彼らが望むものとは。

翔汰

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助けて……助けて……誰か……。

「はっ!……はぁ…はぁ…。夢か。」

嫌な夢だ。昔の夢。二度と思い出したくない記憶。不思議なことに消したい記憶ほど頭にこびり付く。厄介だ。記憶というものは。どうせなら感情だけじゃなく記憶も無ければ良かったのに。

勢いよく飛び起きた俺は息を整える為に深呼吸する。シャツは汗でびっしょり濡れていた。
昨日は書類を片付けるために夜通し作業をしていた。いつの間にか眠っていたのだろう。

「起きたか。酷いうなされ様だったぞ。」

「…あぁ。何でもない。」

「そうか。書類、もう片したから提出してきた。」

「そうか。迷惑かけたな。」

「別に。書類が遅れたら上のヤツらがめんどくさいからな。」

「確かにそうだな。…着替えてくる。」

俺は着替えるために奥の部屋に入った。

…あの夢を見ると必ず現実で最悪なことが起こる。

その予想は確実に当たる。

……予想を遥かに超えるとは誰も分からなかった。
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