが良く合う~!幸せぇ~!」
「おかわり!」
「食うのが早い!!」
その光景を後ろに、やっと審査員達の元にケーキが切り分けられて来る。
グラサージュケーキの中はラズベリーのムースとホワイトチョコレートのジェノワーズ。
ショコラトルテはチョコレートとアーモンドのビスキュイとクリームとパイが層になっている。
審査員はそれぞれ持ち手の点数を1から10まで好きに付けられるそうだ。
デイビッド達を他所に、会場は緊張に包まれ、遂に最終採点が始まった。
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
〈完結〉前世と今世、合わせて2度目の白い結婚ですもの。場馴れしておりますわ。
ごろごろみかん。
ファンタジー
「これは白い結婚だ」
夫となったばかりの彼がそう言った瞬間、私は前世の記憶を取り戻した──。
元華族の令嬢、高階花恋は前世で白い結婚を言い渡され、失意のうちに死んでしまった。それを、思い出したのだ。前世の記憶を持つ今のカレンは、強かだ。
"カーター家の出戻り娘カレンは、貴族でありながら離婚歴がある。よっぽど性格に難がある、厄介な女に違いない"
「……なーんて言われているのは知っているけど、もういいわ!だって、私のこれからの人生には関係ないもの」
白魔術師カレンとして、お仕事頑張って、愛猫とハッピーライフを楽しみます!
☆恋愛→ファンタジーに変更しました
「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした
ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。