CRoSs☤MiND ~ The fragment of ADAM Project truth ~ 第 四 部 UNIO編

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第 三 章 PROJECT ADAM

第八話 当事者達の願い

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 研究施設の部門は全部で六つ、汎用製薬開発、生物構造解析、生命応用、特殊脳細胞解析、医療器具開発、生命保全。
 それ等に別れて下りまして、母は生命保全、生命応用に所属していたようです。
 その時の主要研究員は母、藤原美鈴(二十五歳)、篠葉美奈(二十三歳)、柏木司、(二十六歳)八神皇女(二十三歳)、志波京平(二十六歳)、藤宮詩乃(二十七歳)、Serenadie Leopardie(二十六歳)、峰野洋介(三十三歳)、源太陽(最年少の十九歳)と他外国籍六名。
 この部門の機械制御統括の結城将嗣(二十四歳)と他十一名内、半分がインドとUSAからの計二十七名が初期の生命応用研究部のMemberだったそうです。
 将来の医療体制や臓器提供による混乱や事件、人工臓器による弊害、薬害等を憂い世界中から集められた皆様、誰もが母のお考えを理解しそれに賛同しまして、その研究に一生を捧げますくらいの誓いを立てたそうです。
 どの様な事が有っても完成させ、現実に苦しむ人々が助かりますようにと強く願いまして。
 この頃、父は自分の新動力研究の傍らシンガポール国立大学で理論物理と高等数学の講師を務めていたそうです。
 幾ら、母が天才だったからと言いまして、すぐに成果が出るわけではなく、思うような結果が得られなかったようでした。ですが、1980年、私が四歳を向かえた年の事でした。計画の転機は天命が如く、訪れたそうです。

 Project ADAM、この研究に参加した者達は誰もが共通の思いを持っていた。
 それは理不尽な事故や病気による人命の喪失を減らしたいと言う強い願い。
 ここに集まった研究員達の殆どは過去に大切な誰かを喪うと言う心の傷を持っている者達ばかりだった。
 無論、美鈴もその一人だったし、その思いも傷も誰よりも強かったのかもしれない。
 それは夏の頃、どの季節よりも太陽が早く昇る季節の午前五時。
「美鈴ちゃん、あまり根をつめてはだめですよ。研究は長い目で見てやらないとね」
 顕微鏡の中の細胞活動の様子を眺めている美鈴に歩み寄ってくるのは藤宮詩乃。
 詩乃は美鈴の傍まで来るとお盆に載せていた清々しい茉莉花の香りが広がる紅茶が入ったティー・ポッドだった。
 美鈴の手元にティー・カップを乗せた皿を静かに置いた詩乃はその紅茶を香りが立つように注いでいた。
 自身の器にも茉莉花茶を注ぐと、ゆっくりと近くにあった椅子を引き、美鈴の隣に座っていた。
 詩乃は自分で入れたお茶を美鈴よりも先に、口に運び、一口飲む。
「お仕事を頑張るのも良いけど、もう少し、龍ちゃんや、翔ちゃんと一緒に居て上げたら良いのに」
「そうしたいのだけど、洸大様にこれだけの場所を頂いて、何も成果が出せないことが申し訳なくて・・・」
 落ち込んだ表情を詩乃に見せながら彼女が淹れてくれた茉莉花茶の入った茶碗を口に運ぶ、美鈴。
「洸ちゃんはその様な事を気にする方じゃないわ。洸ちゃん、龍ちゃんと翔ちゃん、二人の孫が出来て、とっても嬉しそうだったもの。ですから、子育てを頑張るほうが、洸ちゃんはきっとお喜びになると思いますけど。結婚もしていませんし、子供も居ない私が口を出すのもなんですけどね、幼少の頃の情操教育は大事だと思うわ」
 詩乃は飲み終えたお茶の碗をゆっくりと口元から放すと、壁に掛けてある時計の針の位置を確認していた。
「少しくらい休みなさい、美鈴ちゃん。あとの観察は私がしておきますから」
「うん、お言葉に甘えさせてもらいますわ、詩乃さん」
