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第 一 章 混迷する心

第二話 彼(カ)の人の心

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 私のしたホンの出来心で春香以外の大切な人まで傷ついてしまったことに気付いてしまう。さらに彼の深く心を傷つけ、痛める事になってしまう、私。

~ 2001年9月13日、木曜日 ~
 それは三時限目、授業の終わりのことだったわ。
「フぅーーーっ・・・」
  そう深い溜息を吐くと二人の女友達が声を掛けてきた。
「ねぇ~、隼瀬ちゃんどうしたの?そんな溜息なんて吐いて」
「そうですの、香澄様、学校が始まってからずっとお元気がありませんの」
 宇都宮里奈と古風な喋り方をする瀬能綾、二人は私を心配して話しかけてきてくれたわ。
 彼女達はここクラスで最も私と仲の良い二人。
「ニャハハッ、そんな事ないわよ」
 心配してくれるその二人に無理して笑って返してみせた。
「香澄様、無理して笑っているの、みえみえですの」
「内のクラスの馬鹿一人足りないのと隼瀬ちゃんがこんなに沈んでいるとクラスの雰囲気もだいぶ違っちゃうね」
「そうですの、柏木様がいらっしゃらないと如何してかしら、クラスも張りがないですものね。ハァ~~~っ・・・、なんだか私まで憂鬱になってきてしまいましたの。あのお方様もどうしてか御様子が変でありますし・・・」
「あぁ~~~ン、綾ちゃんまでやめてよぉ、みんなに伝染しちゃったらどうするの。これ以上内のクラス暗くしないでよ、もォ~~~」
 二人が言うように宏之は学校が始まってから一度も登校していなかった。
 宏之がいないとこのクラスがここまで雰囲気が変わってしまうものなのかと思い知らされたわ。彼がここに来ない理由。
 それは春香が事故にあって入院しているから、この学校に彼女が居ないからだとそんな風に勝手に私は想像していた。
 気分の優れないまま、いつの間にか放課後になっていた。
 何も考えず無意識のまま学校を出てある方角へと歩き出していた。
 気が付けば、宏之のマンションの玄関前に立っていた。
 インターフォンのボタンを押すこともなく、ドアをたたいて中の住人が居るのか居ないのか確認する事もなく、唯その前に突っ立ってボーーーっとして、ドアを眺めているだけだった。
 私には宏之に会って話す勇気がなかったから、そうしていたのかもしれないわ。だって、こうなってしまった原因を作ってしまったのは私にあるのだから。
 どれくらいの時間そうしていたのだろう?話しかけられるまでその人物の存在に気付いてあげられなかった。
「ヨッ、隼瀬ジャンか、なに突っ立ってんだ、こんな所で?」
「アッ、慎治」
〈どっ・・・、どうしてアンタがここにきってんのよ?〉
 突然の訪問者に驚いてしまっていた。でも、その驚きもわずかの時間だけで直ぐに気分は急降下してしまっていたわ。
「なんだか元気なさそうだな。それに、最近クラスでもダンマリだし」
「ハハッ、ソッ、そんな事ないわよ、それより慎治こそどうして来たのよ?」
 慎治の言葉に対して無理して笑顔を作ってしまう。だけど、彼は友達の感性に敏感な人だったから彼の表情はそんな私の行動もお見通し、って感じの顔をしていたわ。
「俺はあるヤツからの依頼でここへ来た」
「はぁんっ?あるヤツって、若しかして、貴斗の事?」
 最近の貴斗の様子が変だった。だから女の勘って奴でそう慎治に聞き返していた。
 最近のアイツおかしすぎる物。どうして、貴斗は私や詩織よりも早く春香の事故を知っていたんだろう。
 その事について彼に問い詰めてみたけど、言葉なんか返してくれないし、その時の貴斗の表情、なんだかすごく辛そうにしている。
 彼、何かを知っていて隠している。
 記憶喪失でも、昔と変わらない性格なら、心を持っているなら、きっと何かに悩んでいるはず。でも、それを私に話してくれることはなかった。
