桜の里で

神在琉葵(かみありるき)

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回想

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「春香…行くのです。」

 「え?」

 「春香…もしかしたら…
帰れるかもしれません。」

 風の音に紛れながら、充彦さんの声が聞こえた。



 (カエレルカモシレナイ…?)



それはとっくに諦めた夢だった。
 私は、もう二度と元の世界には戻れない…最近ではそう考えていたから、充彦さんの言葉は、とても意外に思えた。



 「春香…行きなさい。」

 「……い、いやです。」

 「どうして…」

 「私は充彦さんと一緒にいたい。」

 充彦さんは首を振った。



 「行くのです。こんなチャンスはもうないかもしれません。」

その言葉に、心が震えた。
 諦めていた夢が、今、ここで叶うかもしれないと思ったら、なんともいえない気持ちになった。
だけど、すぐに決断することは出来ない。
だって、ここを離れたら充彦さんとは…



(あ……)



 「……そ、そうだ!だったら充彦さんも一緒に行きましょう!」

 充彦さんは辛そうな顔をして首を振った。

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