勇者様に復讐を

月ノ猫

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殺された両親

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深夜
エリオットとリリーが寝ている部屋に入ってくる2人の影があった

「よく寝ているわ」

小さい声で呟くのは母のカレンだった

「カレン」

と声をかけるのは父であるアウギュステだった

2人は静かに寝ているエリオットとリリーに近づいて近くに座るとカレンが優しくエリオットの頭を撫でる

カレンが撫で始めるとアウギュステが小さな声でカレンに声をかける

「カレンそれ以上触ると起きてしまう」

アウギュステの言葉にカレンは名残惜しそうにエリオットの頭から手を離すと2人は立ち上がり2人エリオットとリリーが起きないように距離を取る

距離を取るとアウギュステとカレンは話し始める

「わかってます」

「すまない、カレンこのようなことになり」

「いいえ、覚悟は決まってましたから」

「いつか、こうなる日がくると思ってました。」

「それが、早いか遅いかの違いだけです」

「ただ、心残りなのはこの子達エリオットとリリーの成長が見られないことです」

カレンのそんな言葉にアウギュステは悲しい顔を浮かべながらカレンの肩に手を回す

「だけど、今日を乗り越えたならまたいつものような日常に戻れる」

アウギュステはそういうとエリオットとリリーが寝ているベッドに結界を張る

「アウギュステ様…どうして」

「念の為だ」

「これで最悪、私たちが死んでも子供達だけでも守れる」

「そうですね」

カレンの目には涙が溜まりアウギュステはそっとカレンを引き寄せる

少しの間に沈黙が流れる

すると突然ガジャンと花瓶が割れる音が響く

「もしかして…」

カレンが震えながらアウギュステを見る

「カレンこっちだ!!」

アウギュステは震えるカレンの手を引いて部屋を出るとエリオットとリリーと離れた部屋にカレンに入るように促す

「アウギュステ様!!」

「カレン絶対に出てきてはいけないわかったな?」

「で、ですが…アウギュステ様は!!」

「私なら大丈夫だ、君はここにいなさい」

アウギュステはそういうとカレンが入った部屋の扉を閉めてその場を離れる



大きな音から数時間後

「……?」

エリオットは何か胸騒ぎがしてベッドから起き上がる

隣で寝ているリリーを確認すると結界が張ってあるのに気づく

「何故、結界が…?」

「しかもこの魔力は父上の!?」

エリオットの頭の中では最悪なことがよぎった
父上アウギュステ母上カレンに何かあったのかと

すぐさまエリオットは結界の外にでてアウギュステとカレンが居るであろう広間を目指す

「父上…母上」

エリオットの目には涙が溜まり焦り始め急いで向かっていると突然足が止まる

「この、匂いは…血…」

エリオットは血の匂いを感じるとゆっくりと歩くしかなかった
広間に近づくにつれて壁や床にもべっとりとついてるものがあった

それを見たエリオットは察する

「これは、父上の、床のは母上のだ…」

「嘘、ですよね…」

エリオットは今にでも泣きそうになる

そして広間の扉の前に着くとゆっくりと扉を開ける

「…………あ、あぁ」

目の前の光景にエリオットの目から涙がこぼれ落ちてしまう

「ちち…うえ?…は、はは…うえ…」

エリオットが見た光景は広間の真ん中に倒れているカレンに覆い被さるように倒れているアウギュステの姿があった

「父上!!母上!!」

エリオットは急いで側により2人に触る

エリオットは気づいていた2人に生気が感じられないことそして冷たくなっていることに

「嘘だ…なんで、父上と母上が」

「なんで!!」

「あぁああああああ!!」

エリオットは声を大にして泣き叫ぶ

「父上!!母上!!いやだぁああああ!!」

エリオットの声に慌てて駆けつける足音が一つあった
そして広間の扉をバンッと大きな音を立てながら開けると広間の光景に絶句した

「何があったんだ…エリオット、」

「これは…」

その声にエリオットは涙を流しながら顔を向ける

「ライム…」

「エリオットはこれはどういうことなんだ?」

エリオットに声をかける人物はエリオットの次期右腕でありこの城に一緒に住んでいるライムだった

「どうしてお二人が…」

「わかんない…わからない!!」

「どうして!!父上と母上がこんなことにならないといけないんだよ!!」

「嘘だと言って!!夢だと言ってよライム!!」

「……夢、ではないよ…エリオット」

「うぅぅう…」

ライムは優しくエリオットの背中をさする

「誰がこんなことを…」

「わかんない…でも絶対に許さない!!」

「エリオット?」

「絶対に父上と母上を殺した奴を見つけ出して地獄を見せてやる!!」

「ライムは協力しなくても構わない1人でもやってみせる」

エリオットの目には怒りや悲しみがありそして復讐心が芽生えていた

「協力するに決まってる」

「ライム…」

「お二人にはとてもお世話になった…本当の息子のように可愛がってくれて褒めてもくれた」

「だからお二人は俺にとっても第二の両親のような存在なんだ、エリオットに協力する」

「ありがとうライム…」

「復讐の前に父上と母上の追悼やらなきゃ」

はどうするんだ?」

「空いたままなのはダメだろ?」

「俺が座る」

「本気なのか…?」

「嗚呼、それに復讐の為には座らないといけないんだ」

「わかった俺はお前についていくよエリオット」

「さすが俺の右腕相棒だな」

「それよりもリリーにはどう話すつもりなんだ?」

「話さないよ…こんな真実話せない」

「そ、そうだよな…」

ライムとエリオットはこれからのことを話し合いそしてアウギュステとカレンの追悼を行うのだった

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