 美鈴は言いながらカップを持ったまま立ち上がり、給湯室へ向かおうとした時の事だった。
 不眠不休連日の仕事の疲れが彼女の身体を著しく害して居たようで、蹌踉めき床に倒れて仕舞った。
 詩乃は運動反射が良くないので、倒れる直前の美鈴を抱き押さえる事が出来なかった。
 美鈴の持っていた碗が砕け、その破片が運悪く詩乃の脛の辺りを掠め、小さな傷が出来て仕舞う。
「詩乃さん、ごめんなさい」
「謝る事では無くてよ。この程度の怪我、怪我の内に入りませんもの。
でも、無理するからそうなるのよ、もっと自分を大事にしなさい、美鈴ちゃん」
 詩乃は美鈴の前にしゃがみ彼女を抱き起こそうとした。
 美鈴はその時、狐に化かされたかのような現象を目の辺りにしたのだ。
 詩乃が負った傷は小さなものだったので、然程出血は酷くなかったが、怪我を御座せて仕舞った事が分かる筋が走っていた。
 だが、その筋が、見る見るうちに美鈴の眼前で消えうせ、滲んでいた血も色褪せ、軈て見えないものになっていた。
「私、夢を見ているのでしょうか・・・」
「さて、私は美鈴ちゃんが何を言っているのか分かりませんけど・・・、それは多分疲れている所為よ。ですから、今はおやすみなさい」
 詩乃は抱き上げた美鈴を簡易寝台の上に寝かせると、布団を掛けてあげ、美鈴の瞳を掌で覆い瞼を下ろせる風に手を動かした。そして、美鈴は眠りに落ちながら、確信したのだ。
 詩乃が彼女の研究にとっても最も大きな因子と成る事を。
 翌日、夕方頃に目を覚ました美鈴は今朝の事が幻だったのか、どうなのかを確かめるために、詩乃に怪我の様子を窺った。しかし、藤宮の双子妹は何も答えずに黙ったままだった。
 詩乃に与えられた居室の椅子に座る彼女。
 彼女は黙ったまま、鍵の掛かった机のその部分のそれを解除し、中から、百頁程度の厚さの書物を取り出していた。
 表紙は茶色の硬表紙で題名は書かれていない。
 何時の年代の本なのかも判別が出来ないものを美鈴へ、差し出す詩乃。
「それは私の家系に代々伝わっていた医学書の模写です。若し、美鈴ちゃんがそれに書かれています内容を解き明かし、どの様な事があっても研究を諦めずに、努力し続けるのでしたら、いつか、貴女が求めた答えの中に私が必要でしたら、私は美鈴ちゃんのそれに答えましょう・・・って、あら、あら、まったく本当に美鈴ちゃんは・・・」
 美鈴は詩乃の言った事など耳に入れていなかった。
 美鈴は彼女から渡された本を開き読む事に集中して仕舞っていた。
「ふぅ、こんな子と龍貴君から産まれた二人の子供、龍ちゃんと、翔ちゃんがどの様に育って行くか楽しみだわ、ふふ」
 詩乃は医学書を熟読している美鈴を穏やかな表情で観察しながら、その様な事を呟いていた。
 季節も、秋から冬に移行していた。しかし、シンガポールは熱帯モンスーン気候のため、四季と言う概念はなかった。
 研究所の外は激しい雨の為、窓から見える風景は霞んでいた。だが、藤原美鈴以下、研究所の所員の興味は顕微鏡の中の小さな世界に集中していた。
 誰もが、その中の変化に驚きを隠せずに居た。
 合わせると死滅してしまう共存し得ない全く別の細胞AとBに特殊細胞Cを投入する事によって、共存し得なかったはずのAとBが独立した生体機能を保持したまま一つになっている現象を研究員全員が極小世界の中に確認したのだった。
「詩乃さん、あなたのお陰よ。これなら私達の思い描いたものができそうだわ」
 美鈴は直ぐにその特殊細胞が詩乃のみが持つ固有の物なのかどうか、調べるために無作為に人を集め特殊細胞の解析を始めた。
 無論、美鈴本人も自分を研究対象に含めていた。
 それから、詩乃が特殊な細胞を持つなら、双子の姉である詩音も同様なのではと思った美鈴は彼女も研究対象として呼んでいた。
 美鈴の研究目的を理解した詩音は快く、彼女の招聘に応じ、三年間だけと言う条件付で献体(この場合の献体の意味は死後の解剖実習利用ではなく臨床実験や人体実験を指す)になる事を約束した。