 私や詩織に隠し事をするそんな性格は記憶喪失でも変わらないのかな・・・。
「何で、俺がアイツの依頼なんて請けないといけないんだ?ちがう、けして違うぞ、隼瀬君!」
「ふぅ~~~ん、そうなんだ」
〈あぁ~~~、やっぱりそうなんだね。慎治が動揺するなんて珍しい。私の言った事、間違いじゃないようだわ〉
「何だよ、その目は。疑っているのか、この俺を?」
「ククッ、べぇ~~つにっ」
 慎治も貴斗や宏之の事となると一風変わった態度をするから面白かったりする。
 そんな彼を見たからか、少し笑っていた。
 慎治って面白いのよね、マジメなんだか、不真面目何だか判らないところが。でも、とっても頼りになることは確かだった。
「信じる、信じないは隼瀬の自由だっ!だが、貴斗に変なこと言うなよなっ!」
「ハイ、ハイ、わかったわよ」
〈ハイ、はいっ、貴斗には黙っておいてあげるわ。慎治より多く、彼の性格の事は知っている積りだからね〉
 慎治の話し方や仕草ってなんか役者掛かっていてたまに呆れちゃうときもあるけど、それが彼の地だからしょうがないのかな?
「ああ、そうですか・・・、それより宏之とはあったのか?」
「駄目・・・、見たい。だから、私もう帰るわね。それじゃ、慎治、バイバイ」
 何にもしないで唯、その場に居ただけなのに慎治にはそう答えていた。
 これ以上、この場に居ると聞き上手な慎治、彼に余計な事を聞かれそうだった。だから、逃げるように彼に別れを告げ立ち去ってしまった。
 その日から学校の帰りに宏之の家によって玄関前で唯、立っているだけで何もしない日が続いた。たまに慎治と顔を合わせる事もあったわ。
 だけど、彼とほんの少し話すとその場に居辛くなって、初めて、そこで会ったときのように逃げてしまっていた。
 そんな日がどれだけ続いたのかな?確証ないけど、慎治が宏之に学校へ来るように説得していたんだと思うわ。
 宏之は9月17日の月曜日、四時限目始まりの少し前にその姿を現してくれた。彼の表情は暗かったけど、彼が学校に来てくれただけでも嬉しかった。
 慎治は嬉しさを表情と声で表していた。
 他の、宏之と仲のいいクラスの友達も、彼の様子がおかしいことを感じていたようだけど、なんだか安堵しているようだった。
 貴斗は気にする風もなく窓の外を眺めていた。
 昔の彼だったら絶対ありえない、そんな態度。
 記憶喪失ってそこまで人を変えてしまうものなの?
 それを知ってしまった私は悲しくなってしまった。でも、貴斗だって宏之の事を心配しているって事だけは信じたかった。そして、それを知るのにそれほどの日にちは必要なかった。
 宏之が学校に来るようになってからどうしてなのか彼と貴斗の二人が顔を合わせると春香の事で喧嘩し始めてしまう。
 そんな日々が何日も続いていたわ。

~ 2001年9月26日、水曜日 ~
 放課後、三年C組の教室に顔馴染みのメンバーが揃っていた。
 私達の周りの空気はとても緊迫していた。
「宏之、お前、なにいつまでグズっているっ!だから、あれは俺の所為でお前の所為じゃないって言うのがまだわかんねぇ~のかぁ」
「馬鹿、言ってんじゃね~よぉ。元はと言えば、俺が遅刻したからだ」
「二人とも止めろよ!」
「貴斗君、柏木君も、もう止めて、そんなこと言い争っても春香ちゃん、目覚まさないわよ。どうして、二人とも争うの?私にはわからない。どうして、貴斗君?」
「・・・・・・」
 幼馴染み、詩織の言葉にもう一人の幼馴染みの貴斗は辛そうな表情で黙ってしまった。
「でも、今は春香ちゃんが一時でも早く目覚めることを祈りましょうよ」
 いつも喧嘩の切り出しは貴斗だった。
 彼は『俺の所為だ』って辛そうな表情でいつも言葉にしていた。どうして、彼がそう言うのか私は知らなかった。
 知りたかった。でも、そんな事を聴きだせる勇気がない・・・、だって・・・、・・・。
 詩織のあの口調だと多分、あの子自身も知っていないのだと思うわ。
 慎治はどうなんだろうか?
