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第二章 藍と学校
84. 仄暗い瞳の底から Dark Eyes
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「アイ……ちゃん。」
アイは雨が降ったあとの土のように深い、こんなに黒いアルタークの瞳を見たことがなかったので、狼狽した。
「アル、ちゃん……?どうしたの?
何があったの?
何をそんなに――」
◇◆◇
ニッコリと笑ってアルタークが言う。
「なんでもないよ?ただアイちゃん様が心配だっただけ、無事でよかったよ~。もう~心配したんだからね~?」
アイを抱きすくめて朗らかに伝える。
「……?ありが、とう?ごめんなさい……。」
「ほんとだよ~アイちゃん様が私を心配なように、私だってアイちゃんが心配なんだから!今後気をつけるように!」
「う、うん……?」
アイは何か不自然な明るさに釈然としたが、その正体が何かまでは分からなかった。
そして、抱きしめられているから全く気が付かなかったのだ。その明るい声の調子に反して、アルタークの瞳が一切光を宿しておらず、顔が全く笑っていないということに。
◇◆◇
「アイちゃん!……無事でよかった……。」
「クレくんっ!クレくんこそ……もう動いて大丈夫なの?」
アイとクレジェンテが、お互いに喜び勇んで駆け寄る。
「いや~。愛するものだとは知ってたけど、アイちゃんの愛はすごいねぇ……もちろん万全とは行かないけど、結構動けるしまだ戦えるよ!」
お互いの手を握り合う。はるひがまたイラッとして舌打ちをしたので、アイは慌てて手を離す。
「……?アイちゃん……?」
「あっ、えっと……そう!ダメだよ、クレくんは怪我をしてるんだから、他のみんなと一緒に居ないと。もう戦っちゃダメだよ……?」
クレジェンテは自分を見上げる瞳の中に、ほんとうの気遣いと……確かな何者かへの恐怖を感じ取った。
◇◆◇
「で?とりあえずどーするよ?
オウジョサマ、アイくん?」
はるひがものぐさそうに言う。
「なんでそのお二人に?
戦闘経験なら不知火陽炎連合の参加が集まった貴女達のクラスの方が慣れているのでは?」
不思議そうにクレジェンテが言う。
「戦術ならな……しかしより大きな戦略となるとこのお二人に決定権がある。
何故なら――」
かげろうの答えを遮るように、アルタークが付け足す。
「――ここじゃあ、“この2人が”いちばん偉いからですよね?」
アイは貴族の言葉を遮るという、普段のアルタークならしないであろう行動と、含みのある言葉に疑問を抱いたが、すぐに今は緊急事態で“そんなこと”を考えている余裕はないと思い直した。
「そうね。王女である私とミルヒシュトラーセ家のアイ意思決定をするならこの娘と私の2人で、ね。」
ラアルがアイの肩を抱く。その行動に皆がピクリと眉をひそめる。
「そう……ですね。ラアルさま。貴女は今この国で……今この場でいちばん重要な存在です。とりあえずラアルさまを皆と共に逃がすのが宜しいかと思われますが――」
「――逃げるか戦うかなら、逃げるってのは私も賛成よ。
先刻の阿呆が言ってたことが本当だとして、敵が“ロイヤル”というのなら尚更、彼の国が何の計画もなく学院の生徒たちを襲撃するわけがないわ。絶対に何か罠があるはず。慌てて散り散りになって逃げ出すのが一番危険だと思うわ。なら――」
「……一旦皆で固まってけが人をたちを囲って守りながら、助けが来るのを待ちましょうか?
