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24話〜初陣へ
しおりを挟むペン汰は、隊員の協力により、毎日違う相手と戦闘訓練を行っていた。
第一隊の中で、その輪が広まり2対2、3対3と個人戦闘の枠を超えた戦闘訓練も行われていた。
――それから2ヶ月が過ぎた頃。
「ショウ副隊長!大変です!」と隊員が息を切らせてショウの元へ走ってくる。
「どうした?戦場に動きがあったのか?」とショウ。
ペン汰とショウの訓練を一時中断する。
「は、はい!ワン牙連邦との小競り合いが数ヶ月続いていたのですが…」と隊員が息も切れ切れに話す。
「ちょっと落ち着け。まず座って何か飲め」とショウは、屯所の中へ促す。
「ありがとうございます」と水を飲み干す隊員。
「それで、ワン牙との戦がどうなった?隊長もいるだろ?」とショウ
「はい、隊長の活躍で膠着状態になり、一時は互いに帰還する流れになったのですが…」と隊員は、下を向く。
「ん?どうした?」とショウは下を向く隊員を覗き込む。
「はい、突如ワン牙連邦が奇襲を仕掛けてきたのです」と隊員はショウをみる。
「奇襲?ワン牙がか?」と不思議そうなショウ。
「奇襲?そんなに不思議なんですか?」とペン汰。
「あぁ、ペン汰は、戦場に出た事がないからな。ワン牙連邦は、豪快で好戦的な種族なのだが…戦闘に対しては、実直で小細工を嫌う面もあるんだ。今まで奇襲を行ったなど、聞いたことがない」とショウは困惑した表情。
「元々、小規模な小競り合いでしたので、互いに兵数も少ない状態でした…それで均衡を保っていたのですが…」と隊員。
「奇襲で、バランスが崩れたというわけか」とショウ。
「なぜか直後に攻められる事はなかったので、なんとか立て直したのですが…戦闘が再開し、劣勢となっています!すぐに援軍を送れと隊長よりの命令です」と隊員。
「そうか…わかった!すぐに向かった方が良いな。伝令ご苦労!お前は、しばらく休め」と隊員に休養を取らせた。
「ペン汰!悪いが全員を屯所前に集めてくれ。私は行軍の準備を依頼してくる」とショウ。
「わかりました」とペン汰は、急いで隊員を集めに行く。
――屯所前
「皆、緊急出動となった!知っての通り、国境でワン牙連邦との戦が続いているが…突如ワン牙の奇襲により、我が隊が劣勢となっているとの知らせが入った」とショウが話す。
「なにっ!ワン牙が奇襲だと…」と隊員達がざわついている。
「お前達の動揺は、わかる!だが、劣勢となっているのは事実!早急に隊長を救いに行かなければならない」とショウは拳を握る。
隊員達も頷いている。
「そこでだ!今すぐ出動できるお前達100名に向かってもらいたい!私も行きたいが、ここを離れるわけにはいかない。悔しいが隊長の事…皆に頼みたい!」とショウは悔しそうな表情で話す。
「もちろんだ!」と隊員達の指揮が上がる。
「初めての戦になるが…ペン汰とレイン!君たちにも向かってもらいたい」とショウは2人を見る。
「はいっ」2人は敬礼する。
「よし!では、すぐに向かってくれ」とショウは敬礼する。
救援部隊100名は、速やかにワン牙連邦との国境へ行軍を行った。
行軍は滞りなく進み、3日後には戦場へ到着した。
しかし…途中でおかしな商団に会った。
行軍2日目
「だいぶ進んだな、今日はここで夜を越そう」と小隊長が休息の命令を出す。
全員が野営の準備をしていると。行商の一団が通りかかる。
「もしかして、軍の方達でしょうか?私この商団の代表をしている者です」と小隊長へ話しかける。
「見ての通りだが、何か用か?」警戒しながら対応する。
「この先でワン牙連邦との戦があっているのを耳にしまして、もしかしたらと思い声をかけさせてもらいました。行軍で食糧も何かと入り用かと思いまして…」と商人はニコニコしている。
「ふん、売り込みか。何がある?」と小隊長は商人にたずねる。
「はい!食糧から武器まで揃っております」と商人が他の商人達を呼んで商品を並べる。
「ほう、なかなか品揃えがいいな。戦場も、どのくらいの物資が残っているかわからんからな」と小隊長は、隊全員の荷物の確認をしてから必要な物を購入する。
「まことにありがとうございました!小隊長様にお声かけして正解でございました」と商人
「うむ、こちらも助かった。もう行っていいぞ」と小隊長が商人を帰そうとするが、商人が小話を持ちかける。
「ところで…今ワン牙と戦をしているということは、第一隊の方々…という事ですよね。
今年、第一隊には優秀な人材が入隊されたと聞きましたよ!他隊の隊長様方も、さぞ羨ましがられているでしょうね」と商人がチラリと辺りを見回す。
「おい、軍の内情を詮索するな」と小隊長が威圧する。
「いえいえ、詮索など…もしかしたら初陣なさっているのではないかなと。噂の新人様を一目見たいなと。野次馬心にございます」商人は、辺りを見回している。
「おい!いい加減にしろ!」と小隊長が詰め寄る。
少し離れた所で。
「ねぇねえレイン!あれって僕たちの事?」とペン汰がレインに話しかける。
「ばかペン汰!余計な事言わないの!」とレインが小声でペン汰を叱る。
「すみません、余計な事を聞きました。これで失礼致します」商人は、去り際にニヤリと笑った。
(なに、あの商人…今笑ったよね。なんだか気持ち悪い…)レインは小さく身震いした。
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