虚実の時

神在琉葵(かみありるき)

文字の大きさ
1 / 42

しおりを挟む
(やったよ、エレナ!
 待ってておくれ、もうじき迎えに行くからね…!
これでもう誰にも僕らの邪魔は出来ない…!)



 自身の足音と息遣いしか聞こえない漆黒の闇の中、セザールは込み上げる感情に叫ぶのを押さえることが出来なかった。
ついに目的をやり遂げたという高揚感に酔いしれ、これからの二人の幸せな未来を想像すると、セザールの喉からは、再び、おかしな叫び声が発せられた。



 (とにかく今夜中にこの山を越えるんだ。
そして、ユースの町に着いたらそこからは馬車で……)



それは、何ヶ月も前から考えに考え、細かな所に至るまで何度も修正しては、彼が実際に行動して確かめた完璧な計画だった。



 (僕達が幸せになるためには、こうするしかなかったんだ……)



セザールは不意に立ち止まり、月さえも霞む暗い夜空を見上げた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幸せになれると思っていた

里見知美
恋愛
18歳になったら結婚しよう、と約束をしていたのに。 ある事故から目を覚ますと、誰もが私をいないものとして扱った。

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

【完結】その約束は果たされる事はなく

かずきりり
恋愛
貴方を愛していました。 森の中で倒れていた青年を献身的に看病をした。 私は貴方を愛してしまいました。 貴方は迎えに来ると言っていたのに…叶わないだろうと思いながらも期待してしまって… 貴方を諦めることは出来そうもありません。 …さようなら… ------- ※ハッピーエンドではありません ※3話完結となります ※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

聖女エーステリアの死

倉真朔
恋愛
聖女エーステリアはなぜ最愛の人に断罪されたのか。切ない物語です。 この作品は、カクヨム、小説家になろうにも掲載中。

処理中です...