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第四話「雪半」
「雪半」(9)
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いったい何人を倒しただろうか。
ずたぼろになった中華料理店の奥、肩で息を切らすのはダニエル……いや、さっきまでダニエルだったものだ。レーザーカッターを両手に輝かせるその周囲には、八つ裂きにされた〝スペルヴィア〟の骸が累々と転がっている。
勝手口への進路に立ち塞がるのは、ジュズの姿へ変じたダニエルだった。
対象防衛型ジュズ〝インヴィディア〟……
ダニエルのまとった球体装甲は、他のそれとは一味違う。熱波と火の粉を照り返すそのパワードスーツは、あたりの炎の色と似て真っ赤だ。追跡するアーモンドアイどもの注意を一身に引きつけ、ハンとホーリーの逃げ道をまだ死守している。
轟音と地鳴りが、空気を震わせた。
店の近くに、なにか大きな乗り物……ヘリでも墜落したらしい。
「……!」
真紅のジュズ、ダニエルは両手の光刃を構え直した。
福山楼の入口から、硬いハイヒールの靴音が流れてきたのだ。
炎と煙の狭間で、女の人影は自分のものではない声でたずねた。
〈なにもかもを裏切り、そうまでしてお前が守ろうとするものはなんだ? ホーリーちゃんに残った〝人間〟のかけらか? それとももう半分の〝時間の怪物〟か?〉
「……〝可能性〟だ!」
ダニエルの返答に、かんだかい激突音は重なった。
疾走して一閃されたダニエルのレーザー爪を、侵入者が受け止めたではないか。超高温の刃と鍔迫り合い、火花を散らして震えるのは大振りな円月輪だ。円月輪の中央には、ダニエルと同じジュズの仮面をつけた顔……シヨの姿がある。その人型自律兵器の女は、背丈や体格ともに赤いジュズの半分にも満たない。
シヨの人工声帯はまた、よそにいる男の言葉を中継した。聞き覚えのある下卑たテロリストの口調だ。
〈可能性……かァ。うん、拍手だ。そんな冷たい雪の底から芽生えた〝希望〟〝夢〟〝未来〟とかをすっきり刈り取るのが、俺たちの仕事なんだけどさ〉
「スコーピオン……」
ダニエルの声は戦慄していた。
「完成したのか、その機械人形?」
〈まだテスト段階だけど、おかげさまでね。そんなことより、実験ナンバーD10……〝混血〟はどこかな? 素直に吐いたら、あんまり苦しまないように殺してやるぜ?〉
「もう十分、苦しみ抜いたさ!」
灼熱の攻撃は、今度はシヨの背後から襲った。
背後?
おお、なにが起こった。ダニエルと押し合うシヨの後方に、なんと、もう一体のジュズが現れたのだ。円月輪の角度を返すのが一瞬でも遅れていれば、シヨは串刺しにされていただろう。光刃を防がれたジュズの外観は、紅蓮の装甲といい背格好といい、ダニエルとなにひとつ変わらない。
新たな味方?
