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第三部 外 伝
夢の終わり、現実の目覚め
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私は何の前触れもなく目を覚ます。
最初に目に飛び込んできた物は私の知らない場所の天井。
少し首を振って回りを確認してみたの。
とても殺風景な空間だった。
殺風景な部屋の中だったけどね、その空間においてある物で、ここが病院の病室なんだ、って、私は理解した。
一体私は何時からこの場所で眠っていたんだろね、あの事故にあった日から。
私は身体が自由に動くか、確認してみて、それが大丈夫だ、って判ると体をベッドから起こして自分自身のことを確認した。
「あれ、あれぇ?私って、こんなに髪、長かったかなぁ・・・、確か、あの時、首筋ぐらいだったから、ここまで伸びるのは・・・、ざっと半年くらいかな?若しかして、私、藤原君との会話中に飛び込んできたトラックに潰されてこの場所に来て、ずっと眠ったままだったみたいね。・・・、アハハハハァ~~~」
腰元まで伸びた髪の毛の先を弄くりながら、そんな言葉を独り呟くと、最後、今まで私が一度も目覚める事がなかったと気付いて、気の抜けた溜息を吐いてしまっていたの。
完全に冷静になった頃私は近くに有ったインターフォンで繋がった先に私が目を覚ました事を伝えたの。
それから、ほんの少し経って、初めて顔を合わせるお医者さんと、看護師さん達がここへ来てくれた。
色々な物で私の身体に異常がないか自己紹介をしてくれながら先生や看護師は調べてくれていたんだよ。
「どうして、今になって急に、・・・、突然、涼崎さん、貴女が目を覚まされたのか、私どもにはわかりませんが、特に身体には可笑しい所は見られませんし、貴女の精神状態も良好のようですね。御家族の方には私の方から、御連絡を差し上げておきますよ。後に来てくれるでしょう」
「有難う御座います、調川先生」
「では、その方達がお越しになるまで、ゆっくりと休んでいてくださいね・・・。サぁっ、三井さん、住友さん、戻りましょうか」
これから、私の担当医となってくれるその先生は優しく微笑みかけてくれると、そう言葉にして、機敏に去っていったの。そして、又、私はベッドに横になって目覚める前まで見ていた嫌な夢を思い出していた。
詩織ちゃんが私にアンなことをするなんて、絶対この現実ではありえないし、私だって、宏之君が香澄ちゃんと一緒になったからって、それを嫉んで?
アンなことを藤原君に要求したりなんかしないよ。
ハァ~~~、でも、やっぱり今私が目覚めた現実でも、宏之君が私以外の誰か、別の女の子と出来ちゃっていたら、とっても嫌かなぁ・・・。
色々と考え事をしていると、窓の外の視界は真っ暗になっていて夜だって解かったの。
「フゥ~~~、もうこんな時間なんだね。誰も来てくれないなぁ・・・、寂しいっ・・・」
そんな言葉を口元まで上げた掛け布団の中で呟くと、勢い良く、この部屋の扉が開き、誰かが駆け込んできたの。
「お姉ちゃん、春香お姉ちゃん?本当に春香お姉ちゃん、メッ、覚ましてくれたんだね?」
「・・・?」
「エッ、春香お姉ちゃん、どうしたの?私が誰だか判らないの?私、翠よ。はぁっはぁ~~~ん、あんまりにも成長して、おねえちゃんなんかより、だぁ~~~んぜんにっ、綺麗になっちゃったから、ぜんぜんわからなかったりするぅ~~~?」
妹の翠は彼女の成長した身体を見せつけるような格好をとると、羨ましいでしょって感じでそんな言葉を私に向けてきたの。
見た目は成長しているけど、やっぱあり私の妹みたい。
