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第十九話 怪盗奔る!
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いつからだろう――、お月様に手が届くような気分になったのは。
今日も私は月夜を走る――。
悪しき者の手に落ちたお宝を正しい者達の手へと返す――、
それが私怪盗ラビットフットの仕事である――。
マネージャーの話では、今日のお宝は一個のUSBメモリ――、
悪しき政治家――、裏で悪行を繰り返す本田 忠則の不正取引のすべてを記録したものを、その事務所から奪い返すこと――、だ。
そのUSBメモリは――、もともとは、かの政治家の秘書がひそかに記録していたものを、とあるフリーライターに渡したものであり――、
最近、そのフリーライターは謎の不審死を遂げており――、そのUSBメモリも行方知れずになっていたのだという――。
――それが、その政治家のもとにある。
それはまさしく、この本田忠則がフリーライターの死に関係している証拠である。
悪は私が許さない――、私はそのUSBメモリをかの政治家の事務所から至極簡単に盗み出した。
――それこそ私の得た能力――、
私がちょーのうりょくと呼んでいるもののおかげであった。
今から数か月前、平凡――とは言えないが、あくまでも人間の範囲の収まっていた私の身体能力は、心に力を籠めることによって人を越えるレベルにまで上昇させることが可能になった。
なぜそんな能力が得られたのかは私にはわからない。――でも私は、手に入れたからには有効活用すべきだと考えた。
――それで始めたのが、ちょーのうりょくを使った義賊――怪盗ラビットフットだった。
弱きを助け悪しきをくじく正義の怪盗! マネージャーを巻きこんで始めた怪盗稼業!
――今まさに私は月下のビル群を足場にして、幾度も跳躍しつつ夜空を駆けていく。
「……これでまた、悪人が一人滅びる!」
私は心を高揚させつつ市街地へと入っていった。
――と、ふと夜空を飛翔する私を追跡するものがいることに気付いた。
私は何事かと足元に視線を向ける。――すると、月下の市街地を、おかしな奇声をあげながら走る変態がいた――。
◆◇◆◇◆
「あ~~~俺としたことが、学校の仕事で遅くなるとは……」
俺はその日、風紀委員長である香澄の、書類整理に付き合って夜遅い帰宅になっていた。
女の子の夜道の一人歩きは危険だから――、香澄を家まで送ったからこそここまで遅くなったのだが。
放課後、すぐに帰ってしまった薄情なかなめは、すでに家で夕飯の真っ最中だろうか?
そんなことを思いながら俺は、自分の家上座家の玄関までやってきていた。
――不意に月明かりを遮る存在が空を走った。
俺がそれに気づいて空を見上げると――、
「おっぱい?!」
――巨乳だ!!!!!
それも――なんとバニーさんだ!!!!!!
空を駆けるは、バニースーツに身を包んだ巨乳の女の子!!!!!!
おそらくは推定Gカップ!!!! ――俺の目に狂いはない!!!!
「……おっぱい!!!!!」
俺は即座にその巨乳をロックオンした――。
そして――、
「巨乳ロックオン!!!!!!! 推定バニーの美少女!!!!! 俺様の全肉体機能限定解除!!!!!!」
――その時、その不審な叫びを耳にしたかなめが、屋敷の窓から顔をのぞかせる。
「司郎? こんな夜中に何を……」
「おぱああああああああああああああああい!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「……」
俺は気合の声をあげながら高速で月下を駆ける。
かなめはそれを見送って――、ただ一言ため息をついた。
◆◇◆◇◆
変態だ――、まさしく変態だ――、外見的には普通の男子高校生に見えるが、変な奇声をあげつつ走る姿はまさしく変態そのものだった。
「おぱああああああああああい!!!!!!!!」
「ひ」
さすがに引いた私は空を駆けるスピードを上げる。しかし――、
「ははははははは!!!!! 無駄だ!!!!! バニーさん!!!!!!!」
その変態もすさまじいスピードで追跡してくる。
「うわ……なに?!! こわっていうかキモ!!!!!!!!」
ちょーのうりょくで強化しているはずの私に、容易に追いついてくるその変態。
さすがの私も怖くなって、自分の出来る全速によって月下を走り抜けた。