 当初、集める事が出来た研究献体は男女合わせて百二十名。
 それから、様々な試験を行い、一年後の1981年には特殊な働きを持つ細胞を保有する献体は四分の一の三十人に絞られ、更に翌年には研究対象となりえるのは九人と決定したのだった。
 その九人の中に一人として、男性は居なかった。どうも、特殊な細胞活動を持つのは女性のみだった。
 もっと多くの男性献体を集めれば、見つかったかもしれないが、美鈴たちはその人数で、研究を進めて行く事にしたのだ。
 選ばれたのは藤宮詩乃・詩音、セレナーディ・レオパルディ、夏姜麗(カ・シュウレン)、ミルチェー・エンリック(Milche Enrick)、ヤァーナ・ラシュラ(Jarna Lashurra)、ルー・シー・レーン(Roux sie Lane)、ミリアノ・フェロー(Milliano Faeroe)。
 ここで初めて、この計画に具体的な名称がつけられる。そのなはADAM。
 名称の由来は美鈴達の研究解析の中でその特殊細胞の活動、細胞を構成するDNAとRANの活動が周囲環境によって多彩に核が変形し、別の細胞へと形成されることから、多形成活性デオキシリボ核酸(Activated DNA Meta-forming)、又は多形成活性リボ核酸(Activated RNA Meta-forming)と言う単語を作り、それらの英単語を略してADAM、又はARMと言う名称が誕生したのだ。
 ここで研究母体は二つに分かれADAM系とARM系となって今後進んで行く事になった。
 丁度この頃、藤原龍貴も新世代動力源となりえる物を見つけたのだ。
 偶然なのか、それとも意図していたことなのか彼もその動力源の計画名をADAMと名づけていた。
 能動的精神感応差異増幅高次発電、Aggressive mentality reactive Differential Amplifier Meta-generatorを。
 人間の感情の起伏を電気的動力に変換すると言うまったくもって、信憑性にかけるような研究ではあるが、百人単位の人間から得られるEnergyは核分裂系原発とほぼ同等で、彼がこの様な研究をしようと思い立った理由は倫理観が問われそうな域の物で、犯罪により死刑や長期懲役の判決が下った者達を服役中、税金を無駄に費やし保護するくらいなら燃料として用いて仕舞うこと。
 それが現実の物と成り得るなら年々、罪人が増え、それに割く国民から搾取した税金が逼迫している某国にとって喉から手が出るほど必要とされる技術だった。
 龍貴の研究はさておき、ADAMとARMと計画名がはっきりしてからの美鈴達の活動は何故、その様な現象が起きるのかという解析ではなく、どの様にそれを医学に利用できるかの研究だった。それ故に、ADAMやARMの構造が解析されたのは彼女の死後、九年後の2010年の夏の頃だった。
 その解析された構造とは二重螺旋構造のDNA、RNAの中に区間的に存在する三重螺旋塩基配列が外因の影響によって一つ余分な螺旋を破棄し隣接する螺旋と再結合を起こし、状態情報を書き換えると言うものだった。
 1982年の暮れに不可思議な事件が起き、1983年の春頃に詩音、セレナーディ、以下八名、詩乃以外は研究素体として不適合とされ、研究対象から下ろされた。
 研究から開放された者達は献体として協力してくれた事に対する礼金として一生働かずにすむくらいの金額を渡されると本国へ戻されていた。
 支払われた礼金の額に驚き、その何割しか、受け取らなかったものも居るし、全く必要としなかった人物も居た。
 無論、謝礼は謝礼として、全額受け取ったものも居る。
 献体が詩乃一人になってしまった事に申し訳なさそうな表情を彼女に向ける美鈴。
 そんな二児の母に藤宮詩乃は言う。
「そんな顔しないの」
 その様に告げ、美鈴の頬を両手で包み、自分の額を彼女のそれへ合わせ、間近で言葉を述べた。