私に対する態度、中身は全然変わって居なさそうだった。
「なに、馬鹿なこと言ってるのよぉ、私はこれでも翠のお姉ちゃんよ、ちゃんとわかってるんだから。今まで、多分心配掛けさせちゃったと思うけど、ごめんね」
「そんなコト気にしないの、姉妹でしょぉ、私達」
「それよりも、翠だけ?秋人パパと葵ママは?宏之君とかに連絡してくれた」
「今日はパパ、ママのあの日だよ。私や、お姉ちゃんのことホッタラカシでどっかいっちゃってまぁ~~~っす。それとぉ~~~、宏之ってだれですかぁ~~~?」
「エッ、なに言ってるの翠?宏之君は私の、その恋人さん。・・・、あなただって何回か、顔を合わしてるでしょ?・・・エッ、どうしてそんな顔見せるのよ、みどりっ!」
「だって、本当にしらないもぉ~~~んっ、そんなひとぉ」
「翠、冗談は止めてっ!それじゃっ、詩織ちゃんや香澄ちゃん、それに藤原君や八神君!」
「初耳な人の名前ばっかりぃ~~~」
「詩織ちゃんや、香澄ちゃんまで知らないって言うの?翠の水泳の先輩じゃない」
「はぁ~~~?なに言ってるのかなぁ、私、お姉ちゃんと一緒でかなづちだよ。水泳なんてやるわけないじゃない、まったく」
私は今の妹の言葉を聞いて、今まで見ていたいい夢も、悪い夢も、その中で出会った大切な友達、親友たちも、本当はただの夢の中だけだったなんて知って、怖いくらいに悲しかった、せつなかった、泣きたいくらいに。私は自分の体を自分の両腕で抱きしめ、身を震わせ、下唇をかんで、静に涙を流していた。
そんな姿の私を見て、妹は悪戯な笑いを私に聞かせてくれる。すると・・・。
「もォ~~~、翠、いい加減にしなさって、よくもマあぁ、アンタの姉の春香にそんな酷い事言えるわねぇ。春香、安心しなさい。私は健在よっ!ホラッ、しおりンもこいつに顔見せしてやって」
「春香ちゃん、お見舞いに来て差し上げましたよ。ハイッ、これお目覚めのお祝い。貴女の御贔屓にしていますお店、〝ガァディス・ティアー〟の貴女が好きなあれですよ・・・。柏木君、お恥ずかしがりになって、その様なところにお隠れになりませんで、お目覚めに成りました春香にお顔をを拝見させてあげてはどうでしょうか?ウフフフッ」
「アッ、アアァア、あのぉ、その・・・、春香?春香なんだよな?やっと目を覚ましてくれたんだよな?春香・・・、はるかぁぁぁあっぁあぁぁぁ」
「ひっ、宏之君、急に泣き出したりしないでよぉ、みんなのまえでぇ。私も泣きたくなっちゃうじゃない・・・、ウクッ、ひくっ、うぅぅうううううぅっぅう」
私の恋人が泣いてしまうものだから、私もみんなの前で声を上げながら、泣いてしまった。
そんな私と、彼の姿を目にして馬鹿にする人はその場所に一人もいなかった。
みんな、微笑を私と宏之君に向けてくれている。
「おいっ、宏之っ!何時までも泣いてると、涼崎さんもなきやめねぇだろう?少しは男らしい所を見せやがれ。三年間も待たされ泣き続けても、未だに枯れてねぇお前のそりゃ、凄いけどな」
「よっ、余計なコト言うんじゃねぇぜ、慎治。ハハッ、はぁ~~~、そうだな、慎治。ごめんよ、春香急に泣き出しちまって・・・。さぁ~~~ってっと、春香も目覚めた事だし、ぱぁ~~~っとさわごぉぜぇ」
「宏之君駄目よ、ここ病院なんだからさわいじゃ、他の患者さんに迷惑じゃない」
「お姉ちゃん、心配ないよ。ここ個人病棟だし、騒がしくなるかもしれないって愁先生には言ってあるし、大丈夫だって答えも返してくれたんだから」
「そう・・・。翠も、宏之君も、香澄ちゃんも、詩織ちゃんも、八神君もお見舞いに来てくれて有難うね。ねえ、ところで詩織ちゃん、藤原君は?」
