11 Girl's Trials~幼馴染の美少女と共に目指すハーレム!~

武無由乃

文字の大きさ
29 / 43

第二十五話 天城市に集う影の組織?!

しおりを挟む
 司郎達が、室内プールで遊んでいたその日の夜、天城市を一人の少女が訪れていた。長い銀髪が特徴的なその少女は、赤い瞳を薄く光らせながら、人気のない公園の中心に立って、天城市の夜空を仰ぎ見ていた。

「……なるほど。この天城市には、いまだ妙な……そして、強力極まりない術式が展開しておるようじゃの……」

 彼女は超視覚より得られる情報から、そう結論して頷く。光っていた瞳の光が消える。

「だとすると……、直接原因だと思われる場所を、見て回らねばならぬな。面倒ではあるが仕方ないか。……まあ……」

 とりあえず、今日のところはこれくらいにすべきか――と、彼女は考える。明日はいよいよ、宿星の見える天城高等学校へ、直接乗り込んで行く事になるのだから。

「……果たして、わしを待つモノはなに者なのか? 未来検索では、我が運命を覆しかねぬモノだ、と出ていたが……」

 その未来を断片的に見てもなお、彼女は恐れるそぶりを見せることはない。それだけ、自身の能力に自信がある事の証左であった。

 ――月明かりの下、美しい少女は軽くため息をつく。なるべくなら、調査は急ぐべきなのだが、無理に急げは解明される問題でもない事は予測出来る。
 なにより、その原因の中心にいるのが、明らかに意思を持つ何者かなのは予想の範囲内で、下手を打てばこちらに危害が及ぶ可能性もあるのだ。
 例の組織、長年敵対してきたあの組織も、この天城市ですでに動いているであろう。――慎重に、そして素早く、奴らを出し抜く必要があるだろう。

「……まあ、面倒臭い話しではあるな……」

 実のところ、彼女の心には、例の組織への敵対心はほぼ存在しない。上役に言われるなら、敵対せざるを得ないだけである。――はっきり言って、戦いが起こらないなら、それに越した事はないのだ。
 そんな彼女は、実際自身の組織である蘆屋一族では少数派に属しており――、一応組織の後継者候補の一人ではあるものの、他の後継者候補の後ろに常に立つ状態にある。
 今回の件は、組織の後継者を目指すなら、一応チャンスではある。でも――、
 
「……ふう」

 彼女はもう幾度かのため息をつく――。
 いまいちその気になれないのは、彼女の性格ゆえか、あるいはあの組織と敵対する可能性があるからなのか。
 彼女がこのような考えにあるのには明確な理由がある。――彼女はかつてを思い出す。

「……なあ、それじゃ、ウチらはライバルになるっす」
「ライバルじゃと?」
「そうっすよ……。そうしてお互いを高め合えば、きっと、ウチらは……」

 それは幼い頃の大切な思い出。――それは今も彼女の心にある。

 播磨法師陰陽師衆、蘆屋一族、その平安時代からの怨敵にして、日本の異能の世界を二分するライバル。日本政府直属の呪術機関たる、その影の二組織の暗闘が天城市で始まろうとしていた。

 
 ◆◇◆◇◆

 
 翌日、月曜日の天城高等学校の朝礼の時、俺達のクラスに新たな転校生がやって来ていた。ここ最近、天城高等学校から去っていく生徒も多いが、逆にやってくる生徒もかなり多い。それは現理事長の意向によるものなのか? 俺にとってはわからない話しではあるが。
 俺の近くの席のかなめが言う。

「あれ……、なかなかに妙な雰囲気を持ってる娘ね」
「まあ……な」

 かなめの言葉に曖昧な返事を返す俺。
 それもそのはず――、なんかその少女、蘆屋涼音さんが、俺の事を怖いくらいの目で睨んでいるからだ。なんか俺、彼女にしたかな? ――っと思っても、相手は今日、今始めて見た転校生なのだ。当然、なんもした覚えはない。
 ――まあ、相手は美少女なんで、これからやる可能性はあるが。

「それじゃ……、蘆屋さんの席は……、上座の後ろが空いていたな……」

 教師のその言葉に俺は心の中で確信を得る。
 ――うん、なんか妙な事になりかけてる?
 まさかとは思うが、彼女が試練の女の子なのかな?

