身代わり聖女は「君を孕ますつもりはない」と言われたのに死に戻り王子に溺愛されています

ささゆき細雪

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chapter,1

03. 孕ませるつもりはないけれど《2》

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「あっ、あひっ……」
「ジゼ。君の蜜はとても美味しいよ。それに気持ち良さそうな君の顔を見られるのは役得だね」

 恥ずかしい格好で口淫を施されつづけてヒセラのミルクティ色の髪がうっすらと赤らんでいく。絶頂を迎えるとストロベリーブロンドに輝く髪が揺れて、瞳もガーネットの宝石のように煌めくヒセラの変貌をリシャルトは楽しんでいるように見える。
 ヒセラが達すると魔力が溢れて髪と瞳の色が変わり、意識を失うと元に戻る――その理由は正確にはわからないが、リシャルトがヒセラに魔力を注ぐことで起こる変化ゆえ、これ以上抱くと身体がもたないという精霊からの警告なのではないかとふたりは結論づけた。

「それに俺の魔力に酔わないなんて……やはり君は選ばれた聖女なんだな」
「っ、く!」

 ――リシャールさままで、そんなことを言うなんて。それだけ彼の魔力は桁違いで、日常生活に支障を及ぼしかねないのね。

 神々しい銀髪に海を彷彿させる碧い色の双眸を持つ次期国王は魔力が強すぎるがゆえ、城下に降りることができないのだ。精霊の数が減ってしまったここ五年ほどは王城と国有地である“魔女の森”以外、自由に動き回ることを陛下に禁じられていたのである。王城敷地内の聖堂で行われた結婚式が慎ましやかだったのも、神聖な場で彼の魔力が増強するのを憂いた王が周囲の人間に魔法酔いを起こさせないためだったのだと後に聞かされ、ひとまず納得したヒセラである。

 ――あたしの魔力でリシャールさまが自由に動けるようになるのなら、いくらでもあげる。だけど、やっぱり恥ずかしい……

 魔女として生きてきたヒセラは自分の身体が使い物にならなくなるほどの魔法酔いを体験したことがない。結婚初夜の翌朝、リシャルトの魔力を受けてもピンピンしているヒセラを侍女たちは珍獣を見るような目で見ていた。
 さすが聖女さまと言われたが、生前のジゼルフィアは魔法酔いしない体質以外にも加護のちからを持っていたのだから、身代わりのヒセラにその称賛は響かない。
 とはいえ魔法酔いしない体質でも、リシャルトから与えられる甘美な快楽には酔い痴れてしまう。

「あぁああ……りしゃ、るさまの手と口だけで、い、イってしまいます……!」
「いいよ。もっと気持ちよくなって。ジゼ」

 ぺシャぺシャと蜜口を舐めていたリシャルトが両手を伸ばし、ヒセラの乳房をぎゅっと掴む。彼の指先は乳暈をくるりとなぞりながら乳首を探り、カリっと爪で引っ掻くように刺激をはじめる。

「あぁ~~……!」

 偽物の聖女としてリシャルトに嫁いだヒセラは大魔女タマーラに師事する魔女のひとりだが、ジゼルフィアが生まれながらに持っていた加護魔法は扱えずにいた。結婚式までに術式だけでも覚えたいと必死になってあたまに入れたが、実践する機会はまだ訪れていない。
 そのような状況でも、彼は絶えず魔力を放出してヒセラを何度も絶頂させる。
 ヒセラの魔力を奪うべく執拗に口淫を施していたリシャルトは、ミルクティ色の髪が熟れた苺の果実の色へと移り変わったヒセラを見つめ、うっとりとした表情で呟く。

「たまらないな。避妊薬を飲ませて挿入したいくらいだ」
「――!?」

 あくまで孕ませるつもりはないのだというリシャルトの呟きに、ヒセラは愕然とする。跡継ぎをもうけなくてはいけないのは理解しているはずなのに、妻に避妊薬を飲ませて抱きたいだなんて。
 すっ、と髪と瞳の色が元に戻ったヒセラは自分の声が冷たく凍りついていることに気づかないまま、彼に詰め寄る。

「リシャールさま。なぜ」
「ジゼ。君はわかっていない。俺の子をその身体に宿すことの重大さを」
「で、でも」
「俺はまだ覚悟が持てないんだ。だから……ごめん」

 そう言いながら、リシャルトは寝台横のテーブルに置かれていた瑠璃色硝子の水差しを口に含み、彼女へ口移しで飲ませていく。

「――っ?」

 リシャルトに口移しされて、ヒセラの目の前が真っ白になる。そして――……
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