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幕間 隠遁勇者の悲しき過去?!
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僕は今日も泣きながら家路につく。
いつものように、村の子たちに石を投げられ、追い回されたからである。
僕は他の子たちと明らかな違いがあった。あまりに人間らしくない身体能力と、大きすぎる魔力であった。だから、彼らは僕を明確な異物とみなした。そういった存在への行動はだいたい決まっている。
幼い頃の勇者「うう……」
お母さん「どうしたのロー、まさか、また虐められたの?」
幼い頃の勇者「お母さん、なんで僕はみんなと違うの?」
お母さん「ロー」
幼い頃の勇者「なんでみんなは、僕の事を嫌いなの?」
お母さんは、静かに僕に近づくと、僕を抱きしめて言った。
お母さん「それは……、多分、皆、怖いのよ」
幼い頃の勇者「怖い?」
お母さん「そうよ……、みんな、傷つく事が嫌いだから、余りに強い力を持つローに怯えているのね」
幼い頃の勇者「お母さん」
お母さん「相手を傷つければ、それが相手の憎しみになり、自分は結局傷つく事になる。そんな簡単な事がわからない、可哀想な人たちなの……。だから、貴方は彼らを許してあげなさい」
そのお母さんの言葉に、僕は小さく頷く。お母さんはそんな僕に向かって、優しい笑顔を向けて言った。
お母さん「でも、必要ならボコボコにして返り討ちにしてあげなさい」
幼い頃の勇者「え?」
お母さん「なんならお父さんの武器を使いなさい。アレならそこらのガキ程度、簡単に屠れるから」
幼い頃の勇者「いや、さすがにそれはやりすぎだよ! そこまでする事じゃないよ!」
お母さん「容赦はしちゃダメ、世の中には言ってもわからないバカはいるのよ!」
幼い頃の勇者「怖いから! 本気の目をするのはマジやめて!」
悲鳴をあげる僕にお母さんは、優しい笑顔を向けて言う。
お母さん「……なんて、ね。いい? ロー、その力は自分の為じゃなく、守りたい誰かの為にこそ使いなさい。貴方の力はきっと、こんな悲惨な世の中を正して、皆の希望そのものになる為に、神様から与えられたものなんだから」
僕はお母さんの笑顔を見て頷く。お母さんは満足そうに頭を撫でてくれた。
◆◇◆
その日も僕はお父さんから厳しい戦闘訓練を受ける。魔王軍の脅威に晒され続ける人類圏では当たり前の事である。
お父さんが武器を取り落として倒れる僕に向かって怒鳴った。
お父さん「ロー! 何をしている! 立ちなさい!」
幼い頃の勇者「うう……、痛いよお父さん」
お父さん「そんな事で、魔物たちに立ち向かえるか! 情けない言葉を吐く前に立ち上がって来なさい!」
お父さんはそこそこ名の知れた戦士である。その全てを僕に継承すべく、容赦の無い訓練を今日も続ける。幼い僕はそれが嫌だったが、お父さんは許してくれなかった。
幼い頃の勇者「もうヤダよ……。お父さん」
お父さん「弱音を吐くな! そんな事では俺のような戦士にはなれんぞ!」
幼い頃の勇者「嫌だよ、僕は戦士になんてなりたくなんて……」
その僕の嘆きを聞いて、怒りを露わにするお父さん。僕は怯えながら言った。
幼い頃の勇者「魔物が来れば逃げればいいし……、無理に戦う事に何の意味があるの?」
お父さん「この!」
お父さんは弱音を吐く僕に近づくと、怒り顔で僕の襟首を掴んだ。
お父さん「バカが! ロー! 何故戦わねばならんか、理解出来んのか!」
幼い頃の勇者「わからないよ!」
お父さん「幼いお前はまだ理解出来んかもしれんが……、それは」
怯えて泣く僕にお父さんは、怒気を込めた声で言い放った。
お父さん「ハーレムの為だ!」
幼い頃の勇者「……ハーレム?」
お父さん「今の時代、強ければそれだけで女にモテる! 母さんだってそうやってオトシたんだ!」
幼い頃の勇者「そうなの?」
お父さん「若い頃の俺は、何十人もの女を侍らせ、毎日ドスケベ極まりない性生活を営んでいたのだ!」
そのお父さんの最低な過去に僕は叫ぶ。
幼い頃の勇者「最低だよお父さん! そんな壮絶な過去聴きたくなかったよ!」
お父さん「いや、聞け! お前は子供だから知らんだろうが、アレは最高なんだ! 今からそこを目指す為の力をお前は持つべきなんだ!」
幼い頃の勇者「訳がわからないよ! 僕はそんな事の為に訓練を受けていたなんて、最悪だよ!」
お父さん「何を言うか! 貴様も思春期がくれば、この時の訓練を、俺に涙を流して感謝するぞ!」
――と、不意にお父さんの後ろにお母さんが立つ。何処から現れたのかは知らないが、いつもの優しい笑顔が、悪鬼になっていた。
お母さん「あ、な、た、初耳なんですが……。あの時、私以外の女性にも手を出していたのですか?」
お父さん「……ふ、何を言うか――。今も昔も、君一筋だとも――」
お母さん「……はあ、そこら辺の話しを詳しく聴きましょうか……」
お父さん「ははは……、待ちなさい。お母さん、愛しているのはお母さんだけだ……。あいたたた……」
お父さんはそうしてお母さんに引っ立てられて行った。それは僕の心に、確かな教訓を与えた。
幼い頃の勇者(お母さんには逆らっちゃダメだ……)
