🔴全話挿絵あり《堕胎告知》「オマエみたいなゴミ、産むんじゃなかった。」「テメェが勝手に産んだんだろ、ころすぞ。」🔵毎日更新18時‼️

ADPh.D.

文字の大きさ
134 / 190
第二章 藍と学校

130. 子供は妻への最悪の贈り物 I wanted to be a Wife, Not a Mother.

しおりを挟む
 しかし、『獣神体アニムスとノーマルの場合、子供はしかできない、だ。』と言われている。

 ……そこでエレクトラは人生で最悪の……文学界リテラチュアで最悪の決断をする――。

 オイディプスを子供が作れないと言うそしりから護るために、オイディプスと人間体アニマで子供を作らせようと考えたのだ。

 そして、相手として選ばれたのが、稀代のうつくしさで“地獄パンドラに咲く桜”との呼び声高い、サクラ・マグダレーナ……マグダラのサクラだった……。

 ……エレクトラ・ミルヒシュトラーセがノーマルの男を選んだのも、この最低最悪の決断をしたのも……全てはオイディプスを愛していたからだった――。

 ◇◆◇

 マグダラのサクラが選ばれたのには、理由があった。エレクトラが子供の時分時から権力を持っている辺境伯派の重鎮じゅうちんたちが推薦すいせんしたからだ。何故なら
 
 『強い獣神体アニムスを産む人間体アニマとは、見目が麗しいものだ。』
 
 と信じられていたからだ。

 昔から権力者で優れた獣神体アニムスたちは、より見た目が美しい人間体アニマを子をはらませる相手として選んできた。そして、そうやって美しい親から産まれた子は自然と美しい見目みめをしている。

 それは生まれた子が獣神体アニムスでも人間体アニマであってもだ。

 つまり、美しい人間体アニマは優秀な獣神体アニムスの子であることが多いから、その子自身も優秀な獣神体アニムスを生む確率が高いだろうということだ。

 それに何より、地獄パンドラ産の神が文学界リテラチュアに流入してくるまでは、文学界リテラチュアの人間は皆、美しさを“美の神の祝福”だと考えていた。

 そういった事情もあり、“地獄パンドラに咲く桜”とまでうたわれるほど美しいマグダラのサクラが選ばれた。ミルヒシュトラーセ家の子を孕む人間体アニマとして。

 では何故、パンドラ公国でも一番と言ってもいいほど優秀な獣神体アニムス、ノーマルのオイディプスになったのか。人間体アニマはどの性別が相手でも子を孕めるという特性があるというのに。

 ……そうすれば最強の戦力が手に入る可能性が高いというのに。

 それはひとえにエレクトラの意思によるものだった。

 ――エレクトラはサクラを憎んでいた。不倶戴天ふぐたいてんの敵だと思っていた。

 エレクトラは自身を獣神体アニムスの能力と辣腕という自らの力だけでのし上がってきたという自負があった。だからサクラを軽蔑していた。人間体アニマ狡猾こうかつさと美しさという武器を使って努力もせずこずるく立ち回るサクラが嫌いだった。

 エレクトラは自分の獣神体アニムスの力だけで必死に地位を高めているのに、一方ではサクラが人間体アニマの武器を使ってやすやすと持てはやされているのだ。

 とにかく二人は相容れない。

 サクラと肉体的に交わるなど考えただけで吐き気がする。それにオイディプスに対して不義を働くのも憚られた。そして何より、エレクトラがサクラと交わってゲアーターより優秀な子供がら、いよいよ辺境伯派でのオイディプスの立場がなくなる。

 しかし、この世で最も愛するオイディプスがこの世で最も憎むサクラと交わるのも許せない。

 では何故エレクトラは涙を流し懇願こんがんするオイディプスを無理に説得してサクラの元へ送ったのか。

 それはオイディプスの辺境伯派での地位を少しでも回復させるためだった。獣神体アニムスであるゲアーターが生まれたとはいえ、ノーマルのオイディプスがエレクトラを堕落させた。エレクトラが獣神体アニムスを選んでさえいればもっと多くそして、より強い跡取りに恵まれたという声は止まなかった。

 そこでエレクトラは考えたのだ。認めるのはとてもしゃくだったが、サクラの人間体アニマとしての能力は本物だ。だから、もしサクラとオイディプスで子供を作って、強い獣神体アニムスが生まれたら、オイディプスの評判を回復させる格好のになると思ったのだ。