 春香の恋人の宏之は彼自身の遅刻の所為だって言い張っている。でも、彼が遅刻したの本当は誰の所為?それは私なのに・・・。
 貴斗にどんな理由があるのか知らない。
 私には宏之に罵られる理由があるのに彼は私も貴斗の事も責め様とはしなかった。
 それは宏之の性格がそうさせているんだと思う。
 宏之の苦しそうな顔も、詩織の悲しそうな顔も、貴斗の辛そうな顔も見たくなかった。
 私は、今出来る限りのことを考えようとした・・・、そして、私が導き出した答え。それは彼を諌める事だった。だから、私は男幼馴染の言葉を止めようと睨みを利かして言葉を出す。
「貴斗、いい加減にしなさいッ!」
「うるさい隼瀬、お前は黙ってろ」
「黙てられないから言ってんのよ、アンタに、あんたにっ、宏之の気持ち分かって?アンタだって、宏之がどんな奴か知ってるんでしょ?どんな事があってもアンタに責任なんか擦り付けたりなんかしないわよっ!」
〈貴斗、あんたはいったいどんな事があってそんな事を宏之に言うの?理由は知らないけど、貴斗、本当にあなた自分だけの問題だと思っているの?私だってその当事者なのよっ!〉
 そう心に思うだけで実際、怖くて口に出すことは出来なかった。
 貴斗の性格をだれよりも知っている積りだった。
 記憶喪失でも根源にある性格が変わらないのであれば私の言った事を理解してくれるとそう思った。
 彼の返答は私の望む答えに近かった。でも、その答え、本当は今望むべきものじゃないのに貴斗はそれを口にしてしまった。
 それの所為で詩織がどれだけ傷つくのか分かっていない様だった・・・。
 違うわ、貴斗はそれを分かっていたはずだと思う。それでも宏之の事を優先させてしまっただけだと思うわ。
 そこまで貴斗を突き動かす理由って何?どうして、彼は宏之にあんな言葉を言うの?・・・、私はそれを知りたい。・・・・・・・・・、でも、本当はそんな事を知らなくたっていいのかもしれない。
『本当の原因を創ったのは私よ』って言えばすべて丸く収まるかもしれないのに。でも、喧嘩の場でそれを口にする事は出来なかった。
 どうして?それを言ってしまえば宏之との関係が壊れてしまうと思ったから。
 それを言葉にしても貴斗は耳に貸してくれないだろうと思ったから。しかし、すべてそれは私の憶測でしかないわ。
 毎日、繰り返される貴斗と宏之の喧嘩の中で自分の本音を言えず、いつしかそれを見守ることしか出来なくなっていた。そして、いつの間にかまた宏之は学校に来なくなったわ。
 宏之が現れなかった理由。
 それは多分、貴斗との喧嘩の所為だと思う。だけど、貴斗が悪いわけじゃないわ。
 だって貴斗は宏之の事あんなに心配した口調で宏之に訴えていたもの。
 本当に悪いのは自分の気持ちをはっきりと伝えられなかった私・・・、だと思う。
 私があの日、宏之にあんな事をしたばっかりに、あぁーーーっ、どんどんと悪い方向へ進んでしまう。一体どうすればいいの?
 宏之が学校に姿を見せなくなってどれだけ経つんだろうね?
 最近、彼の事で色々と考えていた。どうすれば目覚めない春香のため堕ちて行く宏之の心を守れるだろうって。
 エッ、どうして貴斗の事は心配しないのかって?