「ふじわら?どちら様の事でしょうか?」
「えぇぇええっ、なにいってるのぉ?詩織ちゃんの・・・その恋人で、詩織ちゃんと香澄ちゃんの幼馴染みだった藤原君の事だよ、記憶喪失のはずの」
「記憶喪失?だれのことよ、それ?なに言ってるの春香?私の幼馴染みはしおりンだけよ。男の幼馴染みなんて居ないわよ」
香澄ちゃんがそんなコトを言うから、全員に彼の事を尋ねてみると、やっぱり知らないって返してきたの。
どうして、彼だけが、夢の中の存在で、現実に存在しないんだろうって頭が混乱して変な顔を作ると、やっぱり又、妹の翠が悪戯な笑みを浮かべながら口を動かすの。
「クックック、なに言ってくれちゃってるのかなぁ、春香おねえチヤァ~~~ん。貴斗さんは詩織先輩の恋人さんじゃなくて、私のそれだよォ~~~」
「みどりちゃっんっ、御冗談はおよしになってくださいっ!貴斗は私のものです」
「あゎぁっわぁぁ、詩織せんぱぁ~~~いっ、そんな怖い目で見詰めちゃいやですぅ」
「まあ、確かに一時期、本当にそうだったけどな」
「それってどういうこと、八神君」
「ああ、それは涼崎さんが眠ってる間に急に彼奴が記憶を取り戻しちまってよ。色々とあったんだよ。まアァ、それで貴斗の奴がロリコンである事が判明したんだけどな」
「でも、結局、私が貴斗さんと詩織先輩をくっつけてあげたようなもんじゃない。私は感謝してもらいたいんですけどねぇ~~~」
「ウゥぅ、それは翠ちゃん・・・」
「誰がロリコンダッ!泣かすぞ、慎治」
「アッ、タカ坊あんたもやっと来たんだ。バイトばっかりしてないでもっと、こいつと一緒に居てやんなさいよ、アンタ」
「今は、涼崎さんの見舞いに来ているんだ、余計な事を言うな、香澄。少しばかり遅れてすまん。まあ、これはとりあえず、手土産」
「よっし、みんな本当にそろった事だし、涼崎さんの目覚めと、早期退院を祝って乾杯しようぜ」
八神君はそう言って、持ってきた袋から、飲み物、アルコール?を取り出し皆に配ると乾杯の音頭をとってくれた。
それを飲みながら、香澄ちゃんと詩織ちゃんが作って来てくれた物、私の恋人やその親友達が持って来てくれた物を食べながら、談笑をする。
その中で、色々なお話を聞かせてくれた。
会話の中では私が夢の中で見ていたようなことと同じような事が幾つか、現実としておきていたようだけど、三年間、ずっと宏之君は私が目を覚ましてくれることを待ち続けてくれていた。でも、何よりも私達の友達関係は全然変わっていなかった。
それを知ることが出来て私は目覚める事が出来てどんなに嬉しかったのか、表情と言葉に出して皆に伝えていた。
三年間、短くも、長くも感じる期間。
人との繋がりが十分に変わってしまうほどにも思える時の流れ。
私の大切な人たちは心の成長、変化はあったと思うけど、私達の関係が変わらなかった。
そんなんだから、私は思うの私は幸運なんだなって、私はいい友達に巡り逢えたんだなって。
「春香、本当にうれしそうだな」
「ウンッ、だって、本当に嬉しかったんだもん。皆が、皆が、私の目覚めをちゃんと待ってくれていて、ちゃんと私にこんなにも普通に接してくれるんだもん。良かった、私はこんなにも素晴らしい友達が居るんだって知って凄く幸せなんだもん」
「言っておくけど春香お姉ちゃん、私はお姉ちゃんの妹だけど、お友達じゃないよぉ~~~」
他愛もないことを口にする私の妹、だけど、皆も私も、その言葉に穏やかな笑いを浮かべる。
これから、私は無駄に過ごしてしまった三年間を取り戻さなくちゃいけないの。
この先の将来を予測する事なんて私は超能力者じゃないから出来ないけど、眠っている間に見続けていた夢の中ノ悪い部分だけは絶対おきて欲しくないって思いながら、みんなとの楽しい会話を続けていた。