いや、そうではない。離れた別の機体を、まったく同時にひとりが操って戦う……他のジュズにはないこの分身能力こそが、ダニエルの得意技だった。
駆動モーターが全速力で回転する響きは、シヨの全身から漏れ始めている。前後のレーザー刃を円月輪で必死に押し返しつつも、スコーピオンの声に切迫感はない。
〈見事に不意打ちされちゃったねぇ、シヨちゃん。ただの人間やジュズが相手なら、ここまで追い詰められることはない。さすがの戦闘センスだよ、ダニエル♪〉
渾身の力を込め、シヨは強く前に踏み込んだ。
コマのように回転したシヨの切れ味の領域から、それぞれ上下にしゃがんで跳んでジュズたちは身をかわしている。文字どおり鏡合わせのごとく、しかし不規則にダニエルが繰り出す反撃の爪、爪、爪。恐ろしい連携だ。円月輪を両手で繰ってそれを捌くシヨの背中も、徐々にうしろへ押されていく。
「!」
銃声とともに、赤いジュズの一体が膝をつくのは突然だった。
撃たれたらしい。床を見れば、上半身だけになった労働者……アーモンドアイの擬態は血まみれの手で機関銃を掲げている。すかさずその首を刎ねたのは、旋回したもう一方のダニエルの光刃だ。
致命的な隙だった。
複雑な軌道を残してひるがえったシヨの両腕の先で、円月輪はまっすぐ水平に狙いを整えている。深く腰を落としたシヨの体に、刹那、脈動したのは激しい大気の歪曲だ。
充電完了……
「〝成層圏〟」
無事なほうのジュズの背後で、床をえぐってシヨは急停止した。目にも留まらぬスピードとはこのことだ。膝が地面にこするほど前傾したシヨのうしろで、ああ。ダニエルの体はゆっくりと輪切りになった。
なんだろう、振り抜かれたシヨの円月輪が漏らすエネルギーの残滓は。それは数十トンにも及ぶアンドロイドの膂力に、空間そのものを鞘として、強烈な高周波振動と反重力をプラスした斬撃……いわば超時空〝居合い斬り〟とも呼べる。
真っ二つになったダニエルの球状装甲は、瓦解して床にばらけた。
だが、それだけだ。
本体がない。
「外れだ、スコーピオン!」
ダニエルの声で叫ぶや、残ったジュズは燃える爪を振り下ろした。
さっき撃たれて動きが鈍ったほうのジュズだ。ふたつのパワードスーツを操作する核の部分は、実はこちらにある。二分の一の賭けだった。叩き落された円月輪が、シヨの足もとで跳ねる。床を弧状に裂いて上昇したレーザーの刃は、そのままシヨを……
湿った音がした。
地面に降り注いだのは、切断された赤いジュズの破片だ。シヨがジュズから片腕を引き抜くや、鳩尾を貫かれた人間形態のダニエルの姿は現れた。その口端から滴る血糊はどす黒い。腕ごと斬り飛ばされたレーザー刃は、回転しつつ床に刺さる。
〈ぎゃははは! 大・正・解!〉
痙攣するダニエルの耳もとで、スコーピオンは大笑いした。
見よ。シヨの両腕の甲には、新たな二振りの白刃が輝いている。双方の袖を割って瞬時に展開されたこの隠し剣が、ジュズの装甲を掘削し、本体のダニエルを外へ引きずり出したのだ。
シヨが剣を引き抜くと、ダニエルは前のめりに倒れた。倒れた体の下に、あっという間にタール状の池が広がる。素早く元の収納状態に戻ったのは、凶器をふたたび隠されたシヨの腕部装甲だ。
シヨの手が円月輪を拾い上げる凍えたこだまを、ダニエルは遠く聞いた。ハイヒールの靴音が体をまたぐなり、ダニエルは喉笛を掴まれて一気に宙へ持ち上げられている。
片腕一本で宙吊りにしたダニエルへ、シヨはスコーピオンの声でささやいた。
〈クイズの勝者には、素敵なプレゼントが贈られて当然だよな……聖なる騎士よ、お姫様はどこだい?〉
瀕死のダニエルは、うつろな目つきでにやりとした。
「ああ、あの実験動物のことか……売ったよ、きさまらの天敵〝ファイア〟にな。とんでもない高値がついたものでね」
〈気が合うな、このど外道♪〉
次々と店に侵入する後続のアーモンドアイに、ふたりは取り囲まれていく。絶体絶命のダニエルに、スコーピオンは楽しげに言い放った。
〈さ、おうちに帰るよ、ダニエル・ピアース。優しく治療してあげよう。長い長い拷問に備えてね。血という血をぜんぶ抜いて、頭をこじ開けて脳みそを取り出して……もちろん生きたままやるから、安心しな〉
アーモンドアイの大群が、左右に吹っ飛んだのはそのときだった。
〈んあ?〉
振り返ったシヨの仮面は、かげろうに霞んだ。
