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「ほ、本当なのか!?」
ハンナははにかみながら頷いた。
「どうしたの?
ディヴィッド…嬉しくないの?」
「いや…そうじゃない。
嬉しいのは嬉しいんだ…だけど……」
ある時、ハンナに打ち明けられた。
子供が出来たということを…
それはとても嬉しい報せでもあり、そして苦しいことでもあった。
ここまで来ては、もう隠してはいられない。
私の心は決まった。
「ハンナ…すまない。
私は、今まで君に黙っていたことがある。」
「何なの?奥さんでもいるっていうの?」
ハンナは怯えたような目で私をみつめた。
「違う…私の気持ちには何一つ偽りはない。
この世で愛しているのは君だけだ。」
「だったら何?
どうしてそんなに辛そうな顔をしてるの?」
「ハンナ…私は…私は人間じゃないんだ。」
「……え?」
これで最後かもしれない。
彼女は、絶叫し、この場から走り去ってしまうかもしれない。
でも、それでも、私は真実を伝えなくてはならない。
それが私の誠意だから…
私は身体に力をこめる…
なめらかな肌は、固い鱗に覆われ…手足には長い鉤爪が生え、顔は人間とは程遠い形に変化していく…
私は龍となった身体を彼女に見せつけた。
「……ディヴィッド…なの?」
彼女の瞳には畏れの色が宿り、身体は小刻みに震えていた。
『そうだ…私は竜人族なのだ…』
「これがあなたの本当の姿なの?」
『人間の姿も私…この龍の姿も私…私達は両方の姿を持っているんだ。』
「そうなの……」
彼女は、叫び声をあげることも駆け出すこともなかった。
ただ、健気に無理をした笑みを浮かべ、私をじっとみつめていた。
ハンナははにかみながら頷いた。
「どうしたの?
ディヴィッド…嬉しくないの?」
「いや…そうじゃない。
嬉しいのは嬉しいんだ…だけど……」
ある時、ハンナに打ち明けられた。
子供が出来たということを…
それはとても嬉しい報せでもあり、そして苦しいことでもあった。
ここまで来ては、もう隠してはいられない。
私の心は決まった。
「ハンナ…すまない。
私は、今まで君に黙っていたことがある。」
「何なの?奥さんでもいるっていうの?」
ハンナは怯えたような目で私をみつめた。
「違う…私の気持ちには何一つ偽りはない。
この世で愛しているのは君だけだ。」
「だったら何?
どうしてそんなに辛そうな顔をしてるの?」
「ハンナ…私は…私は人間じゃないんだ。」
「……え?」
これで最後かもしれない。
彼女は、絶叫し、この場から走り去ってしまうかもしれない。
でも、それでも、私は真実を伝えなくてはならない。
それが私の誠意だから…
私は身体に力をこめる…
なめらかな肌は、固い鱗に覆われ…手足には長い鉤爪が生え、顔は人間とは程遠い形に変化していく…
私は龍となった身体を彼女に見せつけた。
「……ディヴィッド…なの?」
彼女の瞳には畏れの色が宿り、身体は小刻みに震えていた。
『そうだ…私は竜人族なのだ…』
「これがあなたの本当の姿なの?」
『人間の姿も私…この龍の姿も私…私達は両方の姿を持っているんだ。』
「そうなの……」
彼女は、叫び声をあげることも駆け出すこともなかった。
ただ、健気に無理をした笑みを浮かべ、私をじっとみつめていた。
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