竜の里

神在琉葵(かみありるき)

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「兄さん!あそこに洞窟があります!」



シュミットが小さな洞窟をみつけました。



 「この山には猛獣はいないようだから心配はないと思うが、気を付けろよ。」

 松明に火をつけ、フリードが先頭になって洞窟の中を進んで行きました。 



 幸いなことに、洞窟には危険な者はいませんでした。



 三人は、しばらく進んで、拓けた場所に腰を降ろしました。 



 「フリード…」

ライアがおずおずとフリードに話しかけました。 



 「何だい?」

 「もう…戻らない?」

フリードの眉がぴくりと動きました。



 「ライア…僕は以前言ったはずだ。
 必ずディーフォースを見つけ出し、君とレイナさんを会わせるまで、どんなことがあっても帰らない…と。」 

 「だけど、もう三年にもなるのよ。
そんなに長い間、あなた方に迷惑をかけているのが、どうにも心苦しいの。」

 「そのことなら気にしないでって言ったじゃないか。
 僕達は迷惑だなんて思ったことはない。
 本当だ。」

フリードの言葉に、嘘はありませんでした。 
なぜなら、フリードは、一緒に旅をするうちに、ライアのことを好きになってしまっていたからです。 



 「だけど、フリード…」

 「この話はもうおしまいだ。
さ、食事にしよう。」

フリードは袋の中から、豆の缶詰を取り出しました。 
ライアももうそれ以上、何も言いませんでした。
 三人はわけあいながら、豆の缶詰を食べました。
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