「……!!!!!! おお!!!!! おっぱいが!!!!!!! おっぱいさまが!!!!!! 思いっきり揺れていらしゃる!!!!!!」
そんな言葉を発しつつ私のスピードに追い付けずにおいていかれる変態。
――世の中というのは、自分の考えているよりも広い――、
このような変態が実在しているという事を、その夜の私はしっかり心に刻みつけた。
◆◇◆◇◆
「く!!!!! なんて早いおっぱいだ!!!!!! これほどとは!!!!!」
さすがの俺も息も絶え絶えでその場に突っ伏す。
「くそ……、せっかくのおっぱいを……。それも……」
俺はその時確かに確信していた――。彼女のマスクに隠された素顔は――、
「確実に美少女!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺は無論諦めない!!! 鼻をひくつかせてさらなる追跡を開始したのである。
◆◇◆◇◆
町はずれの空き地に私は静かに降り立つ。
変態は追いついてくる気配がない。――よかった。
「ラビットフット!!」
――不意に、私に女性の声が届く。
私は笑顔でそっちに振り返った。
「よかった……、今日も無事ね?」
「うん! マネージャー!!」
「それで? USBメモリは?」
「ここにあるよ!」
私はマネージャーのもとへと歩いていくと、その手にUSBメモリを渡した。
マネージャーはそれを手にして嬉しそうに笑った。
「これは……、これであの悪徳政治家の不正を暴くことが出来るわ」
「うん!!!」
マネージャーのその笑顔に、私も笑顔を返す。
「いやあ……本当にやってくれるとは……」
不意にマネージャーの背後から声が聞こえてきた。
――それは聞いたことのない男の声。
「あ……浜田さん」
「え?」
男の声のする方に目を向けると、そこに二人の男が立っていた。
一人はどこかで見たことのある恰幅の良いおじさん。
もう一人は眼鏡をかけた目の鋭い男。
「マネージャー? その人たちは?」
「あ……、この人たちは今回の依頼者である、浜田代議士とその秘書様よ」
「浜田?」
そう言えばそんな人をテレビで見たことあるような――。私はそう考えつつ首をひねる。
普通、怪盗の仕事をした時、その依頼者を現場に連れてくることはないはずだが?
「マネージャー?」
私がそう言葉を発したとき、――小さく炸裂音が鳴った。
「う……?」
その時、何が起こったのか、初めは理解できなかった。
「おい……そのUSBメモリを持ってこい」
「はい」
その手に拳銃を握った秘書に、浜田というおじさんが命令を下している。
――え? 拳銃?
そう――、たった今、目前でマネージャーが拳銃で撃たれたのである。
マネージャーは腹を押さえ、呻きながらその場に突っ伏している。
「なんで?!」
「ふふ……、有難いな怪盗ラビットフット……とかいうバカ女」
「……!」
「これで俺の政治生命が終わることはなくなる」
「まさか?!」
その時になってやっと私は気づいた。
そのUSBメモリに記録されているのは――。
「もしかして……騙された?!」
「そうだよお嬢さん……。このUSBメモリの中身は、本田の不正ではなく……俺の、だ」
「う? それじゃあ!」
「あのフリーライターめ……、こともあろうに生真面目な本田なんかにこれを渡しおって……、あのままだったら俺はお終いだった」
「マネージャー……」
出血で朦朧として、ぐったりしているマネージャーを私は抱きしめる。
そのマネージャーはかすかな声で言った。
「ご……めん……なさい。まさか……こんな」
どうやら私たちは、どこまで行っても犯罪に関しては素人だったらしい。
目の前の本当の悪に騙されて――、その悪の手先にされてしまった。
マネージャーを巻き込んでしまったことに、――いまさらながら後悔した。
「おい……そいつらの口を封じろ」
浜田は人とは思えない表情で秘書に命令する。――私に銃口が向けられた。
ここで私の人生は終わるのか? ――そう覚悟を決めたその時、
「おっぱい様に何やってんだ? ドクズども……」
不意にそんな声が聞こえてくる。――それは、
「なんだ?!」
浜田がいきなりの事にうろたえる。
――不意に拳銃を手にした秘書が吹き飛んでその場に倒れた。
「そんな物騒なもん、おっぱい様に向けるんじゃねえカス」
声のする方に私が振り向くと――そこに、さっきの変態さんがいた。
「変態さん?」
「うん? いきなり罵倒から入るって言うのはどうかと思うよおっぱい様……」
「貴方に言われたくない」
「うん君のいうコトは全くもって正しい……」