 ……この頃のエレクトラは子供を道具としてしか見ていなかった。

 ――何故なら彼女は“母”ではなく、一生“妻”でいたかったからだ。

 誰かの母ではなく、愛するオイディプスの妻で。子供が生まれればいやおうでも妻の領域に母としての側面が侵食しんしょくしてくる。

 ――この頃のエレクトラにはでさえ、だった。

 ……愛する夫から贈られた、妻への最悪の贈り物こどもだった。

 ――最もエレクトラがサクラを憎むのにはもっと根深い理由があった……それは、エレクトラとオイディプス、サクラとファントム……そして春日しゅんじつがまだ幼い時分に起きた出来事が原因だった――

 何にせよ、そうしてオイディプスに無理を言ってサクラと作らせた子供がエゴペー・ミルヒシュトラーセだった。

 しかし、エゴペーは出来損ないの子供……わば、

 そういった理由もあって、エゴペーの存在はそこまでおおやけにされることはなかった。

 ――この世には何事にも序列がある。

 エレクトラにとっては夫が第一で子供は二の次だったというだけだ。

 そしてゲアーターのこころにも、エゴペーのこころにもこの“序列”あった。

 ◇◆◇

「“雷霆らいてい”のゲアーター・ミルヒシュトラーセ……!!」

「何故キサマが此処ここに!!……キサマは最前線に……!!」

 ◇◆◇

「……アナタこそ誰よ?そんなに殺気を向けられてたら、落ち着いて話もできないわよ。」

 エゴペーが毅然きぜんとして返す。

「ウチはアンタが抱えてる……ソコの糞餓鬼くそがきに用があるだけや……!
 『アイ・ミルヒシュトラーセを殺す。』
 それがウチの目的や……!!アンタの目的は!?邪魔ぁするんやったら……死ね!!」

 ◇◆◇

「何故此処ここにいるかだと……?」
「私の目的ねぇ……?」

 ゲアーターとエゴペーはそれぞれの敵を睨みつけながら言う。

「そんなモン決まってんだろ――」
「そんなの決まっているでしょう――」

 ゲアーターは軍服の肩に付いた宣言する。

 エゴペーは宣言する。

「俺がミルヒシュトラーセだからだ……!!」
「私がこの子を愛しているからよ……!!」

 二人のこころの序列は違った。

 エゴペーのこころ序列は唯一、唯一自分と同じく弟だった。

 ゲアーターの人生の最優先事項はエレクトラおかあさまだった。エレクトラの本懐ほんかいげる事がその人生の目標で、かつて母親を裏切ってまで手にしようとした恋人を失った彼の人生の指針だった。

 ゲアーターのこころの序列はしくもアイと同じだった。二人とも人生をかけて母親の願いを叶えたいという意思を持っていた。

 だからアイは兄弟から愛されていても、母の愛を求めて乾きあえいでしまうし、ゲアーターは愛する妹と弟たちがいても、母親を優先してしまう。

 ……奇しくも同じ理由で、アイはきょうだいからの愛情をないがしろにしてしまい、ゲアーターはエレクトラの意思を優先しきょうだいを第一に考えられないのだった。

 ゲアーターが後ろをチラリとアイを見り、付け加える。

「……、テメェらが狙ってるアイツは……“俺の弟”だ。これ以上まだ理由がいるかぁ……!?」

「ウチのアイちゃんに手を出すなら……貴女もここで散華させるわよ。」

 ゲアーターは忠実なる騎士ロイヤル・ナイトに向かって、エゴペーはアガ・ハナシュに向かって“心を込めた言葉”を放つ。

 ゲアーターは低く下ろした掌をゆっくりと上げながら、エゴペーは高く上げた掌をゆっくりと下げながら。

 その動きの違いは、まるで二人の対照的な天の川ミルヒシュトラーセに対する態度を表してるかのようだった。

 《……雷霆エレクトールの――》
 《……遺骨オステオンの――》

 《《――憤怒イーラ……!!》》
 
 そこからは速かった。ゲアーターの雷撃が忠実なる騎士ロイヤル・ナイトの全てを貫き、感電させ……死に追いやった。

「クソっ……“嘲笑のマイペ――!!」 

 アガ・ハナシュは即座に心を込めた言葉で対抗しようとするが、余りにもヘルツ発現はつげん速度が違いすぎて反応できなかった。

 ハナシュは言葉を続けるようなことが出来なかった。

 ……全身を骨のヘルツで貫かれて、散華したからだ――。

 ◇◆◇

 ゲアーターが落ち着き払って夜に向けて言葉を放つ。

「……終わったな。エゴペー、お前はこの満身創痍のクソ野郎……砂漠の黒死病デシエルト・ペスト、ザミール・カマラードを骨で拘束してくれ。
 それと、アイを護っててやってくれ。
 おれは他の生徒たちのもとへ向かう――」
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...