最果ての魔女 〜魔女となった少年の時を超えた復讐の旅〜

くぼってぃー

文字の大きさ
3 / 6
序章 魔女になった少年

世界から嫌われている

しおりを挟む
―長く、綺麗な黒髪、それでいて、少し面影があるような顔。
そんな姿が鏡に映りこんでいた。
「何で、、、」
声も、普通の青年が発する声からは、想像できない高い声になっていた。

ドアの音が少し軋み、父と母が入るまで、自分の置かれた状況を否定しようとしていた。これは夢だ、悪夢だ、断じて現実とは関係の無いことだ。
自分の信じた虚言は、一瞬で終わりを迎えた。

「おはよう!イヴァ、、、」
元気いっぱいの、母と父の声がした。
その元気も、一瞬のうちに否定された。

「父さん、母さんっ、、、」
涙が溢れそうだった、実際溢れていたのかも知れない。
何かにすがり付こうと、声が震えていた。
父と母は、絶句して、同時に絶望もしていた。

「イヴァン、、お前何で、、、」
父は、驚きと恐怖で僕よりも声が震えていた。
「あぁ、神よ何で貴方は、イヴァンをこんな風にしてしまったのですか。」
冷静沈着で、いつでも優しくしてくれていた父さんのイメージが、崩れ落ちた。
それと並んで、母さんは、涙をこぼして泣いていた。
心情的に、精神的にきつかったのであろう。
自分が腹を痛めて産んだ子が、世界から迫害され、忌み嫌われる魔女になるなんて。

ーこの状態で、成人の儀を実行できる筈もなく、1日が経過していった。
母は、1日で窶やつれて、いつもの母は、戻ってくる事が無いことを知った。大好きな家事を流麗にこなしていく母が、料理を作らず、洗濯もしない日など、今まで無かった。
父は、性格から、何から何まで、1日で酷く変わってしまった。
まず、飲まないと決めていた、酒を飲み始めた。それに、森の薬草を、葉巻にして吸っていた。一番驚いたのは、産まれてこの方、見たこと無い、母への暴力だった。
大好きだった人達が、こんなにもあっさり崩れていく様を見ては、居られなかった。

ー次の日

僕の部屋の前に、冷たく硬いパンと、しょっぱい水が置かれていた。
1日泣いていたのでぐったりしていて、腹も減っている。
僕は、それを貪った。

そこからは、部屋で本を読んでいた。
いつも本は、読まかったが、部屋の見栄えが良くなると思って置いていた。
その中に、魔術の文献や、薬草の知識、護身術等の本もあった。
あまり、文字は得意で無かったが、狩よりも難しくなく、すぐに読む事が出来た。
本によると、魔術は、体内の魔力量に比例して発動する事ができるが、魔力を持った人間は、極めて稀で、10年に一人出るか出ないかの逸材らしい。
魔法を放つのに必要なのは、詠唱だが、魔方陣を作成して置けば、無詠唱で発動出来るようだ。
魔力は、食べ物、生命、睡眠によって回復することが、分かった。

これだけ読むのに、丸1日かかってしまった。
読むのに夢中で、腹が減った。部屋の前に置いてある食べ物を食べようと思って
ドアを開けたが、其処には何も無かった。
腹が減り、下に降りると、独り言を言う母と、酒に浸る父がいた。
「母さん、食べ物が欲しいんだけど、、、」
それに対しての母の言葉は、残酷な物だった。
「お前のせいで、、、」
「何で魔女なんかになったのよ、、」
「そのせいで、、、私は、、、」
一言目を言うと、僕の首の方に腕を伸ばし、女性と思わせない力で、首を絞めてきた。
苦しい、死ぬ、何で、、、
僕の意識は、そこで途絶えた。
目が覚めると、ベッドの上に寝かされていた。
首には、絞められた後があり、気持ちが限界になっていた。
それでも腹が減って、親がいない事が分かり、村の露店に貯めていた貯金を持っていった。
いつもにぎやかで、落ち着きの無い所だが、油断出来ず、ローブを羽織って行く事にした。
いつも挨拶をしている人達に、他人の振りをして会うのには、少し気が引けたが、魔女が嫌われている事を見に染みつけたので、慎重になっていた。
「すみま、、せん、一番安いパンとスープを、、下さい。」
店の亭主は、不思議そうにこちらを見ながら会計を始めた。
「はいよ、銅貨5枚だ。」
手のひらを見ると、握りしめていたのは、小銅貨20枚だった(銅貨2枚相当)。
これでは全然足りない。
「すみません、、やっぱりパンだけで。」
空腹で限界だった。何でもいいから腹に入れたかった。
「それなら、銅貨3枚だ。」
亭主は、さらに怪しそうにこちらを見つめていた。
「なっ、、、」
買えない、お金が足らない、空腹で気が遠くなり、思考能力が低下していた。
腹が減った、もう限界だった。
僕は、気づけばパンを持って走っていた。
ローブも脱げて顔も体も見られた。
だがそんな事どうでもよかった。食べ物が手に入ったのだ。
後ろから、怒りに身を任せて走ってくる店の亭主が見えた。
恐らく盗んで逃げているからだろう。
「とりあえず、森に、、、」
森の奥で見つからないように食べようと思った。

だが、近くにいた兵隊に見つかってしまった。
「おい、魔女がいるぞ!」
「捕まえろ!」「殺せ!」
追いかけてくる兵隊。少しずつ距離が縮まり、押さえつけられた。
「―――――――!」
一瞬でくつわがはめられ、縄で拘束された。
見るからに豪華な鎧を着た男がこちらに来て。
「貴様、魔女だな。」
「魔女は、この国にとって有害であり、世界に破滅をもたらす存在である。」
「アルゴア王国騎士団長の命により、ここに貴様の死刑を言い渡す!」

ー薬で眠らされ、気づけば牢屋にいた。ー
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...