地下の初恋

神在琉葵(かみありるき)

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side アラステア

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(やっぱり言わなくて良かった……)



しばらく横になっていたら、なんとなく落ち着いて……
冷静に考える事が出来るようになっていた。



そうだ……あんなことは話すべきじゃない。
 話してしまったら、僕はこの世でたった一人の…かけがえのない友人を失ってしまう。

なのに、そのことがわかってもなお、僕はスコットに彼女のことを話したくてたまらなくて……
だから、僕は体調が悪いと言って部屋にこもり、スコットと顔を合わさないようにした。







 「アラステア!」

 「……やぁ。」



顔を合わせるだけで、心が躍る。



 皆が寝静まった頃、僕は部屋を出て地下室へ向かう。
こんな事を始めて、もうどのくらいになるだろう……



僕はあの日のことに想いを馳せた。



 数日続いた雨がようやくあがって、僕は気晴らしに町に出かけた。
 本来なら前日で終わるはずだった市が、雨のせいで一日伸びたとかで開かれていて……
ジョセフは靴が汚れるのを気にしてたから、僕はわざとぬかるんだ道の続く市に寄って行こうと言い出したんだ。

これといって欲しいものはなかったけれど、何か面白いものがあったら買って行こうと思いながら歩いてると、突然、まばゆい光が僕の目を眩ませた。
一体、何だったんだろう?と、見てみると、そこにはたいそう大きな鏡があったんだ。
近付いて見てみると、その鏡面には曇りも小さな歪みやへこみ一つなく、とても腕の良い職人によって作られたものだということがわかった。
縁取りの細工も品が良く繊細なものだ。

店の者の話によると、これは隣国のとある有名な貴族の家に古くから伝わる由緒正しき鏡だということだった。
僕はすっかりその鏡に魅了され、それを買うことに決めた。
けれど、ジョセフは、飾る場所がないとか屋敷まで運ぶのが大変だと反対した。



「アラステア様、こんなに大きな鏡…一体、どこへ置かれるおつもりなんです?
こんなものが置ける部屋はありませんよ。」

「だったら、この鏡のために離れでも建てれば良いだろう?」



僕がそう言うと、ジョセフは困ったような顔をして…それ以上は口を出さなかった。


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