将棋倒しになったアーモンドアイどもの向こう、ひとけのない店外からなにかが歩いてくる。人の形をした炎が。開放されたその手足で燃えるのは、荷電粒子式ロケットブースターの推進装置だ。
こんな熱い男は、ひとりしかいなかった。あんな冷たい表情のタクシー運転手は、他にはいない。組織の捜査官……
シヨが中継するどこかで、スコーピオンは瞳を輝かせた。
〈スティーブ・ジェイス! きょうは遅かったな! 渋滞にでも巻き込まれたかい!?〉
「…………」
火の粉が舞う中、ジェイスは無言で前進を続けた。
あちこちから飛来したレーザーカッターをたくみに躱して弾き、正面で変身したジュズの頭部を鷲掴みにして、一気に焼き払う。ジェイスがすでに傷だらけなのは、地下歩道でのアーモンドアイの襲撃に手間取ったためらしい。
高出力のブースターに加速され、ジェイスの手足は数えきれぬ燃焼の軌跡を描いた。いまさらアーモンドアイが戦闘モードに移っても遅い。鮮やかに顔面を破壊され、腹や胸を貫かれて、ジュズどもは順番に薙ぎ倒されていく。
シヨもといスコーピオンはたじろいだ。
〈ぎゃはは! こいつは厄介だぜ! シヨちゃん! この人間ミサイルはいったん放っといて〝混血〟を追いなさいッッ!〉
「…………」
かすかに身構えたシヨの周囲で、円月輪は残像を残してぼやけた。
同時に、天井を駆け巡ったのは無数の剣閃だ。去り際のシヨに滅多斬りにされた福山楼は、ついに崩壊を始めている。
中華街は静かだった。ひび割れた道路には排薬莢や銃火器が散らばり、ヘリとパトカーは破壊されて燃え、倒れる人の数もおびただしい。まるで、つい今しがた戦争が通り抜けていったかのようだ。
爆発した中華料理店から、火の玉が空へ駆け昇った。全身のブースターを逆噴射し、すぐそばの地面に降り立ったのはジェイスだ。救い出したアーモンドアイの擬態……ダニエルの体を、そっと足もとへ横たえる。
すでに白濁したダニエルの瞳は、頭上のジェイスをだれと見間違えたのだろうか。
「つぎは……どの、絵本がいい? ホー……リー?」
「…………」
砂塵のベールの先からは、多くの政府車両が現場に近づいていた。
ずたぼろになった中華料理店の奥、肩で息を切らすのはダニエル……いや、さっきまでダニエルだったものだ。レーザーカッターを両手に輝かせるその周囲には、八つ裂きにされた〝スペルヴィア〟の骸が累々と転がっている。
勝手口への進路に立ち塞がるのは、ジュズの姿へ変じたダニエルだった。
対象防衛型ジュズ〝インヴィディア〟……
ダニエルのまとった球体装甲は、他のそれとは一味違う。熱波と火の粉を照り返すそのパワードスーツは、あたりの炎の色と似て真っ赤だ。追跡するアーモンドアイどもの注意を一身に引きつけ、ハンとホーリーの逃げ道をまだ死守している。
轟音と地鳴りが、空気を震わせた。
店の近くに、なにか大きな乗り物……ヘリでも墜落したらしい。
「……!」
真紅のジュズ、ダニエルは両手の光刃を構え直した。
福山楼の入口から、硬いハイヒールの靴音が流れてきたのだ。
炎と煙の狭間で、女の人影は自分のものではない声でたずねた。
〈なにもかもを裏切り、そうまでしてお前が守ろうとするものはなんだ? ホーリーちゃんに残った〝人間〟のかけらか? それとももう半分の〝時間の怪物〟か?〉
「……〝可能性〟だ!」
ダニエルの返答に、かんだかい激突音は重なった。
疾走して一閃されたダニエルのレーザー爪を、侵入者が受け止めたではないか。超高温の刃と鍔迫り合い、火花を散らして震えるのは大振りな円月輪だ。円月輪の中央には、ダニエルと同じジュズの仮面をつけた顔……シヨの姿がある。その人型自律兵器の女は、背丈や体格ともに赤いジュズの半分にも満たない。
シヨの人工声帯はまた、よそにいる男の言葉を中継した。聞き覚えのある下卑たテロリストの口調だ。
〈可能性……かァ。うん、拍手だ。そんな冷たい雪の底から芽生えた〝希望〟〝夢〟〝未来〟とかをすっきり刈り取るのが、俺たちの仕事なんだけどさ〉
「スコーピオン……」
ダニエルの声は戦慄していた。
「完成したのか、その機械人形?」
〈まだテスト段階だけど、おかげさまでね。そんなことより、実験ナンバーD10……〝混血〟はどこかな? 素直に吐いたら、あんまり苦しまないように殺してやるぜ?〉
「もう十分、苦しみ抜いたさ!」
灼熱の攻撃は、今度はシヨの背後から襲った。
背後?