 そんな事を考えつつ、彼女が俺の横を通り過ぎて行くのを、なんともなしに眺めていた。その時――、

「おい……、貴様、放課後……校舎裏へ来い」
「……?!」

 それは俺だけに聞こえるほどの小さな呟き。
 なんか俺――、校舎裏にお呼ばれしたんだが?
 ――彼女は古き良き時代の不良かなんかですか?
 なんかいきなりの展開に俺は混乱するしかなかった。

 
 ◆◇◆◇◆


 未来検索はかなり正確に目標を捉えていたらしい。
 わしが天城高等学校に転校したその日、そのクラスで、目的の人物らしい存在を目にしたのだ。
 彼の名は、上座司郎と言うらしい。学校でもそこそこ有名な人物らしいが、まあわしにはどうでもいい話しだ。――ただ彼が纏っている術式こそが重要なのだから。
 下手をすれば戦いになるやもしれん。まあ日があるうちは、なるべくそうならぬよう努めて行動はするが。
 わしはそう考えつつ、自らの持つ呪符や呪物を確認して放課後に備えた。

 
 ◆◇◆◇◆
 

「……で? なんで皆ついて来ちゃったの?」
「司郎……あんたみたいな馬鹿が、わたし達に隠し事なんが無理だって、あんた自身がよく知ってるでしょ?」
「……うん、まあ。でも相手は謎の転校生で、推定古き良き時代の不良少女だぞ? 危ないって……」

 俺の言葉にかなめが苦笑いする。

「それなら……、どっちかって言うと、相手の方が危ないわね……。下手な不良じゃあんたの相手にはならないだろうし……」
「俺は別に乱暴な事する気はないが……」

 ――まあ、相手がして来たなら応戦はせざるを得ない。なるべく手加減はするつもりだが。
 俺がそうして、女の子達を引き連れながら校舎裏へとやってくると、そこに彼女がいた。

「ふむ……、一人で来るかと予想したが……、どうやら我が意図に気づいたらしいな……」

 蘆屋さんはそう言って俺を鋭く睨む。
 ――やっぱり、意図って言うのは、そう言う事なのだろう。

「蘆屋さん!」

 俺は真剣な表情で彼女を見つめる。

「ん? 何か申し開きでもあるか?」

 彼女はそう言って懐に手を入れる。――まさか武器でも隠し持っているのか?!

「落ち着いて聞いてくれ!」
「ふむ?」
「君がどんな目的を持って、この学校に来たかは知らない! ……そして、君がその道で(不良)どれほどの実力者なのかも俺にはわからん!」
「ほう……、我が目的はしらぬと? だが、わしが何者かは、ある程度は察している?」
「そうだ! だからまずは話し合いから始めよう」
「ほう……、むやみに暴力に訴えようとしない所は評価できるな……」
「そうだね……暴力はいけないことだよ(たとえ君が不良であっても)」

 とりあえず彼女はいきなり暴力に訴える気はないらしい。良い不良さん(?)でよかった――。
 とりあえず俺は、彼女の誤解を解かねばならないと考えた。
 おそらく、いきなり俺を校舎裏に呼び出した理由は――。

「俺は……この学校の番長じゃないんだ!!」
「ん?」
「君は……俺の事を番長格だと思ってるかもしれないが! 俺はただの一生徒であって……」
「……何を訳の分からぬことを? ふむ……、会話を混乱させてこちらの出方を読む腹か?」
「……蘆屋さん!! 落ち着いてほしい……、たとえ不良であっても、一般の生徒に手を上げるのはいかがなものかと……」
「……」

 俺のその言葉に、蘆屋さんの目が薄く鋭く変わる。

「……ふむ。どうやら、まともな話はするつもりないと?」
「え?」

 その彼女の怒気の入った言葉にさすがにたじろぐ俺。
 ――なんかまずいこと言っちゃったらしい。

「……とりあえず。わしの言いたいことはこうじゃ……」
「?」
「お前の周囲……、そして背後にいる女ども……、そこに展開されている術式は、天城市にしばらく展開されていた異能の天蓋……、そしてと、全く同じ系統であることは明白……」

 彼女はとっても冷たい目で俺に宣告する。

「直ちに……展開中の術式を解き……、我が蘆屋の軍門に下るがよい……。そうでなければ……、力ずくで貴様らをする……」

 ……、その言葉の意味とは裏腹の、怒気の籠った言葉を彼女は俺に発したのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。

『俺アレルギー』の抗体は、俺のことが好きな人にしか現れない?学園のアイドルから、幼馴染までノーマスク。その意味を俺は知らない

七星点灯
青春
 雨宮優(あまみや ゆう)は、世界でたった一つしかない奇病、『俺アレルギー』の根源となってしまった。  彼の周りにいる人間は、花粉症の様な症状に見舞われ、マスク無しではまともに会話できない。  しかし、マスクをつけずに彼とラクラク会話ができる女の子達がいる。幼馴染、クラスメイトのギャル、先輩などなど……。 彼女達はそう、彼のことが好きすぎて、身体が勝手に『俺アレルギー』の抗体を作ってしまったのだ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

処理中です...