心の中で思うの、世界に祈るの、これからもこの関係が崩れませんようにって。
最初に目に飛び込んできた物は私の知らない場所の天井。
少し首を振って回りを確認してみたの。
とても殺風景な空間だった。
殺風景な部屋の中だったけどね、その空間においてある物で、ここが病院の病室なんだ、って、私は理解した。
一体私は何時からこの場所で眠っていたんだろね、あの事故にあった日から。
私は身体が自由に動くか、確認してみて、それが大丈夫だ、って判ると体をベッドから起こして自分自身のことを確認した。
「あれ、あれぇ?私って、こんなに髪、長かったかなぁ・・・、確か、あの時、首筋ぐらいだったから、ここまで伸びるのは・・・、ざっと半年くらいかな?若しかして、私、藤原君との会話中に飛び込んできたトラックに潰されてこの場所に来て、ずっと眠ったままだったみたいね。・・・、アハハハハァ~~~」
腰元まで伸びた髪の毛の先を弄くりながら、そんな言葉を独り呟くと、最後、今まで私が一度も目覚める事がなかったと気付いて、気の抜けた溜息を吐いてしまっていたの。
完全に冷静になった頃私は近くに有ったインターフォンで繋がった先に私が目を覚ました事を伝えたの。
それから、ほんの少し経って、初めて顔を合わせるお医者さんと、看護師さん達がここへ来てくれた。
色々な物で私の身体に異常がないか自己紹介をしてくれながら先生や看護師は調べてくれていたんだよ。
「どうして、今になって急に、・・・、突然、涼崎さん、貴女が目を覚まされたのか、私どもにはわかりませんが、特に身体には可笑しい所は見られませんし、貴女の精神状態も良好のようですね。御家族の方には私の方から、御連絡を差し上げておきますよ。後に来てくれるでしょう」
「有難う御座います、調川先生」
「では、その方達がお越しになるまで、ゆっくりと休んでいてくださいね・・・。サぁっ、三井さん、住友さん、戻りましょうか」
これから、私の担当医となってくれるその先生は優しく微笑みかけてくれると、そう言葉にして、機敏に去っていったの。そして、又、私はベッドに横になって目覚める前まで見ていた嫌な夢を思い出していた。
詩織ちゃんが私にアンなことをするなんて、絶対この現実ではありえないし、私だって、宏之君が香澄ちゃんと一緒になったからって、それを嫉んで?
アンなことを藤原君に要求したりなんかしないよ。
ハァ~~~、でも、やっぱり今私が目覚めた現実でも、宏之君が私以外の誰か、別の女の子と出来ちゃっていたら、とっても嫌かなぁ・・・。
色々と考え事をしていると、窓の外の視界は真っ暗になっていて夜だって解かったの。
「フゥ~~~、もうこんな時間なんだね。誰も来てくれないなぁ・・・、寂しいっ・・・」
そんな言葉を口元まで上げた掛け布団の中で呟くと、勢い良く、この部屋の扉が開き、誰かが駆け込んできたの。
「お姉ちゃん、春香お姉ちゃん?本当に春香お姉ちゃん、メッ、覚ましてくれたんだね?」
「・・・?」
「エッ、春香お姉ちゃん、どうしたの?私が誰だか判らないの?私、翠よ。はぁっはぁ~~~ん、あんまりにも成長して、おねえちゃんなんかより、だぁ~~~んぜんにっ、綺麗になっちゃったから、ぜんぜんわからなかったりするぅ~~~?」
妹の翠は彼女の成長した身体を見せつけるような格好をとると、羨ましいでしょって感じでそんな言葉を私に向けてきたの。
見た目は成長しているけど、やっぱあり私の妹みたい。
私に対する態度、中身は全然変わって居なさそうだった。
「なに、馬鹿なこと言ってるのよぉ、私はこれでも翠のお姉ちゃんよ、ちゃんとわかってるんだから。今まで、多分心配掛けさせちゃったと思うけど、ごめんね」