チェル先生ならきっと私達を助けに来てくれるか、救援を呼びに走ってくれているはずです。
パニックならないように、そしてなにより――」
「「――戦うべき相手が誰かを見誤らないように」」
ラアルとアイが同時に言う。2人とも今までの生で理解しているのだ。公王派と辺境伯派という対立構造の神輿にかってに据えられて、辟易してきたからだ。
――ほんとうに2人は“こころの通じ合った親友”だった。
アルタークはそれをただみている。
◇◆◇
「情報を集め、状況を整理しておきましょう。誰が敵か味方わからないと、戦闘中に躊躇いが生じて、その一瞬の逡巡で命を落としかねないわ。」
クレジェンテが口を挟む。
「それに関して述べさせて頂きますと、パンドラ公国のザミール・カマラードも絡んでいるようです。先刻闘った者が彼の者の部下です。」
「それは、わたくしも保証します。以前シュベスターを襲ってきた……奴とは教会で闘ったことがあります。」
「ふむ……。」
とラアルがその美しい顎に手を添える。
「二人の言を勘案するに、自国内に内通者がいて、其奴からと手を組んだ神聖ロイヤル帝国が攻めてきていると……。」
アイが付け足す。
「現状判明している内通者は先刻ラアルさまとわたくしが斃した、マンソンジュ軍士官学校の元生徒会と風紀委員の者二人、そして――」
アイがギラリとユスカリオテのイダの方を振り返る。
「――ユスカ……イダくん。貴方ですよね……?」
アイ以外の全員がバッとイダに向けて臨戦態勢をとる。ラアルはアイを庇うように、その身で彼女を隠した。
イダが両手を挙げて観念したように話し出す。
「わたくしは、イダヤ教の背教者かもしれませんが、アイ様の背信者ではありません。
……そもそも僕の解釈では、イスカリオテのユダはナザレのイエスを裏切ってはいませんしね。僕は地獄の太宰治の立場を取りますからして――」
アイが口を挟む。
「――黙れ。それよりも情報を。わたくしの前に跪け。」
アイが心のちいさな剣と天秤を顕現させ、ルダに近づく。
「アイ!あぶないわ!」
「大丈夫です、ラアルさま。」
イダがまた、アイの垂らした剣に頸を充てがう。
「わたくし、アイ・ミルヒシュトラーセが問う。答えろ。ユスカリオテのイダ……お前は何者で……何を知っている?」
「僕は、凡庸な貧民です。欲しくてならぬ、貴方が。はい、はい。申しおくれました。私の名は、貧しいのイダ。はっは。ユスカリオテのイダ。
知っていることと言えば、貴方です。貴方。アイ・サクラサクラ―ノヴナ・フォン・ミルヒシュトラーセ様。
貴方に危険が迫っているということだけ、
“奴らの狙いが貴方だ”ということです。」
「この娘を狙っている……?」
ラアルが忌まわしげに繰り返した。
かげろうとはるひもビキビキと血管を浮かせ、獣神体の犬歯が伸びる。
「……誰から聞いた?」
「……彼奴は自らを“ツエールカフィー公王”の使いの者だと言っていました。」
ラアルが犬歯を剥き出し、吠える。
「ありえない!するわけないでしょう!!お母様が!!そんなことを!お母様を侮辱したわね!!
この裏切り者殺し――」
イダを毒の心で殺そうとするが、アイが制止する。
「――ラアルさま……落ち着いて、どうか落ち着いて下さい。」
ラアルがハッとする。
「アイ!私のお母様は貴女を狙うような命令を出す人ではないわ!信じ――」
「――信じます。
というよりは、ずっとずっと前から信じてます。
そしてきっと、これから先も。」
ラアルが驚いて問う。
「なんでそんなにあっさり信じてくれるの?私たちは形式上対立している派閥に居るのに。アイはまだお母様に会わせたこともないのに……。」
◇◆◇
アイの瞳がイダに向けていた時の軽蔑を含んだものから、フワッと一変しあたたかく柔らかいものになる。
そして唇を少し尖らせて、ぷくっと頬を膨らませる。
「もうっ!ラアルさまこそわたくしをもっともっと信じて下さい!」
「ア……アイ?」
アイが以前教室でアルタークのためにラアルを諭した時のように、手を取り自分の胸に充てさせる。
「あ~ぁ!先刻一緒に戦ってわたくしたちの瞳がまじあってアメジスト色になったときにラアルさまと1つになったように感じたのになぁ……。そう感じたのは、そう思ったのはわたくしだけだったんですか……?」
上目遣いでさみしそうにラアルを見上げる。
「そっ!そんなのことないわっ!
私も感じたもの!