「何度も、同じ事を言わせないで。美鈴ちゃんが、美鈴ちゃんの研究のために私が必要なら、私はそれに答えますって。だから、躊躇っちゃだめですよ。私と美鈴ちゃん達の研究の成果で多くの人が助かるなら、私一人実験体に捧げられる事なんて苦ではないわ。だから、続けなさい。
そして、私を後悔させないで。私が選んだ道が無駄なんかじゃ無かったってそんな風に思える未来を見せて・・・、ねっ」
 詩乃は言葉を終えると軽く彼女の額に唇を触れさせていた。
 美鈴は詩乃の胸の中で静かに泣いていたのだ。
 彼女一人だけが実験体として扱われた時にその事に強く反発し抗いそうな人物がいる事を知っていたから。
 これによりADAM計画の基幹は詩乃のみとなり、この年に初めて美鈴の研究の応用が一人の女性に適用された。
 その女性の名、旧姓は真柴、現在は婚姻しており涼崎葵。
 子宮移植が志波京平、峰野洋介、八神皇女によって行われた。
 その子宮の提供者は詩乃。
 何故、提供者が彼女なのか。
 それは彼女の体内の臓器を構成する細胞は目覚しい復元能力を有しており、一片でも臓器の細胞が残っていれば、立ち所にではないが、三ヶ月から半年も経てば再生する事が分かっていたし、移植による拒絶反応が無い事が予想されていたが故だ。
 1983年の夏の頃、龍貴と美鈴の三人目の子供が産まれることが洸大に知れると、洸大は無理やり日本に息子達を戻し、第三子を本国で出産させた。
 数ヶ月前の帰国ではあったがこの時期、日本に戻ってくる事になったのは藤原夫婦以外に八神夫婦とそのご息女と志波夫妻。
 彼女がシンガポールから離れても計画自体は進み、子育てを日本でしなくてはならなくなった美鈴は本国の三戸特別区にある産業技術研究所で可能な限りの研究を続けていた。そして、彼女の死後も計画自体は続き、現在に至っている。

*   *   *

 司さんは何杯目かの珈琲を飲み終えました器を皿の上に置きますと、
「これ以上の研究結果が適応された被験者を口にする事は出来ないが、
龍一君、お前もその一人だ。何故、お前が生きているのか、理解出来ただろう?今までの話しを聞いて」
 その様に言い括ります義叔父。
 司さんが口にしました被験者とは涼崎葵さんと言う方、私の弟であります貴斗、香澄ちゃんに詩織ちゃん。
 それと柏木夫妻のご子息だった宏之君。そして、この私。
 腕と足を組みなおしました義叔父。今度は私へ訪い掛けるのでした。
「さて、龍一君。今度はお前の番だぜ。なぜ、こんな事を聞きに来たんだ?」
「ええ、これは司さんのご子息だった。宏之君にも関係することかもしれない事です。先ほどの内容からではまだ、因果関係を見出すことは出来ないのですが・・・。司さん、貴方は本当に宏之君が事故で無くなったとお思いですか」
「・・・」
 司さんは沈黙し、顎をさすりながら私の次の言葉を待っているようです。
 義叔父の飄々とした表情からはどの様な事をお考えなのか読み取る事は不可能でした。ですから、言葉を続けます。
「私は思ったのです。いいですか、私の弟貴斗、従弟、宏之君、二人とは学友であり、弟にとっては幼馴染でした香澄君に詩織君。更に涼崎葵さんのご息女、春香君。これほど近しい彼等、彼女等がほぼ同時期に死を迎えて仕舞いましたこと、おかしいとはお思いになりませんか?ADAMに関係する何方かの思惑によって、利権絡みか、恨みか、どの様な事で行動を起こしたのかは知りませんが、その何者かにより命を奪われたのではと私はその様な考えに至ったのです」
「利権?まあ、確かに臓器売買にはうってつけの技術ではあるが・・・ぅぅん、恨みねぇ。まあ、こんな研究だから誰かの恨みを買っているかも知れないが・・・。ああ、そういえば一人だけ心当たりがあるだけど、そいつは当の昔に死んでいるしなぁ・・・」
 義叔父は何かを思い出すようにその様な事を口にしていました。
「その誰かとは何方です」
「あえ、えっと、源太陽って研究所お抱え、所員の精神衛生の面倒を見てくれる当時最も若かった精神科医の卵で行動原理学の研究をしていた奴さ」
