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九話 最後の砦
しおりを挟む三神が帰った時、すでに時刻は転送間近となっていた。今日は碓氷は来ない。クラスメイト達は武田のことが頭いっぱいでそれどころじゃなかったのだろう。
本気で心配する者、これからの支配をどうするか考える者、勝ち組に上がるために悩む者、復讐に燃える者……。
そりゃそうだ。家畜をいじめてる暇なんてないな。今日は。
俺は心臓をバクバクさせながら転送の時を待つ。これほど一分という時間が長く感じたのはあっただろうか。たしかに虐めの時も長かったが、こっちの胸の高ぶりは半端じゃない。
奴の記憶から全てが消え去る、スキルが二つも奪えた、これでやっとスキルが増えたとルエルにも自慢できる、それにステータスも見せて驚かせられる、奴を手に入れられる、奴をやっと俺の思い通りに遊べる……。
そんなことを考えていたら笑いも溢れてしまう。バレない程度に。面白くて面白くてたまらない。あいつの苦悩が浮かぶ。それだけで幸せな気持ちになれる。
そしてついに、その瞬間はやってくる。
『スキルの発動により、武田 正俊の魔力、スキル、記憶。松川 昴のスキルを手に入れました。今すぐ実装しますか?』
「イェース!!!!」
次の瞬間、体に忽ち力が入ってくる、と同時に膨大な武田の記憶までもが俺の頭には送り込まれる。少し頭痛はするが全て送り込まれると痛みは治まった。ステータスを開き確認する。
齋藤 誠 (男)
十七歳 人間族
体力 10150
魔力 840
剣術 lv1
魔術 lv1
称号 家畜以下の存在 スキル復讐者を獲得
復讐者の逆襲 スキル復讐者のスキルレベルの上昇ペースアップ
スキル
復讐者 lv4
一日に一回。最初に触ったものの持ち物・能力・命などをレベルに応じて一つ奪うことが出来る。このスキルを人に言った場合、その人からは何も奪えなくなる。
・最初に触れた人の何が欲しいかを念じる。日付が変わる十分前には奪ったものを手に入れられる。
・レベルに応じないものは奪えない。
・モノを奪った場合はその持ち物をどのように手に入れたかなどの記憶も同時に転送される。
・奪われた本人・このスキルを知らない者には本人の風貌がどれだけ変わろうとも気づかれない。
lv4……一日に4個。モノは武器以外ならなんでも奪える。能力を少し多めに奪うことが可能。体力や魔力は使用者の上限値が上昇し、奪われた方は上限値が減少する。体力・魔力は0になるまでは奪えず、最低10は残るものとする。スキルレベルが2以下なら奪える。
無音の殺戮者 lv2
・レベルに応じて一定範囲を無音空間にできる。自身、自身の味方には音が聞こえる。
lv2……自身から四メートル四方を無音空間とする。
体力に比例する強大な力 lv2
体力の数値に比例して武術レベルが高くなる。
lv2……体力の値の2%が武術レベルとなる。
ーーーーー
よっしゃぁぁぁぁあああ!!!!
松川のスキルも武田のスキルも吸収完了!あと魔力も800奪えた!!あいつの絶望してる顔が見えるよ!愉快、愉快!
翌日、俺は朝からルエルに呼び出されていた。昨日は晩餐をやりたい気持ちだったが、今後のことを考えると寝ておくことが最良の選択だと判断し、そのまま寝た。
寝起きは今までの人生の中で最も爽快で冴える。その後昨日のことが夢ではないかステータスを確認し、現実であると再認識すると自然と笑みが溢れた。そんな時、ルエルからノックが入り、彼の自室へ呼び出されたわけだが。
「おはよう、マコト。早朝の訪問と呼び出しすまなかった。」
「いえいえ、おはようございます。何かあったんですか?もしかして武田くんのことでしょうか?何故かクラスメイトのことを僕のこと以外は忘れてしまっているという……」
「あー、それを知っているのか。」
「はい。昨日夜に武田くんの彼女である、三神さんが怒鳴り込んできたので……」
「それなら話が早い。マコトは昨日朝早くにタケダの部屋に行ったようだが、何をしに行ったんだ?」
「あの時は武田くんに命令されていたことを実行していました。」
「命令?」
「はい。ルエルさんのことは信頼していますからお話ししますが、もし俺がルエルさんにこんな話をしたとなると、俺のことを忘れてない武田くんだけでなく最悪勝ち組の方々にボコられるので「絶対に他言無用ということだね?」
