とある物語

小池竜太

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とある物語

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ある所に少女が居た。
美しいが薄幸で、毎日苦労して暮らしていた
少女は恋をして破れた
そのことを彼女は深く根に持った
そうして恨みを抱いたまま過ごした

ある所に少年が居た
貧しいが幸福でいつも一生懸命暮らしていた
少年は恋など知らず
遠い所いるであろう女の子に憧れていた

そうしてその国で戦争が起こった
とても激しい戦争だった
少女は戦争を起こした
少女は全てを憎み全てを滅ぼしたかった

少年は戦争に駆り出された
そうして血と砂にまみれ、すさまじい体験をした

少女はある日少年に目をつけた
少年は少女は奴隷にされた
少女はここらで戦争を終わらせてもいいと思った

少年は少女と暮らした
けれどある日、少女はの過去を聞いた
「私は振られて以来、男を憎んだ。憎しみに憎しんだ。でもあなただけは私を憎まなかった。とても優しい目をしていて私もあなたも憎めなかった。その血に何か宝物でも埋まっているのではないかと思えるくらい美しい目だった。話しているうちにだんだんと私の心は解きほぐれていった。そうして身を預けた時、私はとても嬉しかった」

それ以来二人は仲良く暮らすようになった。
もはや少年は少女ではない。
二人は立派な大人だった。
星が月を呼び、いずれ出会い、そうして別れ、また出会う。
物語はどこまでも続いていく
砂漠の歌が君らを癒すこともあるだろう
どこかで不思議な鳥の声が君らを喜ばすこともあるだろう

この世界に輪はあるが
それは決して閉じられてはいない
いつもどこかで開いている

世界は美しく、人の心は醜いが
時間は全てを変えてくれるだろう
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