その変態さんは笑顔を私に向けてそう言った。
その時に至って――私はその変態さんに、命を助けてもらったのだと自覚した。
◆◇◆◇◆
あれからもはや一か月は経っただろうか? 私は綺麗に怪盗稼業から足を洗っていた――。
私はあの事件をきっかけにして、素人が安易に首を突っ込んではいけない世界があることを知り、いつもの生活に戻った。
マネージャーも幸いケガが軽く済み――、そしてあの浜田は警察に捕まることになった。
不思議なことに、私たちの事は深く追及されることはなかった。
もしかして、あの変態さんがいろいろ手をまわしてくれたのかもしれない――、私はそう考えていた。
あの事件の夜、私はあの変態さんと話をしていた。
自分にちょーのーりょくがあって、それで怪盗をしていたこと――。
彼は全く疑うことなく、そのことを受け入れてくれた。そして、同時に彼自身の秘密も語ってくれた。
命がけの試練――、ハーレムマスター契約。
それは不思議で、面白くて、時に少し怖いお話――。
そして、私のちょーのーりょくが異能と呼ばれるものであるという事――。
この世の中にはまだわからないことがたくさんある――、それを知った私は――、
「今日は、うちのクラスへの転校生を紹介する」
天城高校の、そのクラス担任がそう言って私の方を向く。
私はその教室の一角で、驚愕の表情を向けている変態さんに、視線を送りつつハッキリと言ったのである。
「そこにいる司郎君の……、ハーレム要員、八番目!!!!!! 姫谷アリスです!!!!」
その私の宣言に――そのクラスの全員の悲鳴が上がった。
<美少女名鑑その8>
名前:姫谷 アリス(ひめたに ありす)
年齢:17歳(生年月日:4月9日 おひつじ座)
血液型:B型
身長:150cm 体重:49kg
B:87(G) W:53 H:81
外見:青みがかった黒髪の爆乳猫娘(注:妖怪ではないw)。
性格:きわめて人懐っこく、考えるよりも先に行動するタイプ。
その点でいえば司郎に極めて似ている”馬鹿”である(ただしエッチ関係には疎い)。
運動神経がきわめてよく、その運動能力はかなめを遥かに超え、それを利用してよく仕事から逃亡を図る。
今日も私は月夜を走る――。
悪しき者の手に落ちたお宝を正しい者達の手へと返す――、
それが私怪盗ラビットフットの仕事である――。
マネージャーの話では、今日のお宝は一個のUSBメモリ――、
悪しき政治家――、裏で悪行を繰り返す本田 忠則の不正取引のすべてを記録したものを、その事務所から奪い返すこと――、だ。
そのUSBメモリは――、もともとは、かの政治家の秘書がひそかに記録していたものを、とあるフリーライターに渡したものであり――、
最近、そのフリーライターは謎の不審死を遂げており――、そのUSBメモリも行方知れずになっていたのだという――。
――それが、その政治家のもとにある。
それはまさしく、この本田忠則がフリーライターの死に関係している証拠である。
悪は私が許さない――、私はそのUSBメモリをかの政治家の事務所から至極簡単に盗み出した。
――それこそ私の得た能力――、
私がちょーのうりょくと呼んでいるもののおかげであった。
今から数か月前、平凡――とは言えないが、あくまでも人間の範囲の収まっていた私の身体能力は、心に力を籠めることによって人を越えるレベルにまで上昇させることが可能になった。
なぜそんな能力が得られたのかは私にはわからない。――でも私は、手に入れたからには有効活用すべきだと考えた。
――それで始めたのが、ちょーのうりょくを使った義賊――怪盗ラビットフットだった。
弱きを助け悪しきをくじく正義の怪盗! マネージャーを巻きこんで始めた怪盗稼業!
――今まさに私は月下のビル群を足場にして、幾度も跳躍しつつ夜空を駆けていく。
「……これでまた、悪人が一人滅びる!」
私は心を高揚させつつ市街地へと入っていった。
――と、ふと夜空を飛翔する私を追跡するものがいることに気付いた。
私は何事かと足元に視線を向ける。――すると、月下の市街地を、おかしな奇声をあげながら走る変態がいた――。
◆◇◆◇◆
「あ~~~俺としたことが、学校の仕事で遅くなるとは……」
俺はその日、風紀委員長である香澄の、書類整理に付き合って夜遅い帰宅になっていた。
女の子の夜道の一人歩きは危険だから――、香澄を家まで送ったからこそここまで遅くなったのだが。
放課後、すぐに帰ってしまった薄情なかなめは、すでに家で夕飯の真っ最中だろうか?