おお、なにが起こった。ダニエルと押し合うシヨの後方に、なんと、もう一体のジュズが現れたのだ。円月輪の角度を返すのが一瞬でも遅れていれば、シヨは串刺しにされていただろう。光刃を防がれたジュズの外観は、紅蓮の装甲といい背格好といい、ダニエルとなにひとつ変わらない。
新たな味方?
いや、そうではない。離れた別の機体を、まったく同時にひとりが操って戦う……他のジュズにはないこの分身能力こそが、ダニエルの得意技だった。
駆動モーターが全速力で回転する響きは、シヨの全身から漏れ始めている。前後のレーザー刃を円月輪で必死に押し返しつつも、スコーピオンの声に切迫感はない。
〈見事に不意打ちされちゃったねぇ、シヨちゃん。ただの人間やジュズが相手なら、ここまで追い詰められることはない。さすがの戦闘センスだよ、ダニエル♪〉
渾身の力を込め、シヨは強く前に踏み込んだ。
コマのように回転したシヨの切れ味の領域から、それぞれ上下にしゃがんで跳んでジュズたちは身をかわしている。文字どおり鏡合わせのごとく、しかし不規則にダニエルが繰り出す反撃の爪、爪、爪。恐ろしい連携だ。円月輪を両手で繰ってそれを捌くシヨの背中も、徐々にうしろへ押されていく。
「!」
銃声とともに、赤いジュズの一体が膝をつくのは突然だった。
撃たれたらしい。床を見れば、上半身だけになった労働者……アーモンドアイの擬態は血まみれの手で機関銃を掲げている。すかさずその首を刎ねたのは、旋回したもう一方のダニエルの光刃だ。
致命的な隙だった。
複雑な軌道を残してひるがえったシヨの両腕の先で、円月輪はまっすぐ水平に狙いを整えている。深く腰を落としたシヨの体に、刹那、脈動したのは激しい大気の歪曲だ。
充電完了……
「〝成層圏〟」
無事なほうのジュズの背後で、床をえぐってシヨは急停止した。目にも留まらぬスピードとはこのことだ。膝が地面にこするほど前傾したシヨのうしろで、ああ。ダニエルの体はゆっくりと輪切りになった。
なんだろう、振り抜かれたシヨの円月輪が漏らすエネルギーの残滓は。それは数十トンにも及ぶアンドロイドの膂力に、空間そのものを鞘として、強烈な高周波振動と反重力をプラスした斬撃……いわば超時空〝居合い斬り〟とも呼べる。
真っ二つになったダニエルの球状装甲は、瓦解して床にばらけた。
だが、それだけだ。
本体がない。
「外れだ、スコーピオン!」
ダニエルの声で叫ぶや、残ったジュズは燃える爪を振り下ろした。
さっき撃たれて動きが鈍ったほうのジュズだ。ふたつのパワードスーツを操作する核の部分は、実はこちらにある。二分の一の賭けだった。叩き落された円月輪が、シヨの足もとで跳ねる。床を弧状に裂いて上昇したレーザーの刃は、そのままシヨを……
湿った音がした。
地面に降り注いだのは、切断された赤いジュズの破片だ。シヨがジュズから片腕を引き抜くや、鳩尾を貫かれた人間形態のダニエルの姿は現れた。その口端から滴る血糊はどす黒い。腕ごと斬り飛ばされたレーザー刃は、回転しつつ床に刺さる。
〈ぎゃははは! 大・正・解!〉
痙攣するダニエルの耳もとで、スコーピオンは大笑いした。
見よ。シヨの両腕の甲には、新たな二振りの白刃が輝いている。双方の袖を割って瞬時に展開されたこの隠し剣が、ジュズの装甲を掘削し、本体のダニエルを外へ引きずり出したのだ。