「はい。それだけはよろしくお願いします。」
「分かってる。僕もマコトのことは信頼してるから。本当のことを話してくれ。」
「はい。武田くんから受けた命令は『先日家畜となった碓氷さんの監視』です。碓氷さんが変な行動を取ったら武田くんのところに伝えろという命令。」
「それで伝えに行ったと。」
「はい。ルエルさんにステータス情報の書かれた紙を貰った後に武田くんの部屋に行きました。」
「そこで彼に変わった様子とかは?」
「特には。ただ、この頃武田くんの顔色が優れていなかったので、何かあったら自分に相談して欲しいと言いました。」
「ほ~う?またまたそれはなぜ?散々虐められているのに、虐める相手に相談して欲しいなんて。」
「彼は勝ち組です。ずっとずっと周りに取り囲む人たちはみんなクラスのトップ。いや、高校生のエリート達。そんな彼はプライドが高く、友達にはそんな話は出来ないと思いました。なのでここは最底辺の俺が相談に乗るということにした方が、周りに不信感や勝ち組との地位を確立できるのではないかと思いました。これもクラスの中で生き残れる俺の限りなく少ない手の一つですから。」
「そうか。なんかやっぱすごいなぁ。お前を見ていると元気をもらえるよ。俺も含めて、な。」
「あ、ありがとうございます。」
「あと話したことは?」
「ありません。」
「分かった。ありがとうな。朝早くにお呼びたてしてしまいすまなかった。」
「あ!あとルエルさんにご報告が!昨日ステータスを見たらスキルが出来ていまして!」
「なんだと!?効果は!?」
「えっと……."体力の数値に比例して武術レベルが高くなる"です。」
これは確認だ。ルエルはとても注意深い人間だから、絶対にどこかの紙にメモを残しているのだ。記憶操作は可能でもこういうところの偽造はしてあるのか。
俺が効果を言うとルエルは少し顔を俯かせてくる。この瞬間が怖い。あっちの紙は偽造されていたから大丈夫だとは思うんだけどな~。
その数秒間、彼は俯きながら何か思い当たることがあるかのようにそれを必死に思い出そうとしていたが……心当たりがなかったようで俺に向き直り、明るい顔で言った。
「おお!すごいじゃないか!!そんなスキル見たことないぞ?やっぱ異世界人!才能はあるものだ!で?体力の数値はどのくらいなんだ?」
「昨日一万を超えました!」
「おっ!?これならクラスメイトたちと同じ訓練ができるのでは?」
そうルエルが言った瞬間、寂しそうな表情をつくる。
「でも一緒だとルエルともあまり話せないし、一番は虐められることが多くなる気がして怖いです。」
前半部はいいのだが、後半部に限っては必ずそうなる。今の俺は武田の件もあるし、虐めが露骨に表れてくるのも確実だ。
彼自身俺一人に割いてくれる時間は一週間平均三時間。
彼は少将という立場の人間だ。それなりに戦争では成果もあげなければいけない。俺の訓練時間が全て訓練に送り込まれれば、どれだけ彼の心も体も鍛えることができるだろうか。
こんなわがまま、この世界では通用しない。そんなことわかってるさ。でも言ってみるだけ言う。
ルエルは暫く考えこんでしまった。彼はこう言う人の顔には弱いタイプなのだ。突き放せない、守るタイプ。
「分かってます。わがままですよね。この世界でこんなこと、許されるはずないのに。」
そう言ってやるとルエルは決心したような顔でこちらを向き、言う。
「いや、そんなことはない!僕たちが勝手に召喚してきたのに、一人は記憶喪失。一人は家畜になった。それを作り出したのも僕たちの落ち度だ。一人くらい守れなくてどうする!──マコト!! お前は戦争で前線に行っても僕と同じ部隊になれ! これは長官命令!!逆らうことは許さん!! 以後僕はマコトをワンツーマンで教える!これでいいか? 齋藤 誠!!!!」
「えっ……ェェエエエエエェェェェ!!!!!!」
俺の声は城の中全体に届く。驚き過ぎた。流石にそこまでの話になるとは思なかった。俺はもう、戦争に行く部隊まで決まってしまったようだ。
拒否権はない。
──凄い嬉しいことじゃないか!!誰がなんと言おうとも俺はルエルと一緒だ!!!今まで生きてきてよかった!本当に良かった!!!!!!
このときから、俺はルエルのことを師匠と呼ぶようになった。
ルエルという立場の人間が、こっちの人間となったということは、ルエル師匠と関係を築いていけば必ず役に立つ!もちろん復讐のな!!!