“世界は貴女と2人きり”、
貴女がいれば私は無敵だってね……!!」
「ですよねっ!よかったです。
それに――」
◇◆◇
アルタークが暗い目で2人を見遣っていることにアイは気が付かなかった、ラアルのことしか見ていなかったからだ。
アイは雨が降ったあとの土のように深い、こんなに黒いアルタークの瞳を見たことがなかったので、狼狽した。
「アル、ちゃん……?どうしたの?
何があったの?
何をそんなに――」
◇◆◇
ニッコリと笑ってアルタークが言う。
「なんでもないよ?ただアイちゃん様が心配だっただけ、無事でよかったよ~。もう~心配したんだからね~?」
アイを抱きすくめて朗らかに伝える。
「……?ありが、とう?ごめんなさい……。」
「ほんとだよ~アイちゃん様が私を心配なように、私だってアイちゃんが心配なんだから!今後気をつけるように!」
「う、うん……?」
アイは何か不自然な明るさに釈然としたが、その正体が何かまでは分からなかった。
そして、抱きしめられているから全く気が付かなかったのだ。その明るい声の調子に反して、アルタークの瞳が一切光を宿しておらず、顔が全く笑っていないということに。
◇◆◇
「アイちゃん!……無事でよかった……。」
「クレくんっ!クレくんこそ……もう動いて大丈夫なの?」
アイとクレジェンテが、お互いに喜び勇んで駆け寄る。
「いや~。愛するものだとは知ってたけど、アイちゃんの愛はすごいねぇ……もちろん万全とは行かないけど、結構動けるしまだ戦えるよ!」
お互いの手を握り合う。はるひがまたイラッとして舌打ちをしたので、アイは慌てて手を離す。
「……?アイちゃん……?」
「あっ、えっと……そう!ダメだよ、クレくんは怪我をしてるんだから、他のみんなと一緒に居ないと。もう戦っちゃダメだよ……?」
クレジェンテは自分を見上げる瞳の中に、ほんとうの気遣いと……確かな何者かへの恐怖を感じ取った。
◇◆◇
「で?とりあえずどーするよ?
オウジョサマ、アイくん?」
はるひがものぐさそうに言う。
「なんでそのお二人に?
戦闘経験なら不知火陽炎連合の参加が集まった貴女達のクラスの方が慣れているのでは?」
不思議そうにクレジェンテが言う。
「戦術ならな……しかしより大きな戦略となるとこのお二人に決定権がある。
何故なら――」
かげろうの答えを遮るように、アルタークが付け足す。
「――ここじゃあ、“この2人が”いちばん偉いからですよね?」
アイは貴族の言葉を遮るという、普段のアルタークならしないであろう行動と、含みのある言葉に疑問を抱いたが、すぐに今は緊急事態で“そんなこと”を考えている余裕はないと思い直した。
「そうね。王女である私とミルヒシュトラーセ家のアイ意思決定をするならこの娘と私の2人で、ね。」
ラアルがアイの肩を抱く。その行動に皆がピクリと眉をひそめる。
「そう……ですね。ラアルさま。貴女は今この国で……今この場でいちばん重要な存在です。とりあえずラアルさまを皆と共に逃がすのが宜しいかと思われますが――」
「――逃げるか戦うかなら、逃げるってのは私も賛成よ。
先刻の阿呆が言ってたことが本当だとして、敵が“ロイヤル”というのなら尚更、彼の国が何の計画もなく学院の生徒たちを襲撃するわけがないわ。絶対に何か罠があるはず。慌てて散り散りになって逃げ出すのが一番危険だと思うわ。なら――」
「……一旦皆で固まってけが人をたちを囲って守りながら、助けが来るのを待ちましょうか?