「そんなコト気にしないの、姉妹でしょぉ、私達」
「それよりも、翠だけ?秋人パパと葵ママは?宏之君とかに連絡してくれた」
「今日はパパ、ママのあの日だよ。私や、お姉ちゃんのことホッタラカシでどっかいっちゃってまぁ~~~っす。それとぉ~~~、宏之ってだれですかぁ~~~?」
「エッ、なに言ってるの翠?宏之君は私の、その恋人さん。・・・、あなただって何回か、顔を合わしてるでしょ?・・・エッ、どうしてそんな顔見せるのよ、みどりっ!」
「だって、本当にしらないもぉ~~~んっ、そんなひとぉ」
「翠、冗談は止めてっ!それじゃっ、詩織ちゃんや香澄ちゃん、それに藤原君や八神君!」
「初耳な人の名前ばっかりぃ~~~」
「詩織ちゃんや、香澄ちゃんまで知らないって言うの?翠の水泳の先輩じゃない」
「はぁ~~~?なに言ってるのかなぁ、私、お姉ちゃんと一緒でかなづちだよ。水泳なんてやるわけないじゃない、まったく」
私は今の妹の言葉を聞いて、今まで見ていたいい夢も、悪い夢も、その中で出会った大切な友達、親友たちも、本当はただの夢の中だけだったなんて知って、怖いくらいに悲しかった、せつなかった、泣きたいくらいに。私は自分の体を自分の両腕で抱きしめ、身を震わせ、下唇をかんで、静に涙を流していた。
そんな姿の私を見て、妹は悪戯な笑いを私に聞かせてくれる。すると・・・。
「もォ~~~、翠、いい加減にしなさって、よくもマあぁ、アンタの姉の春香にそんな酷い事言えるわねぇ。春香、安心しなさい。私は健在よっ!ホラッ、しおりンもこいつに顔見せしてやって」
「春香ちゃん、お見舞いに来て差し上げましたよ。ハイッ、これお目覚めのお祝い。貴女の御贔屓にしていますお店、〝ガァディス・ティアー〟の貴女が好きなあれですよ・・・。柏木君、お恥ずかしがりになって、その様なところにお隠れになりませんで、お目覚めに成りました春香にお顔をを拝見させてあげてはどうでしょうか?ウフフフッ」
「アッ、アアァア、あのぉ、その・・・、春香?春香なんだよな?やっと目を覚ましてくれたんだよな?春香・・・、はるかぁぁぁあっぁあぁぁぁ」
「ひっ、宏之君、急に泣き出したりしないでよぉ、みんなのまえでぇ。私も泣きたくなっちゃうじゃない・・・、ウクッ、ひくっ、うぅぅうううううぅっぅう」
私の恋人が泣いてしまうものだから、私もみんなの前で声を上げながら、泣いてしまった。
そんな私と、彼の姿を目にして馬鹿にする人はその場所に一人もいなかった。
みんな、微笑を私と宏之君に向けてくれている。
「おいっ、宏之っ!何時までも泣いてると、涼崎さんもなきやめねぇだろう?少しは男らしい所を見せやがれ。三年間も待たされ泣き続けても、未だに枯れてねぇお前のそりゃ、凄いけどな」
「よっ、余計なコト言うんじゃねぇぜ、慎治。ハハッ、はぁ~~~、そうだな、慎治。ごめんよ、春香急に泣き出しちまって・・・。さぁ~~~ってっと、春香も目覚めた事だし、ぱぁ~~~っとさわごぉぜぇ」
「宏之君駄目よ、ここ病院なんだからさわいじゃ、他の患者さんに迷惑じゃない」
「お姉ちゃん、心配ないよ。ここ個人病棟だし、騒がしくなるかもしれないって愁先生には言ってあるし、大丈夫だって答えも返してくれたんだから」
「そう・・・。翠も、宏之君も、香澄ちゃんも、詩織ちゃんも、八神君もお見舞いに来てくれて有難うね。ねえ、ところで詩織ちゃん、藤原君は?」
「ふじわら?どちら様の事でしょうか?」
「えぇぇええっ、なにいってるのぉ?詩織ちゃんの・・・その恋人で、詩織ちゃんと香澄ちゃんの幼馴染みだった藤原君の事だよ、記憶喪失のはずの」