そんなことを思いながら俺は、自分の家上座家の玄関までやってきていた。
――不意に月明かりを遮る存在が空を走った。
俺がそれに気づいて空を見上げると――、
「おっぱい?!」
――巨乳だ!!!!!
それも――なんとバニーさんだ!!!!!!
空を駆けるは、バニースーツに身を包んだ巨乳の女の子!!!!!!
おそらくは推定Gカップ!!!! ――俺の目に狂いはない!!!!
「……おっぱい!!!!!」
俺は即座にその巨乳をロックオンした――。
そして――、
「巨乳ロックオン!!!!!!! 推定バニーの美少女!!!!! 俺様の全肉体機能限定解除!!!!!!」
――その時、その不審な叫びを耳にしたかなめが、屋敷の窓から顔をのぞかせる。
「司郎? こんな夜中に何を……」
「おぱああああああああああああああああい!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「……」
俺は気合の声をあげながら高速で月下を駆ける。
かなめはそれを見送って――、ただ一言ため息をついた。
◆◇◆◇◆
変態だ――、まさしく変態だ――、外見的には普通の男子高校生に見えるが、変な奇声をあげつつ走る姿はまさしく変態そのものだった。
「おぱああああああああああい!!!!!!!!」
「ひ」
さすがに引いた私は空を駆けるスピードを上げる。しかし――、
「ははははははは!!!!! 無駄だ!!!!! バニーさん!!!!!!!」
その変態もすさまじいスピードで追跡してくる。
「うわ……なに?!! こわっていうかキモ!!!!!!!!」
ちょーのうりょくで強化しているはずの私に、容易に追いついてくるその変態。
さすがの私も怖くなって、自分の出来る全速によって月下を走り抜けた。
「……!!!!!! おお!!!!! おっぱいが!!!!!!! おっぱいさまが!!!!!! 思いっきり揺れていらしゃる!!!!!!」
そんな言葉を発しつつ私のスピードに追い付けずにおいていかれる変態。
――世の中というのは、自分の考えているよりも広い――、
このような変態が実在しているという事を、その夜の私はしっかり心に刻みつけた。
◆◇◆◇◆
「く!!!!! なんて早いおっぱいだ!!!!!! これほどとは!!!!!」
さすがの俺も息も絶え絶えでその場に突っ伏す。
「くそ……、せっかくのおっぱいを……。それも……」
俺はその時確かに確信していた――。彼女のマスクに隠された素顔は――、
「確実に美少女!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺は無論諦めない!!! 鼻をひくつかせてさらなる追跡を開始したのである。
◆◇◆◇◆
町はずれの空き地に私は静かに降り立つ。
変態は追いついてくる気配がない。――よかった。
「ラビットフット!!」
――不意に、私に女性の声が届く。
私は笑顔でそっちに振り返った。
「よかった……、今日も無事ね?」
「うん! マネージャー!!」
「それで? USBメモリは?」
「ここにあるよ!」
私はマネージャーのもとへと歩いていくと、その手にUSBメモリを渡した。
マネージャーはそれを手にして嬉しそうに笑った。
「これは……、これであの悪徳政治家の不正を暴くことが出来るわ」
「うん!!!」
マネージャーのその笑顔に、私も笑顔を返す。
「いやあ……本当にやってくれるとは……」
不意にマネージャーの背後から声が聞こえてきた。
――それは聞いたことのない男の声。
「あ……浜田さん」
「え?」
男の声のする方に目を向けると、そこに二人の男が立っていた。
一人はどこかで見たことのある恰幅の良いおじさん。
もう一人は眼鏡をかけた目の鋭い男。
「マネージャー? その人たちは?」
「あ……、この人たちは今回の依頼者である、浜田代議士とその秘書様よ」
「浜田?」
そう言えばそんな人をテレビで見たことあるような――。私はそう考えつつ首をひねる。
普通、怪盗の仕事をした時、その依頼者を現場に連れてくることはないはずだが?