チェル先生ならきっと私達を助けに来てくれるか、救援を呼びに走ってくれているはずです。
パニックならないように、そしてなにより――」
「「――戦うべき相手が誰かを見誤らないように」」
ラアルとアイが同時に言う。2人とも今までの生で理解しているのだ。公王派と辺境伯派という対立構造の神輿にかってに据えられて、辟易してきたからだ。
――ほんとうに2人は“こころの通じ合った親友”だった。
アルタークはそれをただみている。
◇◆◇
「情報を集め、状況を整理しておきましょう。誰が敵か味方わからないと、戦闘中に躊躇いが生じて、その一瞬の逡巡で命を落としかねないわ。」
クレジェンテが口を挟む。
「それに関して述べさせて頂きますと、パンドラ公国のザミール・カマラードも絡んでいるようです。先刻闘った者が彼の者の部下です。」
「それは、わたくしも保証します。以前シュベスターを襲ってきた……奴とは教会で闘ったことがあります。」
「ふむ……。」
とラアルがその美しい顎に手を添える。
「二人の言を勘案するに、自国内に内通者がいて、其奴からと手を組んだ神聖ロイヤル帝国が攻めてきていると……。」
アイが付け足す。
「現状判明している内通者は先刻ラアルさまとわたくしが斃した、マンソンジュ軍士官学校の元生徒会と風紀委員の者二人、そして――」
アイがギラリとユスカリオテのイダの方を振り返る。
「――ユスカ……イダくん。貴方ですよね……?」
アイ以外の全員がバッとイダに向けて臨戦態勢をとる。ラアルはアイを庇うように、その身で彼女を隠した。
イダが両手を挙げて観念したように話し出す。
「わたくしは、イダヤ教の背教者かもしれませんが、アイ様の背信者ではありません。
……そもそも僕の解釈では、イスカリオテのユダはナザレのイエスを裏切ってはいませんしね。僕は地獄の太宰治の立場を取りますからして――」
アイが口を挟む。
「――黙れ。それよりも情報を。わたくしの前に跪け。」
アイが心のちいさな剣と天秤を顕現させ、ルダに近づく。
「アイ!あぶないわ!」
「大丈夫です、ラアルさま。」
イダがまた、アイの垂らした剣に頸を充てがう。
「わたくし、アイ・ミルヒシュトラーセが問う。答えろ。ユスカリオテのイダ……お前は何者で……何を知っている?」
「僕は、凡庸な貧民です。欲しくてならぬ、貴方が。はい、はい。申しおくれました。私の名は、貧しいのイダ。はっは。ユスカリオテのイダ。
知っていることと言えば、貴方です。貴方。アイ・サクラサクラ―ノヴナ・フォン・ミルヒシュトラーセ様。
貴方に危険が迫っているということだけ、
“奴らの狙いが貴方だ”ということです。」
「この娘を狙っている……?」
ラアルが忌まわしげに繰り返した。
かげろうとはるひもビキビキと血管を浮かせ、獣神体の犬歯が伸びる。
「……誰から聞いた?」
「……彼奴は自らを“ツエールカフィー公王”の使いの者だと言っていました。」
ラアルが犬歯を剥き出し、吠える。
「ありえない!するわけないでしょう!!お母様が!!そんなことを!お母様を侮辱したわね!!
この裏切り者殺し――」
イダを毒の心で殺そうとするが、アイが制止する。
「――ラアルさま……落ち着いて、どうか落ち着いて下さい。」
ラアルがハッとする。
「アイ!私のお母様は貴女を狙うような命令を出す人ではないわ!信じ――」
「――信じます。
というよりは、ずっとずっと前から信じてます。
そしてきっと、これから先も。」
ラアルが驚いて問う。
「なんでそんなにあっさり信じてくれるの?私たちは形式上対立している派閥に居るのに。アイはまだお母様に会わせたこともないのに……。」
◇◆◇
アイの瞳がイダに向けていた時の軽蔑を含んだものから、フワッと一変しあたたかく柔らかいものになる。
そして唇を少し尖らせて、ぷくっと頬を膨らませる。
「もうっ!ラアルさまこそわたくしをもっともっと信じて下さい!」
「ア……アイ?」
アイが以前教室でアルタークのためにラアルを諭した時のように、手を取り自分の胸に充てさせる。
「あ~ぁ!先刻一緒に戦ってわたくしたちの瞳がまじあってアメジスト色になったときにラアルさまと1つになったように感じたのになぁ……。そう感じたのは、そう思ったのはわたくしだけだったんですか……?」
上目遣いでさみしそうにラアルを見上げる。
「そっ!そんなのことないわっ!
私も感じたもの!
“世界は貴女と2人きり”、
貴女がいれば私は無敵だってね……!!」
「ですよねっ!よかったです。
それに――」
◇◆◇
アルタークが暗い目で2人を見遣っていることにアイは気が付かなかった、ラアルのことしか見ていなかったからだ。
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