「何故、その方が計画に恨みを持つような事になったのでしょう」
「太陽の奴、詩乃にホの字でな。彼女が献体として扱われたからさ。それにもともと研究内容を知らずに来た様な奴だからさ、研究の内容を知った時はすげぇ猛反対したぜ。でも、詩乃に説得されて、アイツのやらなければならない仕事はちゃんとやっていたけど、いつだったかな・・・、・・・、こっちに帰国しているときに事故にあってそのまま彼の世に逝っちまったのは・・・、・・・・、確か、二十年位前か?」
「そうですか・・・。これ以上身内に犠牲を出させないよう、即刻、研究所を閉鎖しまして、Projectを中止するべきかと」
「それは出来ない」
「どうしてです?宏之君や雪菜君を喪ってまで続ける価値のある研究なのですか、そのアダムやアームとは?」
「あるから、誰も研究を下りようとしないんだよ。うち等の息子程度で済むなら、安いものさ。この研究が真の完成を見れば、今も臓器提供の助けを待つ患者の未来を紡ぐことだって、適合するドナーが見つからず、苦しみの果てに旅立つ事だって無くなるだろう」
「後は世界の闇に潜む、臓器密売や、そのための拉致、人身売買だって防げるだろう。それに人類が前に進むには犠牲は付き物なのさ。どんなに綺麗ごとを並べても、人の歴史は変らない。これからも・・・。俺達の研究が間接的に雪菜や宏之、貴斗君、それに彼女達へ犠牲を強いたとしても、仕方があるまい・・・」
 司さんは、淀みも、躊躇いも見せませんで、その様にはっきり言い綴りました。
 明るい表情の美奈さんしか知りませんでした私。
 計画当初の頃は司さんと同様に研究の過程で何らかの犠牲が出たとしても研究を辞めたりはしないと誓っていたかもしれません叔母。
 今、彼女が見せて居ますその表情はとても司さんの言葉を受け入れているような感じは受けませんでした。
「一つ言って置くぞ、龍一君。お前はその犠牲の上に成り立っている事を忘れるな。お前にはどんな事があってもその命を無駄に散らしてはいけない義務がある。余計な事になど首を突っ込まず、お前が本来勤めなくてはならない勤めを果たせ。それがもう還らぬ連中たちに唯一出来ることだ」
 私はこれ以上の会話の無意味性を理解しまして、すっとSofaから立ち上がりまして、義叔父を見下す様な視線を向けました。
「私は感情の欠落した人間ですが、正直、子供達を喪いましてもその様な事を口になさる司さんを見損ないましたよ。お腹を痛めまして、お二人を出産なされた美奈さんが可哀想でなりません。付け加えまして私は誰の指図も受けません。私が生きたいように、生きるだけです」
 その様に言葉を義叔父に掛けまして、叔母には憐れみの視線を僅かに流しますと、すたすたと玄関口へ向かい、即刻、この場所を後にしました。私はMotorcycleに跨り、実家に向かいました。それは妹に会うためです。
 若し、これからも身内に犠牲が出るならと思いまして、先手を打つ事にしたのです。
 研究施設は藤原家がすべて負担しているならその権限を持つものが、閉鎖を決定すれば計画を潰す事が出来ます。
 Projectの存続が災いとなるならそれが最も効果的でしょう。それと源太陽なる人物が気になります。
 この方に付いても調べ、先ほど柏木家からくすねて参りました現在の施設に勤めております所員名簿と義叔父が話してくれた初期のMemberの中から、計画の離反や、利権絡み、恨みを持ちそうな方々を洗い出して見ましょう。
「今の私が生きる意味は・・・、アダムによる犠牲の連鎖をとめる事。弟達を奪ったその償いをその相手にさせることです・・・」
 私はFull faceの中でその様に呟きますと、自動二輪の握っていましたAcceleratorに力を加えまして、車体を走らせました。
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