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二輪の花
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廊下を走っていた。今年度からはそれを注意しないといけない立場なのに。彼の名前は雪飴新羽。男性教員だ。
本当は全寮制の共同高校の教員になる予定だったのだが、人手が足りなくなったとの連絡を受け突如としてこの聖蘭女子高等学校の教員となったのだ。そして、今日はそんな教員生活スタートの初日なのに遅刻をして廊下を走っていた。1ーC、1ーC、今日から担当するクラスを呟きながら走っていた。着いた。この中にはもう女子しか居ないのか、そう思うと緊張して手汗が出てきてしまった。中高一貫の男子校に通っていた為、女子との関わりが少ない。いや、今はそんなことを考えている暇はない!そう思い勢いよくドアを開けた。すると生徒達が目線が一気に集中した。焦るな焦るな。
「どうも、今日から担当させていただきます。
雪飴新羽と言います。気軽に雪飴先生とでも呼んでくださ
い!」
そう自己紹介を終えると後ろにいた教頭先生が
「ではみなさん、雪飴先生に自己紹介をしてください」
そう言うと出席番号の早い順から1人ずつ自己紹介が始まった。さすが県でも有名なお嬢様学校。礼儀や作法のひとつひとつが美しく、思わずいきを飲んでしまった。
ある生徒1人が自己紹介をした。
「果南純恋(かなんすみれ)です。弓道部に入っています。1年という短い間ですが、どうかよろしくお願いします。」
長いストレートの黒髪、透き通るような白い肌、指先もスラッと伸びていて、彼女の瞳の奥にはスミレの美しい花が咲いているようだった。どこか、他の生徒と違う雰囲気を出していた。そして次の生徒の自己紹介に移った。
「釜名幸(かまなさち)です!陸上部所属でーす!
純恋とは幼なじみです!よろしくお願いします!」
果南とは対照的で元気で少し黒い肌にショートボブ、目にはキラキラとした光が宿っているようだった。
そして休み時間になり個人個人自由に行動していた。
やはり、果南と釜名は仲がいいのか一緒に話していた。
2人は他の生徒とはどこが常軌を逸しているような才能を秘めている気がした。そんなことを考えていると、教頭先生が来て、「雪飴先生、ちょっと…」と深刻そうに呼んだ。
「果南さん、家庭の事情が色々と複雑でたまに心を病んでしまう時があるのでそういう時は話を聞いてあげたり気にかけてやったりしてください。」
意外だった。
偏見だが、果南は順風満帆で何事にも不自由がなく生きてきた様なしてしまったからだ。そんな事を軽率に考えてしまった自分を少し嫌悪した。
「はい、分かりました。果南さんの事気にかけて見ますね。」
そう教頭先生に言うと安心したように、優しくはにかみ、その場を後にした。
これからの教員生活がどうなるのだろうと少し心躍らせていた。
そう、この時はまだこんな事があるとも知らずに…
本当は全寮制の共同高校の教員になる予定だったのだが、人手が足りなくなったとの連絡を受け突如としてこの聖蘭女子高等学校の教員となったのだ。そして、今日はそんな教員生活スタートの初日なのに遅刻をして廊下を走っていた。1ーC、1ーC、今日から担当するクラスを呟きながら走っていた。着いた。この中にはもう女子しか居ないのか、そう思うと緊張して手汗が出てきてしまった。中高一貫の男子校に通っていた為、女子との関わりが少ない。いや、今はそんなことを考えている暇はない!そう思い勢いよくドアを開けた。すると生徒達が目線が一気に集中した。焦るな焦るな。
「どうも、今日から担当させていただきます。
雪飴新羽と言います。気軽に雪飴先生とでも呼んでくださ
い!」
そう自己紹介を終えると後ろにいた教頭先生が
「ではみなさん、雪飴先生に自己紹介をしてください」
そう言うと出席番号の早い順から1人ずつ自己紹介が始まった。さすが県でも有名なお嬢様学校。礼儀や作法のひとつひとつが美しく、思わずいきを飲んでしまった。
ある生徒1人が自己紹介をした。
「果南純恋(かなんすみれ)です。弓道部に入っています。1年という短い間ですが、どうかよろしくお願いします。」
長いストレートの黒髪、透き通るような白い肌、指先もスラッと伸びていて、彼女の瞳の奥にはスミレの美しい花が咲いているようだった。どこか、他の生徒と違う雰囲気を出していた。そして次の生徒の自己紹介に移った。
「釜名幸(かまなさち)です!陸上部所属でーす!
純恋とは幼なじみです!よろしくお願いします!」
果南とは対照的で元気で少し黒い肌にショートボブ、目にはキラキラとした光が宿っているようだった。
そして休み時間になり個人個人自由に行動していた。
やはり、果南と釜名は仲がいいのか一緒に話していた。
2人は他の生徒とはどこが常軌を逸しているような才能を秘めている気がした。そんなことを考えていると、教頭先生が来て、「雪飴先生、ちょっと…」と深刻そうに呼んだ。
「果南さん、家庭の事情が色々と複雑でたまに心を病んでしまう時があるのでそういう時は話を聞いてあげたり気にかけてやったりしてください。」
意外だった。
偏見だが、果南は順風満帆で何事にも不自由がなく生きてきた様なしてしまったからだ。そんな事を軽率に考えてしまった自分を少し嫌悪した。
「はい、分かりました。果南さんの事気にかけて見ますね。」
そう教頭先生に言うと安心したように、優しくはにかみ、その場を後にした。
これからの教員生活がどうなるのだろうと少し心躍らせていた。
そう、この時はまだこんな事があるとも知らずに…
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