シヨが剣を引き抜くと、ダニエルは前のめりに倒れた。倒れた体の下に、あっという間にタール状の池が広がる。素早く元の収納状態に戻ったのは、凶器をふたたび隠されたシヨの腕部装甲だ。
シヨの手が円月輪を拾い上げる凍えたこだまを、ダニエルは遠く聞いた。ハイヒールの靴音が体をまたぐなり、ダニエルは喉笛を掴まれて一気に宙へ持ち上げられている。
片腕一本で宙吊りにしたダニエルへ、シヨはスコーピオンの声でささやいた。
〈クイズの勝者には、素敵なプレゼントが贈られて当然だよな……聖なる騎士よ、お姫様はどこだい?〉
瀕死のダニエルは、うつろな目つきでにやりとした。
「ああ、あの実験動物のことか……売ったよ、きさまらの天敵〝ファイア〟にな。とんでもない高値がついたものでね」
〈気が合うな、このど外道♪〉
次々と店に侵入する後続のアーモンドアイに、ふたりは取り囲まれていく。絶体絶命のダニエルに、スコーピオンは楽しげに言い放った。
〈さ、おうちに帰るよ、ダニエル・ピアース。優しく治療してあげよう。長い長い拷問に備えてね。血という血をぜんぶ抜いて、頭をこじ開けて脳みそを取り出して……もちろん生きたままやるから、安心しな〉
アーモンドアイの大群が、左右に吹っ飛んだのはそのときだった。
〈んあ?〉
振り返ったシヨの仮面は、かげろうに霞んだ。
将棋倒しになったアーモンドアイどもの向こう、ひとけのない店外からなにかが歩いてくる。人の形をした炎が。開放されたその手足で燃えるのは、荷電粒子式ロケットブースターの推進装置だ。
こんな熱い男は、ひとりしかいなかった。あんな冷たい表情のタクシー運転手は、他にはいない。組織の捜査官……
シヨが中継するどこかで、スコーピオンは瞳を輝かせた。
〈スティーブ・ジェイス! きょうは遅かったな! 渋滞にでも巻き込まれたかい!?〉
「…………」
火の粉が舞う中、ジェイスは無言で前進を続けた。
あちこちから飛来したレーザーカッターをたくみに躱して弾き、正面で変身したジュズの頭部を鷲掴みにして、一気に焼き払う。ジェイスがすでに傷だらけなのは、地下歩道でのアーモンドアイの襲撃に手間取ったためらしい。
高出力のブースターに加速され、ジェイスの手足は数えきれぬ燃焼の軌跡を描いた。いまさらアーモンドアイが戦闘モードに移っても遅い。鮮やかに顔面を破壊され、腹や胸を貫かれて、ジュズどもは順番に薙ぎ倒されていく。
シヨもといスコーピオンはたじろいだ。
〈ぎゃはは! こいつは厄介だぜ! シヨちゃん! この人間ミサイルはいったん放っといて〝混血〟を追いなさいッッ!〉
「…………」
かすかに身構えたシヨの周囲で、円月輪は残像を残してぼやけた。
同時に、天井を駆け巡ったのは無数の剣閃だ。去り際のシヨに滅多斬りにされた福山楼は、ついに崩壊を始めている。
中華街は静かだった。ひび割れた道路には排薬莢や銃火器が散らばり、ヘリとパトカーは破壊されて燃え、倒れる人の数もおびただしい。まるで、つい今しがた戦争が通り抜けていったかのようだ。
爆発した中華料理店から、火の玉が空へ駆け昇った。全身のブースターを逆噴射し、すぐそばの地面に降り立ったのはジェイスだ。救い出したアーモンドアイの擬態……ダニエルの体を、そっと足もとへ横たえる。
すでに白濁したダニエルの瞳は、頭上のジェイスをだれと見間違えたのだろうか。
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