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「おい、本田…ずるいぞ。
また自分だけ抜け駆けして。」

 「え?何がだよ?」

 「その服だよ。またそんなおしゃれして…」



やっぱり、彼女に任せて良かった。
 今日の服装も、良い感じみたいだ。
 三木が嫉妬してくれる程だもの。



 「そんなことないってば。」

 心の中の優越感をひた隠し、僕は余裕でそう言った。



 「なぁ、どこでその服…」

 「あ、来た!」



 僕は、走って来る大畑さんに手を振った。



 「……遅れてすみません。」

 「いえ、僕達もついさっき来たところです。」

 「あ…同僚の中岡美奈子さんです。」

 「中岡です。どうぞよろしくお願いします。」

 中岡さんは、大畑さんよりもさらに地味な雰囲気の人だった。
 中岡さんに比べると、大畑さんの方が可愛い。



 「初めまして。僕は本田学です。」

 「三木悠太です。」

 僕達は、軽く自己紹介を交わし、テーマパークに向かった。

 考えてみれば、テーマパークに行くのも久しぶりだし、女性と一緒に出掛けるのも久しぶりだからか、意外にも気分は上がっていた。

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