宿星の恋人

神在琉葵(かみありるき)

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(マリアン……)



アーロンは、頭を抱え、俯きました。
 別れ際のマリアンの寂しそうな顔が、どうしても忘れられず、アーロンの胸は張り裂けそうでした。



 「王子様、お待たせしました。」

ジョイスは、アーロンと自分の前に赤いワインのようなものが入ったグラスを置きました。



 「王子様の成功を祝して…乾杯!」

 二人はグラスを合わせ…
アーロンは一気に、その液体を喉に流し込みました。
その途端、アーロンは意識を失い、テーブルに突っ伏しました。



 (王子様……
異界でのご記憶はお約束通り、すべて私がいただきます。)



ジョイスには、何もかもお見通しでした。
なぜ、アーロンが危険を犯してまで二年もの間、異界に留まったのかを…



(王子様、どうぞお幸せに……)



 意識を失ったアーロンの心から、ジョイスは、異界での記憶を取り出しました。



 「王子様!」

 「……う…うぅん…」

 肩を叩かれたアーロンは目を覚ましました。



 「王子様、ご気分はいかがですか?」

 「気分…?特別変わったことはなにもないが…」

 「お約束の異界での記憶はもういただきました。」

 「なんと、もう?」

アーロンは、異界でのことを考えてみましたが、何ひとつ思い出せませんでした。



 「本当だ!何も覚えておらぬ!
それで、説得はうまくいったのか?」

 「はい。魔物は意外にも物わかりの良い娘で、すぐに王子様の説得に応じてくれたそうです。良かったですね。」

 「そうか、それは良かった。
ジョイス…この度は世話になったな。
 私は、これからリンに会いに行く!」

 「では、私が村までお送り致しましょう!」
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