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第二の依頼

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「何がどうしたってんだ?
カメババ、説明しろ。」

 「お頭……実は、あの羽衣をオークションで落としたっていうのは嘘だったんだ。
あの頃、町の近くを通る商人を襲う計画を立ててただろ?
だけど、前日、飲みすぎて、俺達はその計画を不意にしちまった。
そのことをお頭に言い辛くて……それで、商人から奪った金をぶっこんで、オークションに出されてたアイリンの羽衣を落札したってことにしたんだ。
お頭は、アイリンの大ファンだから、それなら怒られないと思って……」

 「な、なんだって!?
おまえら、なんてことを……!」

マックの激しい平手打ちが、カメババとクマババの顔面に炸裂した。



 「それじゃあ……あんたは、手下共が私の羽衣をオークションで落札してきたって思ってたのかい?」

 「アイリン……すまない。
まさか、そんなからくりがあったなんて俺は少しも気付かず……
おまえら!アイリンにちゃんと謝らないか!!」

 「ア、アイリン、すまなかった!」

 「どうか、許してくれ!」



 二人は、赤い手型の付いた顔を深く下げ、アイリンさんに謝った。



 「よくも俺の顔に泥を塗りやがって……おまえらは今日限り破門だ!」

 「そ、そんな……
お頭!俺達、どんなことでもするからそれだけは勘弁してくれ!」

 「いや、だめだ!
おまえらは俺がアイリンの大ファンだってことを悪用した!
そんなことにも気付かず、俺は、毎回ショーを見に来てて……くそっっ!」

 「お頭…!!」

 「ゆ、許してくれ!」



なんと!驚いたことに、カメババとクマババは、マックの足元で子供のように号泣し始めたんだ。
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