怯える僕の耳には、お父さんの悲痛な叫びが、いつまでも聞こえていた。
いつものように、村の子たちに石を投げられ、追い回されたからである。
僕は他の子たちと明らかな違いがあった。あまりに人間らしくない身体能力と、大きすぎる魔力であった。だから、彼らは僕を明確な異物とみなした。そういった存在への行動はだいたい決まっている。
幼い頃の勇者「うう……」
お母さん「どうしたのロー、まさか、また虐められたの?」
幼い頃の勇者「お母さん、なんで僕はみんなと違うの?」
お母さん「ロー」
幼い頃の勇者「なんでみんなは、僕の事を嫌いなの?」
お母さんは、静かに僕に近づくと、僕を抱きしめて言った。
お母さん「それは……、多分、皆、怖いのよ」
幼い頃の勇者「怖い?」
お母さん「そうよ……、みんな、傷つく事が嫌いだから、余りに強い力を持つローに怯えているのね」
幼い頃の勇者「お母さん」
お母さん「相手を傷つければ、それが相手の憎しみになり、自分は結局傷つく事になる。そんな簡単な事がわからない、可哀想な人たちなの……。だから、貴方は彼らを許してあげなさい」
そのお母さんの言葉に、僕は小さく頷く。お母さんはそんな僕に向かって、優しい笑顔を向けて言った。
お母さん「でも、必要ならボコボコにして返り討ちにしてあげなさい」
幼い頃の勇者「え?」
お母さん「なんならお父さんの武器を使いなさい。アレならそこらのガキ程度、簡単に屠れるから」
幼い頃の勇者「いや、さすがにそれはやりすぎだよ! そこまでする事じゃないよ!」
お母さん「容赦はしちゃダメ、世の中には言ってもわからないバカはいるのよ!」
幼い頃の勇者「怖いから! 本気の目をするのはマジやめて!」
悲鳴をあげる僕にお母さんは、優しい笑顔を向けて言う。
お母さん「……なんて、ね。いい? ロー、その力は自分の為じゃなく、守りたい誰かの為にこそ使いなさい。貴方の力はきっと、こんな悲惨な世の中を正して、皆の希望そのものになる為に、神様から与えられたものなんだから」
僕はお母さんの笑顔を見て頷く。お母さんは満足そうに頭を撫でてくれた。
◆◇◆
その日も僕はお父さんから厳しい戦闘訓練を受ける。魔王軍の脅威に晒され続ける人類圏では当たり前の事である。
お父さんが武器を取り落として倒れる僕に向かって怒鳴った。
お父さん「ロー! 何をしている! 立ちなさい!」
幼い頃の勇者「うう……、痛いよお父さん」
お父さん「そんな事で、魔物たちに立ち向かえるか! 情けない言葉を吐く前に立ち上がって来なさい!」
お父さんはそこそこ名の知れた戦士である。その全てを僕に継承すべく、容赦の無い訓練を今日も続ける。幼い僕はそれが嫌だったが、お父さんは許してくれなかった。
幼い頃の勇者「もうヤダよ……。お父さん」
お父さん「弱音を吐くな! そんな事では俺のような戦士にはなれんぞ!」
幼い頃の勇者「嫌だよ、僕は戦士になんてなりたくなんて……」
その僕の嘆きを聞いて、怒りを露わにするお父さん。僕は怯えながら言った。
幼い頃の勇者「魔物が来れば逃げればいいし……、無理に戦う事に何の意味があるの?」
お父さん「この!」
お父さんは弱音を吐く僕に近づくと、怒り顔で僕の襟首を掴んだ。
お父さん「バカが! ロー! 何故戦わねばならんか、理解出来んのか!」
幼い頃の勇者「わからないよ!」
お父さん「幼いお前はまだ理解出来んかもしれんが……、それは」
怯えて泣く僕にお父さんは、怒気を込めた声で言い放った。
お父さん「ハーレムの為だ!」
幼い頃の勇者「……ハーレム?」
お父さん「今の時代、強ければそれだけで女にモテる! 母さんだってそうやってオトシたんだ!」
幼い頃の勇者「そうなの?」
お父さん「若い頃の俺は、何十人もの女を侍らせ、毎日ドスケベ極まりない性生活を営んでいたのだ!」
そのお父さんの最低な過去に僕は叫ぶ。
幼い頃の勇者「最低だよお父さん! そんな壮絶な過去聴きたくなかったよ!」
お父さん「いや、聞け! お前は子供だから知らんだろうが、アレは最高なんだ! 今からそこを目指す為の力をお前は持つべきなんだ!」
幼い頃の勇者「訳がわからないよ! 僕はそんな事の為に訓練を受けていたなんて、最悪だよ!」
お父さん「何を言うか! 貴様も思春期がくれば、この時の訓練を、俺に涙を流して感謝するぞ!」
――と、不意にお父さんの後ろにお母さんが立つ。何処から現れたのかは知らないが、いつもの優しい笑顔が、悪鬼になっていた。
お母さん「あ、な、た、初耳なんですが……。あの時、私以外の女性にも手を出していたのですか?」
お父さん「……ふ、何を言うか――。今も昔も、君一筋だとも――」
お母さん「……はあ、そこら辺の話しを詳しく聴きましょうか……」
お父さん「ははは……、待ちなさい。お母さん、愛しているのはお母さんだけだ……。あいたたた……」
お父さんはそうしてお母さんに引っ立てられて行った。それは僕の心に、確かな教訓を与えた。
幼い頃の勇者(お母さんには逆らっちゃダメだ……)
怯える僕の耳には、お父さんの悲痛な叫びが、いつまでも聞こえていた。
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