 彼は私の手なんか必要としていない。だって彼のそばには・・・・・・、詩織がいるからね。
 誰かに今の気持ちを相談したかった。
 詩織に一番に相談したかったけど彼女は今、貴斗の事で手一杯なのを知っていた。だから、他に頼れる人は彼しかいなかった。

~ 2001年11月30日、金曜日 ~
 放課後、クラスで決められた外の掃除が終わると一緒にいた友達に別れを告げ、直ぐに教室へと戻って行った。
 今そこには私の相談に乗ってくれる人がいる。
「慎治、遅れてごめん、外の掃除、手間どっちゃって」
「ゼミに間に合えばいいから気にスンナ。それよりはなしって何だ?」
 慎治は頼んだはずの私が遅れて来たのに文句一つも言わずそう返してくれたわ。
 相談に乗ってくれるっていっても私が今、話そうとする事を慎治はどんな風に受け止めてくれるのだろう。
 不安と心配が入り混じったまましばらく黙ってしまった。
 どうにかして心に平静を保ち、やっとのことで言葉を出せる準備が出来たわ。だからそれを彼に伝える事にする。
「アタシが言う事を黙って聞いて、それと私のしようとする事を黙認してほしい」
「話しを聞く前に総てを請け入れられる程、俺も寛容ではないぜ。それについては隼瀬の話を聞いてからだ」
「・・・分かったわ、それじゃ話すわね。春香、まだ目覚めないよね・・・、どうしてかなぁ?デモね・・・、春香が事故に遭ったのは・・・・・・、あんな風になってしまったのは・・・・・・・・・、アタシのせい・・・、だわ」
 溢れ出そうな涙をこらえ、さらに言葉を続けていた。
「8月26日、アタシは春香とデート前の宏之と街中で偶然会っていた・・・、違う本当は彼が春香とデートがあるってコトだけは知っていたの・・・、その時、別に話す事なんって無かったのに。顔何って合わせなくても良かったのに・・・、ホンの出来心で彼に悪戯をしてしまったの・・・、態とデートの時間を遅らすためにあたしはその場に彼を引き止めていたの」
〈本当は好きな人とアタシの誕生日の日に少しでも一緒にお喋りがしたかったから、街中で宏之を引き止めたの〉
「その結果は慎治も知ってのとおりよ・・・。春香は事故に遭ってしまったわ。悪戯なりにもアタシのしてしまった事は赦される事では無いの・・・、春香は今も目覚めない、いつ目覚めるのかも分からない。だから・・・そんな状況だからアタシは宏之のそばに居てあげたいの、彼の心の支えになりたいの・・・、自分の総てを捨てても宏之を護ってあげたいのよ!・・・・・・・・・・・・、これで話しは終わり」
 最後まで慎治に伝えたい事を言い切った。
 下唇を噛み、右手にコブシを作り胸の上に押しあて俯いてしまっていた。
 慎治は直ぐに応えてはくれなかった。彼は額に右手を当て何かを考えているようだった。
 多分、今、私のいった事を頭の中で整理しているんだと思うわ。
 やがて、彼はそのポーズを解き話しかけてきた。
「残念、認められねぇよ!いや、絶対認めない!」
「どうして!」
「隼瀬がやろうとしている事、それはただの自己犠牲だ、貴斗と変わり無い・・・、・・・、・・・。オマエ、何で貴斗が宏之と言い争う際、ヤツは如何していつも同じ事を言っているか知っているのか?」
 慎治は私のしようとする事を完全否定してきた。
 彼のいった事、頭の中では理解できるわ。でも・・・、どうしても何かしたかった。
 どうしてなのか彼は貴斗の名前を口にしていた。
 その理由をこちらから聞き返す前に慎治は私の聞こうとする事を理解していたのかそれを教えてくれたわ。
 その日、私が宏之と逢っている間に貴斗と春香は電話で話をしていたと言う。
