虹のしずく

神在琉葵(かみありるき)

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「アベル!間違いないわ!
これは、ニコールが生まれたのと同じ赤ちゃんの木よ!」




その後も芽は順調に育ち、どんどん大きくなっていきました。
その姿は、ニコールが生まれたあの木とそっくりです。
それでも、そのことを頑なに信じようとはしないアベルでしたが、ある時、その木に小さな袋がぶら下がっていたのです。
それを見てしまったら、アベルも認めないわけにはいきません。
マリオンは素直に喜んでいましたが、アベルはどこか浮かない顔をしていました。



「どうしたの、アベル?
嬉しくないの?」

「マリオン……
僕達は、赤ちゃんの種を植えてない。
なのに、どうしてこんなものが生えるんだ?」

「え…そ、それは……そう、きっと奇跡よ!
ニコールがまた生まれて来てくれるんだわ!
きっとそうよ!あぁ…なんて素晴らしい……」

瞳を潤ませて感激するマリオンとは違い、アベルの顔は険しいものに変わりました。



「アベル……あなた、嬉しくないの?」

「そりゃあ嬉しくないわけないさ。
でも……ニコールは生まれて来たって長くは生きられない。
……僕はもう二度とあんな悲しみを味わうのはいやだ。
耐えられないよ!」

アベルの言葉に、マリオンも驚いたような顔をしました。



「そうね……私だっていやだわ。
あんな悲しい想いをするのはもう二度と……でも……
それでも、やっぱりニコールに会いたい!
アベル……私、ニコールに会いたいの!」

マリオンは泣きながらそう叫びました。
アベルは、しばらく立ち尽くしたままマリオンをみつめていましたが、やがて、彼女の肩を優しく抱き寄せました。



「……そうだね。僕もニコールに会いたいよ。
あの子は誰よりも大切な僕達の子供だもの。」

「アベル……」

「この木がこの先どうなるかはわからないけど……
とにかく今は見守ろうよ。」

マリオンは涙を拭い、ゆっくりと頷きました。
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