桜の里で

神在琉葵(かみありるき)

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回想

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混乱し、なんとも気まずい沈黙が流れる中、私の頭に、不意に聞きたいことが思い浮かんだ。



 「……あ、あの…外から迷い込んだのは、私だけなんですか?」

 男性は首を振った。



 「いえ…以前、一人だけいました。」

 「えっ!ほ、本当ですか!?」

それは意外な答えだった。
 訊ねてはみたものの、まさか私の他にも同じような経験をした人がいるとは思っていなかったのだ。



 男性はふと私から視線を逸らした。
そのことがなんとなく気にかかった。



 「あ、あの…その人はどうだったんですか?
やはり、ここに来てから年を取らなかったんですか?」

 男性はすぐには答えなかった。



 「あの……」

 「……その人は、ここに来て間もなく死にましたから、どうなのかわかりません。」

 「えっ…!?で、でも…ここの人は死なないって……」

さっき聞いた話との矛盾に、私は少し感情的になって、思わず大きな声を上げていた。



 「その人は……自ら命を絶ったのです。」

 「えっ!?」

 「まだ若い男性でした。
 彼は、自分の身の上に起きたことを受け入れられなかったのでしょう…
ここに来て、一年もしないうちに森の中で……」

 私はまた身体が震え始めたのを感じた。
 今の話が、近い将来の自分の姿に重なって思えた。
こんな境遇に置かれたら、誰だって不安になるはずだ。
 心が繊細であればあるほど、こんな状況を受け入れられないだろうと思う。



 (受け入れられなかったら、私も……)



 私は身体の震えを懸命に押さえ込んだ。


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