「記憶喪失?だれのことよ、それ?なに言ってるの春香?私の幼馴染みはしおりンだけよ。男の幼馴染みなんて居ないわよ」
香澄ちゃんがそんなコトを言うから、全員に彼の事を尋ねてみると、やっぱり知らないって返してきたの。
どうして、彼だけが、夢の中の存在で、現実に存在しないんだろうって頭が混乱して変な顔を作ると、やっぱり又、妹の翠が悪戯な笑みを浮かべながら口を動かすの。
「クックック、なに言ってくれちゃってるのかなぁ、春香おねえチヤァ~~~ん。貴斗さんは詩織先輩の恋人さんじゃなくて、私のそれだよォ~~~」
「みどりちゃっんっ、御冗談はおよしになってくださいっ!貴斗は私のものです」
「あゎぁっわぁぁ、詩織せんぱぁ~~~いっ、そんな怖い目で見詰めちゃいやですぅ」
「まあ、確かに一時期、本当にそうだったけどな」
「それってどういうこと、八神君」
「ああ、それは涼崎さんが眠ってる間に急に彼奴が記憶を取り戻しちまってよ。色々とあったんだよ。まアァ、それで貴斗の奴がロリコンである事が判明したんだけどな」
「でも、結局、私が貴斗さんと詩織先輩をくっつけてあげたようなもんじゃない。私は感謝してもらいたいんですけどねぇ~~~」
「ウゥぅ、それは翠ちゃん・・・」
「誰がロリコンダッ!泣かすぞ、慎治」
「アッ、タカ坊あんたもやっと来たんだ。バイトばっかりしてないでもっと、こいつと一緒に居てやんなさいよ、アンタ」
「今は、涼崎さんの見舞いに来ているんだ、余計な事を言うな、香澄。少しばかり遅れてすまん。まあ、これはとりあえず、手土産」
「よっし、みんな本当にそろった事だし、涼崎さんの目覚めと、早期退院を祝って乾杯しようぜ」
八神君はそう言って、持ってきた袋から、飲み物、アルコール?を取り出し皆に配ると乾杯の音頭をとってくれた。
それを飲みながら、香澄ちゃんと詩織ちゃんが作って来てくれた物、私の恋人やその親友達が持って来てくれた物を食べながら、談笑をする。
その中で、色々なお話を聞かせてくれた。
会話の中では私が夢の中で見ていたようなことと同じような事が幾つか、現実としておきていたようだけど、三年間、ずっと宏之君は私が目を覚ましてくれることを待ち続けてくれていた。でも、何よりも私達の友達関係は全然変わっていなかった。
それを知ることが出来て私は目覚める事が出来てどんなに嬉しかったのか、表情と言葉に出して皆に伝えていた。
三年間、短くも、長くも感じる期間。
人との繋がりが十分に変わってしまうほどにも思える時の流れ。
私の大切な人たちは心の成長、変化はあったと思うけど、私達の関係が変わらなかった。
そんなんだから、私は思うの私は幸運なんだなって、私はいい友達に巡り逢えたんだなって。
「春香、本当にうれしそうだな」
「ウンッ、だって、本当に嬉しかったんだもん。皆が、皆が、私の目覚めをちゃんと待ってくれていて、ちゃんと私にこんなにも普通に接してくれるんだもん。良かった、私はこんなにも素晴らしい友達が居るんだって知って凄く幸せなんだもん」
「言っておくけど春香お姉ちゃん、私はお姉ちゃんの妹だけど、お友達じゃないよぉ~~~」
他愛もないことを口にする私の妹、だけど、皆も私も、その言葉に穏やかな笑いを浮かべる。
これから、私は無駄に過ごしてしまった三年間を取り戻さなくちゃいけないの。
この先の将来を予測する事なんて私は超能力者じゃないから出来ないけど、眠っている間に見続けていた夢の中ノ悪い部分だけは絶対おきて欲しくないって思いながら、みんなとの楽しい会話を続けていた。
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