極道なお義兄さまに淫紋を刻んだお嬢の愛は翼となって舞い降りる

ささゆき細雪

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「足りない、な」
「お、義兄、さ、ま……?」
「挿入るぞ」
「――ン!」

 ずぷりと挿入され、ぼうっとしていた羽鳥がふたたび絶頂する。貫かれただけで達してしまった羽鳥を抱き寄せて、紫雀は容赦なく律動を開始する。敏感な場所をピンポイントに突き上げられ、羽鳥の身体がビクビクと弾む。まるで翼を手に入れてしまったかのよう。空を飛んでいるような快楽に溺れた羽鳥は紫雀の激しいピストンに何度も目の前が真っ白に染まる。久しぶりなのに痛みを感じることもなく、快楽だけが上書きされていく。子どもを産んだから余計に感度が高くなっているのかもしれないな、と紫雀が呟いていたけれど、彼女にその声は聞こえない。

「あぁぁぁぁあああっ!」
「はとり、はとり! 俺もイくぞ!」

 白濁を膣奥に注がれて、羽鳥はあぁと幸せそうに息をつく。満足できたのか、互いの淫紋から煌めきは消えていた。

「――しじゃ、く」
「ああ。羽鳥」
「何があっても起こっても、あたい、紫雀のこと、愛してる」
「知ってる」

 淫紋の効果が切れたからか、疲れ切った紫雀の声が降ってくる。お互いはだかのままベッドのうえで身体を寄せ合って、うとうとと微睡む。
 そこへ、ドタドタと騒がしい音が響く。

「ママあぁああ! いまのこえなぁに!?」
「し、しよくっ! 開けないでっ!」

 寝室の扉をどんどんと叩かれて、羽鳥は跳ね起きる。くしゃくしゃのワンピースを慌てて着たところで、息子が寝室に入ってくる。情事の声をすっかり耳にしていたのだろう、はだかの紫雀を見て、怪訝そうな顔をしている。

「なんでしよくんとママのベッドにはだかのおじさんが寝てるの?」

 息子が乱入してきたというのに今もなおすやすやと気持ちよさそうに眠っている紫雀を羽鳥は恨めしそうに見つめる。この状況をどう説明すればいいのか黙り込む母親と眠り込む男を見て、紫翼は意外なことを口にする。

「おじさんのおへそ、ママとおそろい?」
「そう、なの。ママとパパの、愛の印だから」

 そして生まれたのが紫翼なのだと説明しようとしたところで、紫雀がむくりと起き上がる。息子にまじまじと見つめられて、硬直している。紫翼の視線は、背中に刻まれた刺青に注がれていた。

「おっきな、とりしゃん」
「これな、鳳凰のつばさくんっていうんだ。さわってみるか?」
「うん!」

 紫雀自身、雀座組の亡き会長と妾の息子であるため、当たり前のように墨を入れている。鳳凰が翼を拡げた絵柄に衝撃を受けたのか、紫翼は興味深そうにぺたぺたと背中を叩く。

「かっこいい!」
「だろ? つばさくんって名前は、子どものときのママがつけたんだぜ」
「ママが?」
「そうよ。紫翼が生まれる前のおはなし」
「そのころから、ふたりはにっしょだったの?」
「にっしょ? あ、一緒ってことか。そうだな、兄妹みたいな関係だった」
「いいなぁ、しよくんも弟か妹がほしいな」
「だってさ、ママ」
「――そこでさらりと話をふらないでくださいっ!」

 たしかにはじめは兄と妹のような関係だった。それがいつしか恋人のようになり、子どもを授かった。羽鳥が一途に紫雀を慕っていたから。
 淫紋はいまも物欲しそうに疼いているけれど、息子がいるいまは我慢、我慢。
 そんな羽鳥を見て、紫雀がニヤリと笑う。

「一緒にいたから、天使のような君が舞い降りてきたんだ」

 羽鳥を女神だと言い、紫翼を天使だと言う、そんな紫雀の言葉に息子はきょとんとしていたけれど。

「じゃあ、つばさくんのおじさん、しよくんのパパ?」
「そうなるな」
「だからママとにっしょなんだね」
「これからはしよくんともにっしょ?」
「ああ。嫌か?」
「いやじゃない! いやじゃないよだってしよくん知ってるもん、だってママ」

 ――だってママ、ずっと待ってたんだもの。しよくんとにっしょに。

 その呟きに、羽鳥の涙腺が決壊する。ぽろぽろと泣き出した羽鳥をはだかの胸に導いた紫雀は恥ずかしそうに息子に告げる。

「ただいま」

 これからは家族ずっと、一緒だよ――……




――fin.
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