俺は朝食へと向かう。絶対に暴行は受ける。それは覚悟した。でも俺の名前だけを忘れさせなかったのには理由もあることだし我慢しよ。
食堂に行き俺が入ると、武田と深い関係にあった勝ち組連中は鋭い目線を送る。負け組は勝ち組に従うように鋭い目線を送ってるつもりなのだろうが、そうでもない。どうやって勝ち組の空いた枠に入ろうか、考えているようだ。
「おい!こっち来いよ!豚!!」
そう言ってきたのは富川。キレてるな。
おれは忠実に従う。富川の前まで行くとその場所は勝ち組に取り囲まれた。
突き飛ばされ、蹴られる。その後公共の場だということを忘れ、こいつらは俺を暴言交じりに殴り、蹴り、潰し、叩き……。
それはルエルが来るまで続けられた。お陰で俺の体は痣だらけ。普通の兵士は止めに入る者もいたが、既に召喚されてきた自分たちの方が実力は上だった。だからエキソンやルエルが来るまでは、周りの人間は見てることしかできなかったのだ。
エキソンとルエルはこの現状と武田のこともあり、今日は各自の部屋で一日休ませることにした。
そして激しい暴行を受けた俺は現在ルエルの部屋にて療養中である。
「いてててててっっっ!」
「もう少し我慢しろ。ポーション、エキソンが今持ってきてくれてるから。」
「ありがとうございます。──いてっ……」
「それにしてもなぜ抵抗しない!?お前のそのスキルがあれば、クラスメイト全員とだって敵じゃないだろ?」
確かにそうだ。 体力に比例する強大な力を発動すれば、体力10150の2パーセントにあたる203が武術レベルとなる。
武術レベル203とは、クラスメイトの中でも一番高い山根の約二倍に相当する。多分勝ち組メンバー全員が襲いかかってきても、互角ぐらいに戦えるだろう。
「でもそれだと、俺があいつらに同等の力を見せつけて仕舞えば、あいつらは今度は標的を一点に絞ります。それはまだ家畜になりたてホヤホヤの、碓氷さんです。そんな彼女が勝てるはずもありません。」
「ということはマコトはウスイに迷惑をかけないように、その力を使わなかったというわけか?」
「はい。それに俺のことで暴力を振るわれる、碓氷さんに申し訳ないので。理不尽な暴力を受ける人はもう自分以外に見たくないんです。」
もちろん嘘だ。言い訳にしか過ぎない。本当の理由は"まだ今日の分のスキルを使うわけにはいかなかったから"だ。俺の次なる標的はあいつらの中にはいない。
富川の心を次第に弱らせ、更に三神に苦痛を味わってもらうためにはまずはあいつを殺さなければいけない。まだあいつらには仲間が次々と崩壊していく姿を見せてあげなければ。
でも同時にこういう行動も大事になってくる。それは壊れたクラスメイトと異世界の人達との繋がりだ。その中でもルエルとエキソンは重要。こうやって少しずつ信頼関係を厚くしていかなければ。うまくいくものもうまくいかないというものだ。
この言葉を聞いたルエルは優しい顔で俺が横たわるベッドに近づき上体を起こすと、抱く。
「バカか、お前は。他のやつのこと心配してられる程の余裕ないのにさ。マコトのそういうところ、好きだよ。」
「あんまり強く抱きしめられると痛いですよ…「でも、お前は今日から僕の部隊の人間になったんだ。あんまり無理してると、怒るからな?」
「すみません。今後気をつけます……。」
ルエルの体からは懐かしい匂いがする。まだ訓練前だから汗臭くもない。体つきはやはりいい。腕や腹、胸までもが硬く。でも柔らかく俺を包み込む。
それはエキソンがドアをノックするまでそれは続いた。俺も抱き返す。その時は触れるのは仕方がない。俺はルエルから「部屋にある全てのゴミ」を奪い取った。
俺の体はエキソンの持ってきてくれたポーションによって忽ち回復した。その後は俺が朝食を食べに食堂へ行き、そこで勝ち組の連中に呼ばれ暴行を受けたことを話した。
それを聞くと二人はただ深くため息をつき、エキソンはこの件を王に報告しに、ルエルはポーションによって完全回復するまでの三十分間、俺をベッドの上で寝かせてくれていた。
「すみません、本当に。俺たちがいなかったらその分の時間はルエル師匠やエキソンさんの時間に当てられているのに。」
「そんなこと、心配する必要はないさ。勝手に連れてきたのは僕たちの方だし、自分達の世界のことに巻き込んでしまっているのも僕たちだ。それに死ぬかもしれないことを頼んでいるんだ。」
「でも、俺たちじゃない人達ならこんな苦労をかけることもなかったのに……」
「そんなこと今さら悔やんでも仕方がない!どの世界にも争いごとや複雑な人間関係は付き物だし、王を始め僕たちが君たちを召喚することを承諾して今に至ってるんだ。それに武田くんをこんなことにしてしまったのもマコトをこんなに追い詰めてしまっているのも、全ては僕たちの落ち度だ。すべてを思春期真っ最中の子供達に押し付けてしまった。──それに僕たちはどれだけ頑張ってもこれ以上能力が高くなることはないんだよ。ここに住む人たちには、生まれた時から"実力数値"ってのがあって 、生まれた時に決まるんだ。ここまでの数値に達したらもう1も上がることはないっていうね。だから僕たちがやっている訓練はただの気休めにしかならない。でも異世界人は違う。どんな不可能だって変えられる力があるんだ!だから僕たちは思ってるんだ。君たちが"最後の砦"ってさ。」
「最期の砦ですか。」
その"最期の砦"を俺はどんどん殺してやろうとしているわけだ。とんだ自己中もいたもんだな。
「だから明日からの修行はガンガン行くぞ!!今日の分も取り返せるように!全力疾走だ!!!」
「はい!!頑張ります!!!」
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