「マネージャー?」
私がそう言葉を発したとき、――小さく炸裂音が鳴った。
「う……?」
その時、何が起こったのか、初めは理解できなかった。
「おい……そのUSBメモリを持ってこい」
「はい」
その手に拳銃を握った秘書に、浜田というおじさんが命令を下している。
――え? 拳銃?
そう――、たった今、目前でマネージャーが拳銃で撃たれたのである。
マネージャーは腹を押さえ、呻きながらその場に突っ伏している。
「なんで?!」
「ふふ……、有難いな怪盗ラビットフット……とかいうバカ女」
「……!」
「これで俺の政治生命が終わることはなくなる」
「まさか?!」
その時になってやっと私は気づいた。
そのUSBメモリに記録されているのは――。
「もしかして……騙された?!」
「そうだよお嬢さん……。このUSBメモリの中身は、本田の不正ではなく……俺の、だ」
「う? それじゃあ!」
「あのフリーライターめ……、こともあろうに生真面目な本田なんかにこれを渡しおって……、あのままだったら俺はお終いだった」
「マネージャー……」
出血で朦朧として、ぐったりしているマネージャーを私は抱きしめる。
そのマネージャーはかすかな声で言った。
「ご……めん……なさい。まさか……こんな」
どうやら私たちは、どこまで行っても犯罪に関しては素人だったらしい。
目の前の本当の悪に騙されて――、その悪の手先にされてしまった。
マネージャーを巻き込んでしまったことに、――いまさらながら後悔した。
「おい……そいつらの口を封じろ」
浜田は人とは思えない表情で秘書に命令する。――私に銃口が向けられた。
ここで私の人生は終わるのか? ――そう覚悟を決めたその時、
「おっぱい様に何やってんだ? ドクズども……」
不意にそんな声が聞こえてくる。――それは、
「なんだ?!」
浜田がいきなりの事にうろたえる。
――不意に拳銃を手にした秘書が吹き飛んでその場に倒れた。
「そんな物騒なもん、おっぱい様に向けるんじゃねえカス」
声のする方に私が振り向くと――そこに、さっきの変態さんがいた。
「変態さん?」
「うん? いきなり罵倒から入るって言うのはどうかと思うよおっぱい様……」
「貴方に言われたくない」
「うん君のいうコトは全くもって正しい……」
その変態さんは笑顔を私に向けてそう言った。
その時に至って――私はその変態さんに、命を助けてもらったのだと自覚した。
◆◇◆◇◆
あれからもはや一か月は経っただろうか? 私は綺麗に怪盗稼業から足を洗っていた――。
私はあの事件をきっかけにして、素人が安易に首を突っ込んではいけない世界があることを知り、いつもの生活に戻った。
マネージャーも幸いケガが軽く済み――、そしてあの浜田は警察に捕まることになった。
不思議なことに、私たちの事は深く追及されることはなかった。
もしかして、あの変態さんがいろいろ手をまわしてくれたのかもしれない――、私はそう考えていた。
あの事件の夜、私はあの変態さんと話をしていた。
自分にちょーのーりょくがあって、それで怪盗をしていたこと――。
彼は全く疑うことなく、そのことを受け入れてくれた。そして、同時に彼自身の秘密も語ってくれた。
命がけの試練――、ハーレムマスター契約。
それは不思議で、面白くて、時に少し怖いお話――。
そして、私のちょーのーりょくが異能と呼ばれるものであるという事――。
この世の中にはまだわからないことがたくさんある――、それを知った私は――、
「今日は、うちのクラスへの転校生を紹介する」
天城高校の、そのクラス担任がそう言って私の方を向く。
私はその教室の一角で、驚愕の表情を向けている変態さんに、視線を送りつつハッキリと言ったのである。
「そこにいる司郎君の……、ハーレム要員、八番目!!!!!! 姫谷アリスです!!!!」
その私の宣言に――そのクラスの全員の悲鳴が上がった。
<美少女名鑑その8>
名前:姫谷 アリス(ひめたに ありす)
年齢:17歳(生年月日:4月9日 おひつじ座)
血液型:B型
身長:150cm 体重:49kg
B:87(G) W:53 H:81
外見:青みがかった黒髪の爆乳猫娘(注:妖怪ではないw)。
性格:きわめて人懐っこく、考えるよりも先に行動するタイプ。
その点でいえば司郎に極めて似ている”馬鹿”である(ただしエッチ関係には疎い)。
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