 貴斗はその電話で事故直前まで春香をその場に引きとめてしまったと慎治は言っていた。だから、彼が原因だと言い張るらしいわ。
「そっ、それは・・・、本当なの、それ!?」
 その事実を聞いて更なる不安を感じてしまった。だから、普通以上に驚いた声でそう言っていた。だって、貴斗は昔から電話嫌いで、受話器越しの会話で、一分と持ったためしがなかったから・・・。
「嘘偽りないね、ヤツ本人から聞いた事だからな。電話嫌いなくせにその日に限って・・・」
「ソッ、そう・・・」
「隼瀬、考え直してくれたか?」
「それでもアタシの気持ちは変わらないわ」
 貴斗の事を知ったからってハイそうですかってすんなり受け入れられない。
 現状が変わらなければ意味がないもの。だから、私は考えを曲げずそう答えていたわ。
「分かった、だったら話せ、宏之と貴斗に全部話せ。二人がお前の考えを受け入れるなら俺もそれを認めよう。宏之の方は判らないが、貴斗は十中八九受け入れてはくれないと思うけどね」
 慎治のその言葉で何も答えられずに黙ってしまった。
 宏之がそれを聞けば私の事を嫌いになる。
 今以上に関係が崩れてしまう。
 慎治の言うとおり貴斗は絶対に私の考えを認めてくれない。だって昔っから彼自身が原因だと思った事はそれが彼自身の手で解決するまで私や詩織が何を言っても聞いてくれなかったもの。
 今、貴斗が記憶喪失でもその部分は変わっていないように私には見えていた。
「言えない、言いたくない。言えるはずないでしょっ!」
「だったら俺が代わりに言ってやるよ」
「・・・、・・・・・、・・・・・・・、殺すかもしれない」
 慎治の言った言葉に不安、動揺、怒り、さまざまな感情が心の中で入り混じった状態で声にならない声を呟いていた。
 私は彼の制服の胸元を掴み、睨んでいた。
「慎治、アナタを殺すわよ!その事言ったら、アナタを殺すわよ」
〈あぁ、慎治お願いアタシのする事を見逃して、そうでなければアタシまで狂ってしまう。本当にアナタを手に掛けてしまうかもしれない〉
「・・・、隼瀬。・・・・・・、隼瀬、お前が自分自身でアイツに言えないのなら、やめて置け。宏之はやめろ!お互いが傷つくだけだ」
〈どうしてそんな事言うの?慎治、私が宏之に対してどう思っているのか知っているでしょ?〉
「隼瀬が辛い気持ちになるのは必然だ。目に見えている!」
「分かっているわよ、その位!」
〈どうしてそこまで言い切れるの〉
「いや、分かってない!お前の考えは全然、甘過ぎんだよっ。やっぱ、俺が全部話す、二人に」
 宏之の事より先に私の頭の中に幼馴染み、詩織の笑顔とその笑顔が向けられている貴斗の顔が浮かんだ瞬間、彼が言葉を出しきる前に彼をビンタしていた。
「貴斗にその事を話さないでっ!最近やっとしおりンと落ち着きを取り戻してきたのに。そんな事を聴いたら彼またオカシクなっちゃう。二人の関係を壊さないでよっ」
 貴斗がそんな事を知り現時点で幼馴染関係にある私と詩織をみたら彼の詩織の見る目が変わってしまう。
 そんな風に思えてどうしようもなく不安になってしまった。だから、貴斗には聞かれたくなかった・・・。
 若し、彼が記憶喪失でなかったらどんな結果が生まれたんだろう。
 いつも私と詩織の事を考えてくれる貴斗だったからこんなに酷くはならなかったのかも?だけど・・・、その前に詩織と貴斗の今の関係すら・・・・・・、なかったかもしれないわね。
 最後、慎治の答えを聞かないまま、彼を置いてその場を去ってしまっていたわ。
 相談を持ちかけたのは私なのに慎治にそんな事をしてしまうなんって・・・、私って最低な・・・・・・・・・、女ね。
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